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そうです、ただの魔法使いです  作者: 玄上ひとえ
第3章 吸血の王と妹
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3 新しいギルドがちょっとやばい

ブックマーク増えて嬉しい。


「おはようキョータロー!」

「おはよう!」


 目を開けるとロエとガーネットがいた。


「……」


 どうやら死鏡夢から覚めたらしい。


 夢から覚めると毎度2人が居てくれる。見慣れた光景に安堵する。


「おはよう」


 少し微笑み挨拶をした。そして気付く。居心地の良さに浸り気付くのが遅れたが。


 ニコニコとした表情とは裏腹に、ガーネットの頬には絆創膏が。ロエの頭にはガーゼがグルグルと巻かれ、魔術師(クラウン)との戦いの跡が痛々しく残っていた。


「2人とも……傷が」


「ああ、これ?」


 ガーネットは自分の頬に目をやり、左の中指と薬指で優しく触れる。


「いいの! この傷は私の誇りだから」


 そう言って少しはにかむ。


「ガーネット……」


 1億トルカの賞金が懸けられたA級戦犯者と最前線で挑んだのだ。冒険者としては、此れ程までに誇らしい事はないだろう。


「確かに、誇らしいな」


「でしょ。私もそう思う」


 ガーネットはこれまで冒険者としては不遇な扱いを受けてきた。だから尚更なのだろう。


 全く、誇らしいじゃないか。


「それとね──」


 そしてガーネットはちらりと俺を覗き


「証でもあるから!」


「証……?」


「知ってる。キョータローにそうゆうの期待してないからピンと来なくていいよ」


「うぐ……ごめんなさい」


 そ、そこは頬をぷっくり膨らませて「知らない!」と言ってそっぽ向くとかじゃないんですかね。


 ガーネットさんときたら超笑ってるじゃないですか。


 魔法使いの扱いに慣れてきてますね、ほんと。


「ガーネットちゃんは優しいから許してくれるんだよ京太郎!」


「ロ、ロエ……」


 少しの間蚊帳の外にされたロエはぷんすこしていた。


 見た感じロエの方が傷が酷そうだ。頭に巻かれたガーゼ。jokerの大爆発で飛来した岩の欠片が原因だろう。


「す、すま──」

「建物が新しくなったら!」


 謝罪は思いっきり遮られてしまった。


「その店の料理も奮発すると思わない?」


「……? な、なんの話だ?」


「今日ギルドが新しくなってる筈なんでしょ?」


「あっ──」


「ギルドでご飯でも食べにいきましょ! 京太郎のおごりで! それで許してあげる!」


 ニシシと笑うロエの顔が眩しすぎる。


「ほらガーネットちゃんも! 京太郎も早く準備して」


「ロエ……」


「いいね! 私も早く行きたい!」


「でしょ! 楽しみだよね!」


 ロエとガーネットがキャッキャしている。


 というか、2人がいい子すぎる。


 ほんと、2人に会えて良かった。


「ほら! 行くよ!」


「ごめん、泣いていい?」



「「何で?!」」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 朝の陽射しを右手で遮る。こんな病み上がりにだって太陽は容赦がない。それでも嫌いではない。HPが回復しそうな感じがして。


 2人の催促する掛け声をよそに、少しだけ目をつむる。


 大丈夫……。大丈夫な筈なんだ。おっさんを信頼してない訳ではない。ただ魔法を信用しきれてない。

 確かに炎や風を巻き起こしたり、どうゆう原理か判らないが目の当たりにしている。


 今の時間は7時過ぎ。


 魔術師(クラウン)を倒したのが12時過ぎ。半日すら経ってないのだ。そんな時間で半壊したギルドが新しくなってるのだろうか。


 そんな事を考えると足取りも軽やかとはいかない。


 ただ──


「何してるの京太郎!」

「はやくー!」


 楽しそうな2人の声を聞くと悩んでるのがバカらしく思えてくる。


「ったく、そんなに慌てんなよ」


 思わず溢れた笑みを右手で隠し、2人の元へ駆け寄った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「あ、あがが……」


「キョウタロウ……コレ……」


「す、すご!」


 3人揃って口をあんぐりさせ見上げる。


 双塔形式のファサードが猛烈な威圧感と神々しさを放つ。

 側廊の控壁をつなぐ飛び梁──フライングバットレスに尖頭アーチ、窓にはステンドガラスが使われゴシック建築の大聖堂を彷彿させる。


「こ……これは……」


 圧巻。凄すぎる……。


 あまりの凄さに緊張状態になり両肩が上がる。

 そして冷や汗が垂れる。


 こ、これは1億ぽっちじゃあ無理だろう。いいのか……こんなに凄くて……。


 妙な罪悪感に囚われつつ、その姿に心を奪われてしまう。


 そしてそれは俺だけではなく──


「な、なんだこれは……?」

「なんだなんだ!」

「何でギルドがあった場所にこんなものが……」


 ザワザワと、


「ど、どうなってんだ?!」

「やややべえ、ギルド来たつもりが違う国に来ちまったぜ。どこで道間違えた?」


 朝イチにギルドに赴く冒険者、朝食にと足を運んで来た客。

 その皆が双塔を前にして足を止める。


「ど、どうする?」

「こ、ここ、ギルドだよな?」

「入っていいのか……?」


 いつもはズカズカと入っては声を張る荒くれ者達も入場を躊躇っている。

 その美しさにか、はたまた、その変貌に頭が付いて行っていないのだ。


「ガーネット、ロエ」


「「…………!」」


 ハッと我に帰る2人。


「ちょっと、入ってみるか……!」


「う、うん」

「そ、そうね、でも入っていいの?」


 恐る恐るロエが尋ねる。


「い、いいんじゃね?」


 大丈夫だろう。多分これはギルドだ。なら入ってもいいよな?


 いや、いいに決まってる。


「行こうぜ」


 どうしても好奇心が勝ってしまう。


 確証は無いが、この建物は絶対ギルドだ! そう思い込み、躊躇する気持ちを押し殺す。



「よし、入ろう」



 そう自分に言い聞かせるように2人に声をかけ、ゆっくりと中へ向かう。


 一歩一歩と近付くにつれて、その建物の精巧さに驚愕する。


「ほんとに……」


 魔法ってやつはつくづく何でもアリなんだな。おっさんと対峙したのが深夜12時過ぎ。今が朝7時ほど。元の世界なら有り得ない。有り得るはずがない。


 突貫にも程がある。いい加減にしろこのハリボテ! と叫んでやりたいが……


 目を建物の左に、右に、上に。


 完璧に完成されている。竣工している。文句の付けようがない。


 ヤバすぎるだろ。


 入り口をくぐると壮大な大空間が待ち受ける。


 シンとした空気に、ステンドガラスを透過した光が様々な色を写し出す。


「や、やべえ」


 神秘的な雰囲気に思わず溢れる感想。


 人間本当に凄いものを拝見した時は語彙が小学生レベルまで下がるのだと感じた。また、自分は展覧会とかそうゆうやつの評論家とかは向いてないんだろうなと思いましたまる




最後まで読んでいただきありがとうございました。

ギルドのモチーフは昨年燃えたあの建物ですね。私ビックリしました。先週二級建築士の試験が終わり気持ちが楽になりました。今年は西洋の建築史はでなかったなぁ。まあ、得意ではないのだけれど。

まあ、不定期更新にはなりますが宜しくお願い致します。

ちょっと小説のあとがきみたいに書いてみたかっただけ。

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