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プロローグ

「はぁ…もうだめだ…」

私はこの世の全てに絶望していた。遡ること数時間前。


☆☆☆


「正直に言ってあなたのこの成績だと高校進学は厳しいですね。高校受験をするか、この夏休みで挽回するかどちらにしろかなりの努力が必要です。夏休み期間中、毎日全教科補修に出てもらいます。指名補修なので、ご家庭にも通知を出させて頂きます。」


「え、毎日ですか?部活は?」


「第一これはあなたの見通しの甘さが招いた事態です。しっかり勉強していれば補修はなく、部活にも出れたでしょうに。何があっても学生の本業は勉強。部活は二の次三の次です。優先順位を間違えないで下さい。分かりましたか?」


「はい…」


☆☆☆


私の学校は中高一貫なので、本来ならば中学から高校普通に上がれるはずだった。しかし、成績不足でそれが危うい。勉強はそれなりにがんばった。なのにそれを担任に指摘され、更に夏休み毎日補修ときた。部活にも満足に出られないかもしれない…。私は、何をしてもダメなのかもしれない。私なんか、いなくなったほうが…

ああ、もうだめだ。思っただけでも涙がこみ上げてくる。本当は泣いて泣いて発散したい。でも、プライドがそれを許さない。あいつに泣かされたなど、絶対に嫌だ。悔しさ、後悔、色々混じって晴れぬ思いを抱え、だけどそれを晴らすことも許されない。もう、どうしたらいいんだろう。いっそのこと死んでしまいたい。生徒が自殺すればあいつに一泡吹かせられるかなぁ。でも、私にはどうせ死ぬ勇気もない。何もできず、何も言えず、ただ奴隷のように毎日補修に行くだろう。そう、奴隷だ。私はまさに奴隷。生きて行くためには衣食住が必要だ。それを満たすため人間は働く。人は、生きている限り生に執着する奴隷だ。死んではじめて晴れて自由になれる。だが、生憎死ぬ勇気は持ち合わせていないし、中には幸せな人生を送っている連中もいる。幸せな人間を見るとそれもまた違うのかなと、思う。どちらにしろ私には分からないことだし、目の前には困難な現実が見えている。とりあえず現状を打破しなければ。


何をしたらいいのか分からないし、何もできない弱い自分が嫌になる。私はいつだって人や周りに流され、自分の意見もろくに言えず、常に他人の顔色を伺って他人に合わせて生きてきた。それは、怖かったから。もし、他人と違う行動をして、他人に意見して、自分の道を行ったら。周りにどう思われるか、どういう目で見られるか、想像するだけで怖い。でも、周りに合わせて都合良く生きて行けば、そんな心配は必要ないし無駄な苦労もせず、とても楽だろう。そうやっていつもいつも楽な方向にいってしまう自分が私は大嫌いだ。そんな自分はどこかにいなくなってしまえばいいと思う。しかし現状はうまくいかず気付いたら偽りの仮面を被ってる自分がいる。

どんな自分をも受け入れ、どんな困難にも立ち向かい、自由に生きていく強さがほしい。


「あゝ、強くなりたい…」


気付いたら心の声が漏れていた。


“その願い、聞き届けたり。”


えっ!?と思い、周りを見回してみたが、誰もいない。おかしいな、確かに声が聞こえたのに。ああ、ついに幻聴まで聞くようになったか…もう、終わりだ…。


そう思った時、辺りが光に包まれ、私は異世界に召喚された。

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