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そうです、ただの魔法使いです  作者: 玄上ひとえ
第1章 魔法使いと入れ替わりました
8/89

6 大女神様は信者が少ない

 略してはが(ry


「目を覚ましなさい、朝山京太郎! 」


「…………」


 誰だ? 誰かが俺の名を呼んでいる。


「朝山京太郎、目を覚ましなさい! 」


 誰だろう……しかしすごく眠たい。


「朝山京太郎! 朝山京太郎! 」


 随分呼んでいるが、すごく眠たい。



「…………童貞 」

「なんだとコラァアアアア──ッ! 」


 一瞬で目が覚めてしまった。


「やっと起きたわね腐れ童貞! 」


「だ、誰が腐れ童貞だ! 」


「あなたの事よ、朝山京太郎」


「ぐっ……」


 ど正論のため何も言い返せない。というかこの声は誰? ここはどこ?


 真っ白な空間に、既視感を覚える幻想的な光が──もの凄く差し過ぎて何にも見えない。声的には女なのは間違いないのだが……


「ちょ──、光が強過ぎて全く見えん! 」


「当然よ! 私を誰だと思っているのよ」


「分かんねーよ! せめて光を弱めてくれ」


「ダメよ、あんたみたいな童貞が私を見たら昇天するわよ」


「だ、だだだ誰が童貞だ! 」


「だからあなたよ」


「ぐぅ……」


 こ、こいつ……


「まあ、いいわ。私の正体を当てれたら弱めてあげるわ」


 『もの凄い妥協してあげました』みたいな口ぶりでその女? は言う。いや、じゃないと話が進まんだろ!

 まあいい……


 まずは状況整理だ。この真っ白な空間、そして物凄いものの美しく既視感を覚える幻想的なこの光──


「さては女神か? 」

「女神様! 」


「……さては女神様でしょうか? 」


「いやははぁ! まあ、さすがに、私みたいに女神オーラ溢れまくってたら分かって当然か〜、でへへぃ」


 何だこの女神は……女神って当てられてすごく喜んでいる。以前あった女神──ユラさんとは大違いだ。


「当たったんなら光を……」


「うーん、でも30点かな。その回答だと」


 この女神めんどくさいな……


「なら、超絶美人の女神様! 」


「でへへ! えへへぃ、50点! 」


 あー、そうゆうやつか。褒めちぎれば点数上がりそうだな。俗にいうチョロい奴だな。


「スーパーグラマーで超絶可愛い女神! 」


「えへへ、えへ、えへへ、そんなに褒めても点数しか上がらないよ、もー! 」


「よっ! 世界一の美しさ、皆んなに愛される女神様! 」


「いや〜、参ったね! こんなに熱心な信者がいるなんて、えへへへ、80点! 」


 あと少しだ


「いよッ! 全ての頂点に立ちし大女神様!」



 ──その途端



 幻想的な光が消え、一人の女が迫ってくる。そして勢いそのまま抱きついてきた。


「ぐほぉアア 」


「朝山京太郎大好き! もう大好き! 好き好き! 」


 その女は俺の顔に頬をスリスリしながら言う。


「なっ、」


「だーい好き! 朝山京太郎! 」


 スリスリスリスリ──


「ちょ──、離れろ」


 色々追いつかないので、とりあえずその女を引き剥がす。剥がされた女はむぅっとしている。


「だ、誰? 」


「さっきあなたが答えたじゃない」


「え、じゃあ女神様? 」


「それだと30点と言ったはずよ」


「超絶美人でスーパーグラマーで皆んなに愛された全ての頂点に立っている女神様? 」


「えっへへへ、間違いではないんだけどね〜でへへぃ」


 その女神様は照れながら頭をかく。


「簡単に言うと、No,1女神。女神の頂点に立つ大女神・ベリル様よ! 」


「──なっ 」


 目の前の大女神様は胸を張ってドヤ顔をする。スーパーグラマーって程では無いが、黄金比にも似たその体に合った胸のサイズは、大きくなくとも妙な色気を感じさせる。


 そしてユラさんより一回り幼い体、白銀に輝く長髪をさらりとなびかせ、エメラルドに煌めく美しい瞳で俺を見据える。


「な、No,1女神……様? 」


「そうよ、私が女神の頂点に立つ大女神よ! 」


「と言うことは、魔法使いと転移させたのも……」


「そうよ、私のお陰──きゃあぁ痛い痛い」

「お前かアアアア──ッ! 」


 俺はベリルにアイアンクローをかます。こいつだったのか!


「痛い痛い──って、離しなさい! 」


 ベリルは俺の手を振りほどく。若干泣きそうな顔で。


「朝山京太郎、図が高いわよ! 私はNo,1女神なのよ。大体の人は私の正体を知ると頭を下げるのよ! 」


 他の人はどうか知らんが、俺は一発殴ってやろうと思っていたのだ。それがこんな幼い子だったので気は引けたが……

 ガーネット程は幼くは無いが、No,1女神って言うからお姉さん系かと思った。


「私が女神になってから初めての暴挙よ、あなたの言動は」


「そうか」


「そうかって……もー! 信じられない! 許さないんだから! 」


「悪かったよ、超絶美人なスーパーグラマラスなベリル様」


「ま、まあ? 大女神の私は寛容だから許してあげるわ! 」


 チョロいな〜


「それで、ベリル様。何の用ですか? 」


 全く、やっと話が進められそうだ。


「そうね、まずはそこからね」


 ベリルはようやく女神っぽい顔に戻った。


「簡単に言うとあなたは今半分死んでるの」



 …………またか。



「何ですか? また俺の魂はどこかに転移されるんですか? 」


「いいえ、あなたは寝てて意識が無いからそう例えただけよ」


「…………そっすか」


「そして、今あなたの夢に私が入り込んだの。重要な話があるから」


「そうなんですか。何でNo,1女神様がわざわざ? 」


 分からない事だらけだが、一番かになるのがそこである。なぜNo,1女神様が直々に?


「それはあなたが私の加護を選んだからよ」


「加護ってあのセンスの無──」

「そうよ! あのかっこいい名前の加護の事よ!」


 フフンと胸を張って答える。


 ……センスの無い名前の加護って言わなくて良かった。


「加護と言うのは女神が作るの。そしてその加護を承った者の担当をしないといけないの」


「なるほど……」


「私の加護はハイセンス過ぎて誰も選ばないのよね、だからあなたは中々のセンスの持ち主よ! 」


「そっすか……」


 あの時、時間が無くてヤケクソ気味に選んだなんて言えない……


「そうよ、あなたはセンスが良いのよ! 断言したあげるわ」


 これ、俺を褒めてるようで自分を、そして自分の加護を褒めてないか?

 あまり釈然としないが断言までしてくれるのは嬉しいな。


「そして、選ばれると思ってなかったから加護の力あまり強くないのよね」


「えっ⁉︎ あれでか! 」


 ロエに噛まれた傷を一瞬で治癒し、盛大にこけた時も……


「当然よ、私はNo,1女神なのよ! そこらの女神なんかと一緒にしないで」


「すみません……」


「まあ、朝山京太郎は熱狂的な私の信者のようだし許してあげるわね、えっへへ」


 いや、信者でもないんだがなぁ。この女神もしかして信者とか居ないんじゃ無いのだろうか……


「あ、ありがとうベリル」


「ベリルですって⁉︎ 」


 しまった、つい──


「いや、ベリル様! 今のは言葉の綾でして、俺より幼く見えたのでつい……」


 ベリルは顔を赤くして、口をむぐむぐする。


「ま、まあ? 朝山京太郎は? 私の信者第1ご──」

「1号⁉︎ 」


 ベリルは急いで口を押さえる。


「あっ、いや違──ご、5000兆……そうよ5000兆よ! あなたは5000兆1人目の信者よ! だから調子に乗らないで! 」


「そんなにいねぇよ! 」


「ヒイィィ! 」


 思わず突っ込んでしまった。あーでも5000兆円欲しいなぁ〜


「その、だから端数代表のあなたは、特別にベリルでいいわ……」


 もはや何言ってるか全く分からないが、俺の脳内翻訳機で翻訳すると


『初めての信者が出来て嬉しいな! 仲良くなりたいからベリルでもいいわ。別に好きとかそうゆう事じゃないんだからねっ! 勘違いしないでよね!』


 と言う事だろう。納得。


「分かったよ。これからもよろしくな、ベリル」


 俺はベリルに手を差し出す。ベリルはまずは周りを見渡す。そして自分にされているのかを確認する。


 ロエの時と全く一緒である。まあ、俺でもまずは周りを確認するからな。気持ちは分かる。

 そして異性からなら広範囲を確認する。影でクスクスと笑うカースト上位勢が居るかもしれないからな。


 そしてベリルは、おずおずと手を握る。


「「よろしく 」」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「それでベリル、加護の力が弱いっていうのは? 」


「そうだったわね。今あなたに働いている『体力がエグい』って加護なんだけど、急だったから本来の1/3の能力も発揮されてないの」


「マジか! あれで……」


「そうよ、あなたあのキショいオッさんに右腕砕かれたでしょ? 」


 キショいオッさんって……確かにキショく悪かったけど。右腕の骨をバキバキに折られたんだよなぁ。


「あなたは今40時間以上寝ているのよ」


「40時間! 」


 思い出した、確かにミノタウルスにジャーマンしてガーネットを褒めた後に倒れたんだっけか。


「そう、あんな怪我で40時間もかかってるの」


「あんなって、右腕の骨バッキバキを40時間で直すのも凄いけどな」


「まあね、でへへ! 私は大女神だからね〜」


 デレデレと頭を掻くベリル


「でもね、あの加護はもっと凄いモノなの。なんせ私が作ったモノだからね〜へへぃ」


「そっすか……」


 まあ、確かに凄い加護だと思う。


「だから今回は特別に私が直したあげる」


「それって? 」


「まあ、見てなさい」


 ベリルは俺の右腕に手を当て──


「《いたいの、いたいの、とんでいけ〜》」


 するとベリルの手が光りに包まれ、俺の右腕が猛スピードで治癒していく。


「はい、おわり〜」


 俺は手をブンブン振ってみる。


「すげー、本当に治ってる……」


「だーって、私は大女神なんだもん! 当然でしょ! 」


「ありがとう、ベリル」


「えへへぃ〜もっと褒めていいよ! 信者の敬意は素直に受け取っておくわ」


「さすが大女神様! 」


「まあねまあね! よく言われるからね〜!」


 ベリルはえっへんと胸を張る。


「まあそうゆう事だから、加護が本来の力を取り戻すまでは無茶厳禁だからね、折角の信者なんだから死なないでよね! 」


「ありがとう、気をつけるよ」


「要件はそれだけだから、今日は楽しかったよ朝山京太郎。暇な時に遊びにいくからね〜」


「ああ」


 そういうとベリルの姿は消え、空間自体も消えていった。




 最後まで読んで頂きありがとうございました!


 

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