プロローグ
アルミア国で行われる子探しの儀、それは15歳から20歳になるまでの5年間、自分だけのパートナーとなるモンスターを見つけ旅をするというものだった。
主人公アルタとモンスター、ヴァルジがお互いを通し成長していく物語。
人間とモンスターが共存するアルミア国。そこでは15才になると行われる子探し儀があった。生涯を共にする子となるモンスターを求め、平民のアルタは森へ向かう。そこで出会ったモンスター「ヴァルジ」と共に数多の困難と立ち向いながらアルタとヴァルジは成長していく…
木窓から朝日が差し込む、アルタはその日の光で目を覚ました。ここはアルミア国の西に位置するリムルの村。家畜を商業の生業として帝都に肉を運んでいる
人口は100人程の小さな村だがこのアルミア国に無くてはならない村だ。山岳部に囲まれている村で近隣に凶暴なモンスターがいないため平和な日々を村人は過ごしている。あえて問題があると言えば、高齢化だろう。辺境の地であるため若者が帝都移住を夢見て都会に出ていく。そのため村の人口の40パーセントが60歳以上という状態で若者の手が足りないというのがリムル村の現状である。
「今日も良い天気だ」
シーツからもっさりと起きながら窓に目をやりそう呟く。二階建ての木造の家。その木窓から家畜たちが牧草地で草を食べている光景が見える。15年間見慣れた景色だかアルタはこの風景が好きだった。
「トトリカ」それがリムル村で飼われている家畜の名前だ。一般的に乳からとれるミルクが産業として主流だったが貴族が面白半分で食肉したことから美味とされ食肉用の家畜としても主流となった。見た目は大きく発達した角、茶色の毛、そして3メートルは巨体。性格は臆病で暴れることはほとんどない大人しい草食獣だ。
「アルタ!朝ごはんできてるわよ!起きなさい!」
階段から母親の声が聞こえる。その声に適当に返事をしてアルタは階段を駆け下りた。
一階に降りるとそこには用意された朝食が置いてあった。目玉焼きと焼きたてのパンが空っぽの胃袋を朝から刺激する。
「母さん、おはよう」
「はい、おはよう寝坊助」
適当な朝の挨拶、これも日課といえば日課だ。農業を営んでいる両親の朝は早く父は日の出前に家畜を牧草地に放つため外へ、母も父の手伝いをした後アルタの朝食を作りに一度家に戻ってくる。アルタが起きるのは両親が起きた後の1時間後くらいだ。そのため寝坊助アルタなどと妙なあだ名が両親につけられた。
「アルタ、私はこれからトトリカの餌を買いに山を降りるからあんたは父さんの手伝いをしてちょうだい」
そう言いながら母は外へ出て行った。
アルタも朝食を早々にすませ、身だしなみを整える。
赤毛の長髪を束ね、樽にためられた水で顔を洗う。
そしてアルタも仕事をしに外へ駆け出した。
とりあえず完結させるまで頑張る予定です。6年ぶりに小説を書いてみる気になったので昔できなかったファンタジー物に挑戦してみようと思っております。
頑張るぞ!