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そうです、ただの魔法使いです  作者: 玄上ひとえ
第3章 吸血の王と妹
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1 ママとお呼び!

リハビリ。久しぶりの投稿です。

2章の倒れた後の続きです。



「ガァアアアアアアアアアアアアああああああああああ゛──ッッ!!!!」



 唐突に訪れる激痛で目を覚ます。スリープ状態でも御構い無しと言わんばかりの猛烈な痛み。


「あががががががががガガガガガカァアア」


 体が反り返る程の激痛が一挙に襲いかかる。


 突然目を覚まし、ここが何処なのかも、今どうなっているのかも考えることができない。ただ次々と訪れる痛みにのたうち回ることしかできない。


「アガがががが……ハァア、アド……アドレナリンがァアア」


 真っ白な空間を染め上げていく真っ赤な流血。ドクドクドクと溢れていく灼熱の濁流。


 しかし拡散伝播していく濁流を上書きする圧倒的な光が正面から現れる。


 そして突然──



「目を覚ましなさい、朝山京太郎!」



 ──と。


 止めどない光源から何時(いつ)ぞやに聞いた事のある台詞が聞こえた。


「あががぁあ……? ベリル……?」


 神々しい光のせいで顔は見えない。だが何となく分かった。今回は予習をしていたのが大きいのかもしれない。


「朝山京太郎、目を覚ましなさい!」


 俺は起きてる。目なんかとっくに覚めてる。むしろのたうち回ってるんだぞ!


 痛みでまともに応答できてないせいか、しつこくベリルに呼び掛けられるんだが……というか問題はそこじゃない。


「朝山京太郎! 朝山京太郎!」


「アガががががががががががァアア!」


 状況を察っせ! 分かるだろう! 血だらけで奇声を上げてのたうち回ってるんだ!


「ぐがががぁががが……」


 やばい、痛い。痛い。痛すぎる。


 何でベリルが今更光を発しているのかが分からん。まるで初対面の時の様なやり取りをしているのかもさっぱり分からん。分からんが、このままだと『私の正体を当ててみなさい』とか聞いてきそうな流れだ。


「あがががが」


 そうなる前に──


「私の正体を──」


「うぉおおおおおおおおおベリルゥウ!」


 決死の覚悟で血だらけの体を起こし、


「タイマンを張ってくれぇええええええええええッッ!」




「────え?」




 絶句するベリルを御構い無しに、鬼の形相で光源へ突っ込んでいく。


 アドレナリン……オラにアドレナリンをくれぇええええええええええ!


「何⁉︎ 何なの⁉︎」


 血だるまの肉塊が突然迫ったせいか、光源は動揺しながら後退していく。


「もう遅い! 脱出不可能ヨォおおおお!」


「きゃあああああああああああッ!」


 迫りに迫った光源から奇声と鈍器の様なものが飛んできた。


「うげファッぶ!!」


 見事なカウンターが脳天に喰らい、再び意識を失う。


 受け身を取る事もなく重力に従い倒れていく。


 ゆっくりと、ゆっくりと倒れる最中、さっきの奇声が妙に頭に残る──。



 あれ…………



 なんか……声違ったくね…………?




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「目を覚ましなさい、朝山京太郎」



 落ち着きのある、そして慈愛に満ちた声で優しく問いかける……


「う、ん……?」


 眩しい光に包まれ、ゆっくりと目を開ける。痛みは全く感じない。


 ベリルが治してくれたのか?


 そして妙に胸が暖かい。心地の良い熱に、ずっと寝ていたいと思ってしまう。


「目を覚ました?」


 どうやら、それは叶わぬ夢らしい。ベリルが起きるのを待っているらしい。痛みが消えたのも、心地の良い熱もベリルのお陰なのだろう。


 左の親指で目をこすり、ゆっくりと体を起こす。


「ん……すまんベリ……ん?」


 白銀に染まる長い長い髪に、おっとりとしたエメラルドの瞳……


「──ん?」


 母性に溢れ、成熟した豊満な体…………


「誰?」


 思わずこぼした率直なセリフ。


 ベリルに似て全く異なるこのひと。


「あらあら、随分な物言いだわ」


 ふふ、と鼻で笑いながらそのひとは俺を見る。諭すような瞳に思わず尻込みをする。


 女神という存在は未だに信じ難いが、感覚的に悟ってしまう。それ程までに神々しく慈愛に満ちている。


「す、すみません。知り合いと随分と似てらっしゃるので、つい……」


「あらあら〜、そんなに若く見えるかしら」


 頬を緩ませご満悦な様子で俺を見てくる。


「それはもちろん」


「あらそうかしら〜」


 どこの世界でも、女性はいつだって女性らしい。


「あの、単刀直入に聞かせてもらうのですが……」


 知り合いとしか言ってないのにこの方は『若く見える?』と問いかけてきた。それだけで話が進むのは普通は違和感がある。しかしそれを違和感と感じなかったのは──


「お母様でしょうか……?」


「あなたにお義母様と言われる筋合いはなくってよ?」


「いや……言ってないです」


「お母様と言われる筋合いもないわ!」


「あ、すみません。では何とお呼びしましょう」


「お母さんでいいわ。もしくはママで、こっちは推奨よ」


「は、はあ……」


 予想以上に絡みにくくて焦る。しかも解答が得れなかった。


 しかし容姿が全てを物語っている。さっきの会話はyesという事にしておこう。


 だが何故ベリルのお母さんが俺の死鏡夢に出てくるんだ?


 いつもはベリルと会う流れなのに。今回はベリルではなくお母さんなのは何でだ?


 ──ピシャン!


 ふと体に一筋の電流が流れる。そしてある仮説が立てられた。


 ま、まさか……


 前回告白(?)したからお母様が直々に来られたとか……? むしろそれしか考えられない。


 俺はちらりとお母さんを見る。


「……ん、どうしたの?」


 お母さんはニコニコと、慈愛に満ちた笑顔で見つめ返してくる。


 ……確定だ。


 あの笑顔は嵐の前の静けさだ。まずいな、どうやって誤解を解こうか。


「あの……お母さん」


「…………」


 お母さんは何故かそっぽを向いた。


「?? あ、あの……お母さん?」


「……プイッ」


 お母さんはオノマトペを発して頬を膨らませ、さらに明後日の方向を向く。


「……ま、ママ?」


「なあに!?」


「………………」


 推奨って意味知ってます?


「ママ、ベリルの事で──」


「三度目」


 お母さんはここでピシャリと断ち切る。それは俺の言葉とおっとりとした空気まで。


「一度は突然襲いかかった事。二度は『誰?』という発言。そして今が三度よ」


「────」


「私は仏より寛大だから三度は許してあげる。だけど次は無いわよ?」


 顔は今まで通りおっとりしている。


「──……」


 しかしどの顔よりも恐い。睨みつけられたり、眉間にしわを寄せた顔なんかよりも恐ろしい。


「す、すみません」


「いいわよ。それで?」


 恐怖で震えつつも、表には出さず考える。俺は何をやらかした?


 確かに、初対面でタイマンを張れと襲いかかった。さらに目を覚ますや否や『誰?』と失礼な事を言った。


 後は何だ? 何をした? 何もしてない筈だが……


「黙ってどうしたの?」


 優しい瞳で促すお母さん。これを失敗したら死んでしまうのではないかと錯覚してしまう。


 せっかく生き延びたと言うのに……


 俺は何をしでかした?


 何もしてない筈だ。何もしてない。



 ──何もしてない?



 何もしてない……何にもしてないじゃないか。


「ママ」


「はい?」


 そうだ。何もしてないから怒ってるんだ。


「傷を治して頂きありがとうございます」


 俺は誠心誠意頭を下げる。


 そうだ。まずは治してもらったお礼をすべきだったんだと思う。仮に違ったとしてもこれはすべき事だろう。


 お母さんは一瞬驚いた表情で目をパチクリさせるが、すぐにニッコリと笑い──


「どういたしまして」


 優しく返してくれた。


「あなた、思ったより見込みがありそうね」


「あ、ありがとうございます……」


 俺は溜まりに溜まった息を一気に吐いた。そして安堵した。正解かは分からないが間違いではなかったようだ。


 しかし本当に大人だ。見た目とは裏腹に、自分なんかがガキンチョだと思ってしまうほどに。


 いつボロを出すか分からんから、なるべく話すのは控えよう。すでにリーチ掛かってるし……


「それであなた」


「は、はい?」



「──ウチのベリルが何ですって?」



「あっ──────」



 あ…………。





 オワタ\(^o^)/






拙い文お許しください。そして読んで頂きありがとうございます!!

めさ嬉しいよ!

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