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人間嫌いの俺が人間の為に一肌脱ぎます  作者: ゆうやん
第一章 少年時代
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初めての戦闘の後

「行ってしまわれましたわ……」


「お嬢様ご無事でございますでしょうか?」


「爺やこそご無事でよかったですわ。」


 レヴィー達が去った後、馬車の中に隠れていた少女が執事とお互いの無事を確認し合いホッと一安心する。


(あの方、確かレヴィーと呼ばれておりましたわね。お礼も申し上げる前に去ってしまわれましたわ。)


 レヴィーが去った森の中を見つめる少女は惚けた顔でその場に立ち尽くして再開を願う。


「しかし、あの少年に助けられました。一言お礼を申し上げたかったですなお嬢様。」


「そうね。そう言えば彼は王都に向かうとおっしゃってましたわね。」


「はい、もしかすると近いうちにまたお会いできるかもしれませんな。」


「その時はきちんとお礼をしたいですわね。」


「ですな。」


「爺や、馬車は動きそうですの?」


「馬たちが無事ですしどこも壊れている様子がないので今すぐにでも動かせます。」


「それではわたくし達も王都に向かいましょう。」


「かしこまりました。」


 心残りがあるように一頻り見つめ少女は馬車に乗り込む。

 そう遠くない時に二人が再開することはまだ少女は知らないのだった。




 場面は変わり王都へ向け再度出発したレヴィー達は荷台で先ほど起きたことを振り返っていた。


「レヴィーってあんなに魔素を持っていたのね。」


「そうなの、昔から簡単に魔法を使っていたからきっと魔素量がすごいとは思っていたけど契約してそのすごさが改めて理解できたけど、それにしても尋常じゃないよ。」


「あの時は正直僕も驚いていたよ。あんなに魔素があったなんて知らなかったし。」


 少し照れながら俺は頬をかく。

 その指はいまだに少し震えている。


(初めて人を殺したことを恐れているのか……どうでもいいと思う存在でも同じ人間が死ぬことにまだ抵抗があるのか……)


 自分の手で人を殺したことに怒りを抑えた後になり知らずに恐怖として心に残っていたようで手が震えていた。

 自分は人間が嫌いだから人が死んでもなんとも思わないと考えていたがそうじゃないと体で教えられたようで悔しささえ覚えた。


「……レヴィー無理してない?」


「レーナスにはそう見えるの?」


「見えると言うか感じるの。契約で精霊回路で繋がっているからなのかな、なんとなくだけど分かるの。」


「そうか、無理してるのかな僕は……」


「あんな事になった後じゃ仕方ないんじゃない?」


「ロロナちゃんにまで心配させる程だからレヴィーは無理してるんだよ。」


「そうなのか……だめだな僕は……」


「ダメじゃないよ!私を助けてくれたじゃない!」


「あれは成り行きでだよ。あの場所に行く前は僕は君を助けに行こうとしなかった。」


「それでも助けてくれた。だからレヴィーはダメじゃない!」


「……うん、ありがとうロロナ。」


「そのセリフは私が言うことよ、助けてくれてありがとうレヴィー。」


 ロロナはニッコと笑いながらお礼を言うが肩がかすかに震えてる。


(強がってるのバレバレだよ……)


 フゥと一息吐き出し気持ちを落ち着かせる。


「ちょっとベルーさんと話してくる。」


「わかった。落ちないでよレヴィー。」


「落ちるかよ。」


 そっとレーナスに近づき耳元でささやく。


「ロロナを頼む。」


「レヴィーも気が付いたの。」


「まぁね。僕が居たらたぶん王都に着くまで強がると思うから。」


「わかった、任せて。」


「うん。」


 揺れる荷台をバランスを取りながらベルーの隣に移動する。


「ここからですと王都までどれぐらいで着きそうですか?」


「あと一日半もあれば着きます。」


「そうですか。」


「……レヴィーさん、一つ訂正させてください。」


「何をですか?」


「わたしあなたのあの判断を聞いたとき心のない少年だと思っていました。」


「仕方ないことです。そう思われる選択をしたのですから。」


「ですが今のあなたを見て違うと思いました。あなたは優しいんです。」


「僕がですか?」


 自分で言うのもなんだが残酷だと思う。

 人の弱い部分を刺激し折れるように誘導した、それは変わらない事実。

 それの何処が優しいと言うのだろうか?


「あなたの選択は確かに人として褒めれる考えとは言えない。ですがそれは私たちを考えての発言だと今になって思います。わたしは商人ですので戦いになれば戦力外ですし精霊と契約してるとは言えレヴィーさんもまだ子供です、危険があれば本来は大人が安全場所に遠ざけるのが普通。ですがわたしはそれをしなかった。精霊使いと共に行動してると言うだけで少し舞い上がっていたのか失念しておりました。」


「僕はそう考えていたわけじゃありません。ですからベルーさんが悪い訳じゃございませんよ。」


「その言葉が出てくるからこそあなたは優しい。心が優しいから出る言葉です。」


「そんなんじゃないです。」


「そうですか?現にロロナさんが強がってることを察してこちらに来たじゃないですか。」


 ちらりと後ろを見るとロロナはレーナスに抱き着きながら静かに泣いていた。

 こっちに気づきレーナスはシーと口の前に人差し指を立てジェスチャーをする。


「俺は本当にそんなじゃない……」


 静かにつぶやきながら前を向く。

 その姿に苦笑いしながらベルーは頭に手を乗せ頑張ったなと言いたいように撫でてくる。

 その手に少し恥ずかしさを感じ頭を振る。

 ベルーは再度苦笑しながら手綱を握り直し荷馬車を進めるのだった。

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