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そうです、ただの魔法使いです  作者: 玄上ひとえ
第2章 魔術師と猩々
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17 奇襲

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!



「……ロエ?」


「きょ、京太……いや、人違いです」


「人違いな訳あるか!」


 バツが悪いのか、ロエはフーフーと口笛を吹きながら(吹けてない)そっぽを向く。


「おいロエ……学校は?」


「ぎくっ」


「丸わかりかよ」


 リアクションを口で言うあたり天然だよな。そもそも今ロエが着てる服って、俺と一緒に行った時に買った服だから間違いようが無いんだよな。


「あのぉ〜ロエって誰ですか? 私の名前はラブ=ファントムよ!」


「亡霊になって出直してこい!」


 だと言うのにしらを切り続けるロエ。偽名のセンスが良かったから腹が立つ。


「それでロエ。今日学校は?」


「だから私の名前は──」


「あー分かった分かった。学校サボるのも程々にな」


「さっ、サボってなんかないわ! だって私はラブ=ファントム──」


「あー分かったよ。それより今日の晩飯はここでいいか?」


「わーい! ありがと京太ろ……はっ!」


「はっ! じゃねえよ」


 やってしまったと言わんばかりの顔のロエは慌てて口を押さえる。いや、最初っから分かってたから。


「……バレた?」


「当然だろうが。というか隠す気ゼロだったろ」


「えっ⁉︎」


「え?」


 何でここで驚いてるんですかねぇ、この天然は? 本気で騙せていると思っていたのだろうか。


「まあサボるのも程々にな」


「サボってないわよ。今日は全休だったの!」


 ぷっくりと頬を膨らませて弁明するロエ。サボってるのを隠してたくて偽ろうとした訳では無いのか……。


「だったら何で?」


「そ、それは……」


 少し顔を赤めて視線をそらすロエ。さらさらでピンクの髪を人差し指でいじりながら言葉を紡ぐ。


「ガーネットちゃんや京太郎に……置いていかれたくない……から……」


「べ、別に……俺は置いて行ってないだろ。未だに魔法使えないし」


 まあ現状ガーネット(最年少)がぶっち切りトップ独走状態なんだよな。


 それより……


 ロエは言ってて恥ずかしかったのか更に顔を赤くし、前髪で瞳を隠している。


「…………」


 そんな健気な事言われたら、こっちまで照れるじゃねぇかよ。


「ま……まあ、あれだな。俺たち2人が最年少に頼りっぱなしってのも格好悪いしな。だから協力しようぜロエ!」


「協力?」


「ああ。丁度俺もクエストを受けようと思ってた所なんだ。だから一緒に受けないか?」


「そ──……うん。そうね。受けましょう!」


 少し儚げな表情を浮かべたロエだが、すぐさま微笑み合意する。


「ちなみにロエはどんなクエストを受けようとしてたんだ?」


「うーん、そうね。思い切ってこれを行こうと……」


 そう言ってロエが渡してきたチラシ。



『見たものを石に変える女王・メデューサ討伐』……。



「──待て待て待て待て!」


「どうしたの京太郎?」


「どうしたもこうしたも、これガチもんのメデューサじゃん!」


「ガチも何も、メデューサはメデューサよ」


「えぇ……」


 ロエの言動に半ば絶句しかけている。


「しかも報酬金320万トルカて……」


 参考までに、怒り狂ったミノタウルスの報酬金が15万トルカだ。


「……無理だろ。俺一瞬で石にされそうなんだけど」


「で、でも倒せば320万トルカよ」


「そのギャンブラー思考は直した方がいいぞ。別にロエは追い込まれる様な事態では無いだろう」


「追い──……」


 またしてもロエは儚げな表情になる。


「で、でも竿殺し(ロッドアウター)は700万トルカだったじゃないの」


 それでも何故か、妙に食いかかってくる。


「あればちょっと特殊なんだよ」


 モンスターもそうだが報酬金というのは対象の強さの他にも、与えた被害の数でも増やされる。


 例えば竿殺し(ロッドアウター)。異名の由来でもある様にギルドの竿を折りまくった事で報酬金がアップされている。


 そして何より竿殺し(ロッドアウター)の実力は海水の中で発揮する。釣り上げて戦ったのは異例だと言う。


 レイネスさんの話によると海水生物の陸での戦闘力は本来の1/5程度らしいのだ。あくまで参考程度らしいが。


 つまり単純に考えると俺が戦った竿殺し(ロッドアウター)は120〜150万トルカのレベルだったのだ。


「ロエ。考え直せって!」


「大丈夫! 秘策はあるの!」


「秘策?」


 フフンと胸を張るロエ。いつもの服装では無いので多少はマシだが、それでも2つの山がこれ見ようがしに強調してくるので注意が必要だ。


「そう、これよ!」


 そしてポケットから現れる手鏡。


「見たものを石に変えるって能力を逆手に取るのよ! この鏡でメデューサを石にするわ」


「あ、なるほどね。そりゃ凄い。その鏡でメデューサ本人を石にするのね。なるほどなるほど…………」



 だったら、姿見の方がいいなッ!


 

 カミナリの如く突っ込みを入れたかったが、作戦自体は名案なのでやめておいた。


 突然賢くなったと思ったらそうゆう事かよ。本当、ロエはロエだな。別に褒めてないからね。これは揶揄やゆってんだよ? 




「…………姿見も買って行こうぜ」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 ──草原



 結局俺とロエは姿見を2つ購入し、背中に担いでクエストを受けることにした。


 メデューサは山奥に居るとの目撃情報なので、山奥に向かうことにした……が、山奥にはトラウマがあるから気が乗らない。


「そういえば京太郎は何でギルドにいたの?」


「俺は猩々の件について役人さんに聞こうと思ってだな」


「しょうじょう……?」


 小首を傾げ、カタコトで聞き返すロエ。


「実はな、かくかくしかじかで……」


「……京太郎ってバカなの?」


「まあな。3億トルカとは言え、こんな大ごとなクエストに──」


「違うわよ。かくかくしかじかで通じる訳無いでしょ! 3億って何の話よ!」


「……ですよね」


 勢いだけではどうにもならない事も有るんですね。反省。だがロエにバカ扱いされるのは癪だな。


「悪い悪い。実はな…………」



 スタスタと歩きながら、今度はちゃんと話す。猩々の事、壺と柄杓の事、3億の事、一応極秘事項という事も──。


「さ……3億ぅうううううううう──ッ!」


「バカ! 声が大きい」


 俺はすぐさまロエの口を押さえる。極秘事項って言っただろ!


「ロエさん、一応極秘事項だからな。意外と広まってるとは言え、これ以上ライバルを増やされても困る」


 どこで誰が聞いてるかも──



『今の話、詳しく聞かせてもらおうか』



「「──ッ!」」


 突然、目の前に現れた黒子の様な格好の人物。……誰だコイツ?


「ほら見ろロエさん。早速聞きつけてやって来たじゃないか」


「え? 私のせい?」


「まあ違うだろうな。察するに手ぐすね引いて待ってたんだろう」


『…………』


 全身を黒で覆い、顔まで見えないコイツは怪し過ぎる。はっきり言って不気味。まず味方のたぐいでは無いだろうな。


『もう一度言う。猩々の件(、、、、)について知ってる事を話してもらう』


「──ッ⁉︎」


 こいつ……


 ロエは『3億』という単語を叫んだが『猩々』とは一言も喋っていない……。


「はっ、お断りだね。長い時間待ってたんだろうがお帰り──」



 刹那。黒子が消え──ッいや、



 目の前に──ッ⁉︎




『はいお前死亡』




「──はっ?」








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