誰も知らない俺の悩み
第2話
あらすじ通りに進まず申し訳ありません
次辺りからあらすじ通りの展開に進める予定です。
ホームルームを終えて、たった今ちょっとした休憩時間に入っている。だが俺はというと、同級生の男女から質問攻めに遭っている。
「ねぇ、何で橋内さんはスカートじゃなくてズボンを履いているの?」
「橋内さん!!身長小さいし顔立ちも整ってるからスカートの方が絶対似合うよ」
「橋内さん。よ、よよよかったら俺と連絡先交換しない?」
「あっ、おい。てめぇ抜け駆けすんじゃねぇよ」
「あははは」
「(苦笑いしかできない)」
橋内というのは俺の苗字で、何故質問攻めに遭わされているかというと。自慢ではないが俺の顔が形の整った可愛らしい女の子っぽい顔らしいからだ。それに加えて身長も160前半という女子に間違えられてもおかしくはない背丈。
『こんなことなら女の子に生まれたかった。もう学校に行きたくない』
小学生の頃に苛めを受けていた時、両親にそう告げた覚えがある。その所為で両親を泣かしてしまった。自分を産んでくれた相手に対して失礼極まりない言葉だったと後悔した。
当時の俺は、声も高く綺麗好きで女の子要素が多かった為、余計に苛めの対象になりやすかった。
声変わりさえ済めば、男として認識して貰えるだろうと思っていたのだが...どういう訳か声がより女の子っぽくなってしまった。
喉仏は見えにくいがちゃんと出ているのに、中学時代の合唱コンクールで男声のバスやテナーよりも、ソプラノの方が出しやすかったのを覚えている。
しかし、間違いなく俺は男だ。肉体が完全に男性のものだからな。
この学校では、女子に対して冬場の寒さに耐えられるように制服がスカート、ロングスカート、ズボンとどれを着ても良いようになっているらしい。
その為、余計に女子と間違えられる。馴れないなぁ、この状況だけは。
「おーい、要!!大変だなぁ人気者は!!」
こっちは疲れるだけなのに、この状況を楽しんでいる様子で登が近くに来た。
「(正直助かる。ありがとう登)」
「え?もしかして、橋内さんの彼氏さん?」
「いや、違うかr──」
「えぇ~。いいなぁ~。彼氏と同じ高校でクラスまでも一緒とか羨ましすぎるぅ~」
俺が否定しようとしたら濃いメイクの金髪ギャルの女子が遮った。
「(話し方がうぜぇ。それと、人の話を最後まで聞けよ!!そんなんでよく迎高に受かったなコイツ高校デビューですか)」
「彼氏君も大変だねぇ入学早々彼女がモテまくりで!」
「あはははっ、確かに彼女がモテると大変なんだろうねぇ」
「他人事はいけないよー」
「(それでいいんだよ。気付いてくれよ)」
「そうだそうだ。男なら女を守ってやれよ」
登の発言の意味も解らずに茶々をいれる周りの同級生達。言葉の意図をちゃんと理解してから言葉を選んでくれと願ってやまなかった。
「いやぁ、ないなぁ。うん、絶対ない。俺の恋愛対象は男じゃねぇから」
「いや、逆に同性愛者だったら引くわぁ」
「だったらさぁ、冗談でもそういうことは言わないでくれよ」
登の言いたいことがよくわかっていない皆は、自分達が何を間違えているのか考えもしないで聞き返して来た。
「は?一体、何の事?」
「要は女子じゃなくて男子なんだよ」
「・・・・・・」
登の言葉で漸く理解してもらえたと思っていると少しの間の沈黙が起こり、一人の女子が「またまた~」と言い言葉を続けた。
「そういう嘘は言わなくていいから」
「もう、からかわないでよ」
周りの皆も彼女の言葉に便乗するように周りも笑い始めた。
「「はあぁぁぁぁぁぁぁ」」
「(もうダメだ。諦めよう)」
俺と登の溜息がピッタリと揃った。間違いなく同じ判断をしたため、他を無視して二人だけの普段通りの会話をすることにした。
その方が効率的に男と認識してもらえるからである。
「そういやぁ、要は寮には入るのか?」
「まあね、そういや登もだよね。一応部屋番号は後で教えるよ。相談事にもできる限り付き合うし」
「そっか。そのときはお願いします。ん?待てよ。じゃあ依代ちゃんは家から通うかんじか」
「そうだね。依代は俺と違って親孝行者だから」
「お前も十分、親孝行者だと思うけどな」
「ちょっとちょっと。私達を無視しないでよ」
周りをスルーして会話を始め出した俺達に、茶色のミディアムヘアに笹の葉のヘアピンを付けた女子が割って入ってきた。
「(めんどくさいから気付かなかった事にしよう)」
「あれ?まだ居たんだ」
やっと信じる気になったと思ったか。って思ったけど明らかに彼女の目は好奇心に満ちたワクワクを隠しきれていない。
「酷!!それはそうと不純異性交遊は駄目だよ」
「(まだ女子扱いかよ)」
「そうだ、依代が寮に入る前に家に帰るように言っててさ、よかったら登もどうかな?孔雀の料理食べられるかもしれないよ」
「えっ!?マジで?行く行く。依代ちゃんの手料理は絶品だからなぁ。あっ要には負けるぞ」
「その言葉だけは、依代の前では言うなよ。以前登が口滑らした時に、あの後あいつ機嫌悪くして、俺の教科書全部危うく廃品回収車に持ってかれるところだったんだからさぁ」
「そうだったのか悪かったな。んじゃ。また後でなあ」
登が俺の席から離れていくと周りの皆は「本当に男子なんだ」と言い出し、そうとわかった男子は離れていき、一部の女子は違う意味で食いつき始めた。
「ねぇ女装に興味ないかな?」
「髪整えてあげるね」
「一回でいいから上目遣いしてみてくれない?」
彼女達の目は新しい玩具を貰った子供のように輝きを放っていた。
「(え、この人達は人の事を一体なんだと思ってるの?)」
最悪だ。普通にキモいとか言われて離れていくと思ってた。髪の毛を弄られてるのがよく分かる。
「やめて欲しいんだけど。えっと鮫川さんだっけ?何でポーチからメイク道具を出してるの?」
今、俺の目の前では、眼鏡を掛けた毛先が茶色い黒髪ショートの女子が、白いポーチからチークやアイシャドウなど色々な物を次々と取り出していた。
「おめかししてあげようかと思って」
「(マジで言ってるの?)」
「結構です」
その恐怖は既に知っている。中学の時に男子と信じてもらえず、無理矢理メイクさせられた経験があるからだ。ここは丁寧に拒否させていただこう。
「遠慮しなくていいから。詩野、莉菜お願い」
「はいよー」
「了解」
鮫川の言葉に返事をしながら、俺の両隣から明るい茶髪のポニーテールの女子と、両目の下に泣きぼくろのあるボブカットの黒髪女子が現れ、突然両腕を掴まれ身動きが取れなくなってしまった。
「ちょっとマジで、やめてくれぇぇ」
こうして俺は新なトラウマを刻まれた。
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