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人間嫌いの俺が人間の為に一肌脱ぎます  作者: ゆうやん
第一章 少年時代
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一次試験【後半】

 話を終え店に戻りおっちゃんにお礼を言ってからお金を払い会計を済ませる。

 荷物を荷馬車に積み他に必要なものを決めるためにここから王都までの日数を聞いた。


「そうですね、荷物の量にもよりますが一週間も有ればつきますね。」


「一週間……次の試験までぎりぎりですね。」


「ですが二次試験まで一週間と三日もあります、少し急ぎで向かえば全然間に合いますよ。」


「無理を言うようですみません。」


「気にすることではないですよ、わたしは学園のお手伝いが出来て光栄なことなのですから。」


 ベルーはそう言うとこの村の特産品を王都に持っていく為に寄り道しますので村の入り口で待っていてくださいと言い残し荷馬車を走らせて別の店に向かう。

 食料とかも用意してくれると言う事だったからお言葉に甘えますと返事をし村の入り口でレーナスと待つ。

 しばらく待つとベルーが向かってくるのが見えてきた。


「お待たせいたしました。」


「すみませんがお世話になります。」


「それと、そちらのお嬢さんは?」


「僕の契約している精霊のレーナスです。」


「風を司る精霊のレーナスと申します。以後お見知りおきを。」


「これはご丁寧に、わたしは商人をしておりますベルーと申します。」


 お互いに簡単な自己紹介を済ませる。

 そのあとレーナスと荷台に乗り空いているスペースに腰を下ろす。


「いよいよだねレヴィー。」


「……家に引きこもっていたんだが。」


「ダメよレヴィー、お父さんとお母さんに申し訳ないでしょ。」


「むー……」


 膨れて拗ねてみるがレーナスはダメなものはダメと叱ってくる。

 あんたは俺のおかんかと言いたかったが年齢的に考えておばあちゃんがしっくりくると結論付ける。

 それを見抜いてかギロリと睨まれたので逃げるように荷台の後方を見る。

 そこには今まで住んできた自分の家が村と少し離れた場所に見え寂しさを覚えた。

 ここに二度と戻ってこない訳ではないがそれでも数年間のいろいろな思いでが詰まった場所だ、心に来るものはある。

 感傷に浸っていると手を振っている両親が見えた。

 それに答えるように振り返していると両親の後ろに沢山の下位精霊とアクア様がこちらに同じく手を振っているのが見えた。


(みんな……ありがとう、行ってくるね。)


 泣きそうになりそうになり空を見上げ涙を堪える。

 そして皆が見えなくなるまで手を振り続けたのだった。




 何もない草原を子気味いい馬の足音を聞きながらぼんやりとして進んでいるとベルーがこちらを振り返りながら少し休憩しましょうかと提案してきた。


「ここをもう少し進むと森が見えてきます。そこを抜けると王都までは一日で着きます。」


「わかりました。」


 今後の予定を聞きながらベルーが作ってくれた蛇の丸焼きを食べる。

 味付けは簡単に塩と胡椒だけだが意外と食べれる。

 レーナスも何口か食べたが口に合わなかったのかもういらないと言い渡してきた。

 レーナスって好き嫌いが多いほうではないと思っていたがどうやら本当にダメだったようで少し具合悪そうにしている。


「お口に合いませんでしたか?」


「ごめんなさい、私どうしても生き物のお肉がダメであんまり体が受け付けないのです。」


「そうでしたか、それではこちらの果物をどうぞ。食後に食べる予定だった物です。」


「ありがとうございます、いただきますね。」


 ベルーが渡したレーナスはリンゴに可愛らしく小さく口を開け食べていく。

 そうか、家に居た時からレーナスはウサギやら鳥の肉に手を付けないでいたとから不思議に思っていたけどそんな理由があったのか。

 レーナスの意外な一面を知れて勉強になったなとの配慮が足りなかったなと反省した。




 休憩を終え再度荷馬車を走らせ数時間、説明にあった森が見えてきた。

 だが周りは日が沈み暗くなってきていた。


「今日はもう遅いですしここで一夜明かしましょう。明日の朝ご飯食べてから森に入るとしましょ。」


「分かりました。では簡易的に寝床を作りますね。」


 そう言い俺は買っておいた薪を荷台から数個下ろしできるだけ平な地面に置き火を起こす。

 他にも大きい布と紐、そして自分より長い木の棒を取り出し簡単なテントを作る。

 地面に木の棒を倒れないように刺しそれに紐を付けてそれぞれを繋げる。

 最後に大きい布を上に被せ風で飛ばないように大きい石を何個か隅に置けばれば簡単なテントの出来上がりだ。


「ほうほう、これは面白いことを考えますね。」


「寝るだけなら荷台でも良いとは思ったのですがこの中で寝れば多少風は防げますし雨が降っても防げます。」


「なるほど。」


 前世の記憶でテントの存在を知っていたからこそ思いついたのだが、知らなければこんなこと思いつかないだろう。

 なぜなら、旅商人には荷台と言う何もしなくても寝れる場所があるのだから。

 確かに荷台で寝れないこともないが雨風を防げるかと言うとそうでもない。

 薄い布一枚に包まり寒さを和らげる程度しかできないだろう。

 だからこそ天井付きの荷台等が重宝されるがアレは確かいい値段するはずだ。

 一流の旅商人が持っている程度で普通の旅商人は天井が無い商品がむき出しになる荷台を使う。


 夕食を取り動物除けの為火を消さずそのままにしテントに入る。

 ベルーも入る事も考慮して大きめに作ったから三人横になっても全然余裕があった。

 隣にはレーナスが寄り添う形で居る。

 ベルーは俺たちに配慮してか隅の方で横になり寝ている。

 俺もそろそろ寝るかと思ったときだった、レーナスがこちらを少し嬉しそうにしながら見つめていることに気づいた。


「どうしたの?」


「こうして一緒に寝れるとは思ってもいなかったから少し楽しくて。」


「そっか、僕も冒険しているみたいで楽しいよ。」


「ふふ、そうね。」


「うん……そろそろ眠いから寝るね。」


「そうね、お休みレヴィー。」


「おやすみれレーナス……」


 慣れていな旅の初日で疲れてたのかすぐに寝た。




「……寝たわね。」


 私レーナスはレヴィーが寝てのを確認してからその寝顔を見つめる。

 多分私が言った言葉の意味をレヴィーは理解していないと思う。

 レヴィー、私はあなたの事を……

 そこまで考えて頭を振る。

 ダメよレーナス、だって精霊は……

 精霊は人間に恋はできないんだから……


 少し切ない気持ちになり寂しくなった。

 その気持ちを振り払いたくて少しレヴィーに寄って温もりを感じながら私も眠りにつく。

 明日もれレヴィーと一緒にいられますようにと願いながら……

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