事の始まり
俺は人と言う者が嫌いだ。
嫌いって言っても人付き合いが苦手だとかの可愛いレベルではなく全人類が滅べば良いと思うほどだ。
平気で人の弱みに付入り騙す人、嘘の言葉で人を操る人、人付き合いでたいして面白くもないのに作り笑いで笑わないといけないとか偉い人に合わせて自分の行動や思考を変えないといけない等面倒なことをして自分の本心を隠す。
本当に吐き気がする程おぞましい。
それに気付いたのは高校に入って直ぐだろう。
笑顔で近づいて来て友達になろうよって言われた時、物言えぬ嫌な感じが胸の辺りで渦巻く感覚に襲われた。
それが悪意に対する嫌悪感だと知るのにそう時間がかからなかった。
そいつとはその日からよく遊ぶようになった。
しかしそれが始まったのは遊ぶようになってから直ぐだった。
最初は購買のパンなどを1個奢ってくれから始まり日に日にエスカレートし、今月バイト代入るまで小遣いがやばいから金貸してになり、仕舞いには友達代と称して毎日万単位でお金をくれと言うようになった。
後半になるに連れ流石に俺もふざけるなとキレてたが相手が手を出してきた事により何も言えなくなった。
だから俺は逃げる選択を取った。
学校に行かず家の自分の部屋に籠る毎日を繰り返していた。
その時にはもう人を信じられなくなり、自分の両親にさえ心を閉ざして過ごした。
そんなくだらなくつまらない世界でも楽しみは有った。
それは小説だ。
推理小説やラノベ、アクションを主体とした長編小説等色々と読み漁る日々は心を満たしてくれて落ち着いて過ごせた。
どれくらいの日数、いや年月が経っただろう。
両親は未だに部屋から出て一緒にご飯食べましょと言ってくる。
それに耳を塞ぎ本の世界に没頭した。
ふと、お腹がすいたと思い時計を見ると深夜の2時をさしている。
家にある物で適当にと思ったがたまにはコンビニの栄養にならなそうな物を食べたくなり親の財布から黙って二千円抜き取り久々の外に出た。
適当なお菓子やジュース、おにぎりやカップ麺を買い帰路につく。
深夜って事もあり車や人通りがなく静かな世界がそこに有った。
大通りを渡れば家に着くし今時間車なんて来ないだろうと思い安全確認をしないで道路を横断しようとしたその矢先。
プップーとトラック特有のクラクションが聞こえたと思った瞬間右から物凄い衝撃を受けた。
あぁ、トラックに跳ねられたんだなと思考が追いつく頃にはぶつかった衝撃で身体中の骨は砕け、内蔵は砕けた骨によりズタズタに引き裂かれぐちゃぐちゃになる。
そのままの勢いで今度は地面を転げ回る。
頭を何度も打ち付け頭蓋骨はバラバラに砕ける。
地面との摩擦により皮膚はボロボロに剥がされ、ぐちゃぐちゃになった中身が外に出ていくのが分かった。
ようやく止まった頃には見るも無残な死体が出来上がった。
意識がまだ有る。
身体中が痛い。
痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
あぁ、でもこれでくだらない世界とおさらば出来ると思うと良かったのかな。
痛みと喜びの狭間に板挟みに成りながらもゆっくりと意識が薄れていき俺のくだらない人生は幕を閉じた。