YES李
「初めまして『もう1人の私』っ!私は『本当の貴方』!名前はそうだなぁ…あ、じゃあYES李はいりって呼んでねっ☆」
そう生まれたままの姿で目の前に座る少女は言う。まずは状況を整理してみよう。
私は昨日いかにもなかんじで胡散臭い『本当の自分を見つけるアプリ』というのをインストールして起動したが、何も起こらなかった。だが変な夢を見て、目が覚めるとそこには全裸の天真爛漫系美少女が。
私自身も何を言ってるのかわからない。だが夢ではなく本当に目の前で起きている現実なのだ。
「あれ?どうしたのいきなり目の前に全裸の美少女現れた○ト的な顔して…」
「いや現れてんのよ実際!!てか誰がトラ○るのハーレム主人公よ!!」
何故私がトラ○るを知ってるんだとかそういう話は今はどうでもいい。
「まずは服着なさいよ。話はそれからよ」
クローゼットに閉まって置いた数少ない服を取り出そうとすると、待って、と少女から声をかけられる。
「へ〜んし〜ん!!」
可愛らしい声で叫ぶ。一瞬何をやっているのかと怪訝な顔をしたが、それも一瞬で変わる。いきなり何もないところから服が出現し、それを少女が纏う。
「なんでもありですか貴方…」
もう、今日は学校休んでもいいですかね神様。
そうは思っても学校は休めるはずもなく、いつも通りの納豆セットを用意して情報番組をつける。いつもと違うのは目の前に自分以外の誰かがいることくらいだ。
「早速だけど聞かせてちょうだい。貴方は一体何者で、どこから私の部屋に入ったの?」
だが、何が癇に障ったのか先ほどとは違うふくれっ面になりながら答える。
「あなたじゃなくて、ちゃんとYES李って呼んでよー…じゃないと答えない」
「何よそれ…じゃあYES李、ちゃんと質問に答えて」
今度は名前で呼ぶと、先ほどまでとは違う満面の笑みとなりハキハキと言う。
「えっと、さっきも言ったけど私は『本当の貴方』…『本当の自分』だよ。どこから来たっていうのは…強いて言うならスマホかな?」
「ちょっと待ってよ、そもそも『本当の自分』ってなんなのよ?スマホから来たってどういうこと⁉︎」
声を荒げて強く机を叩く。YES李はビクッと体を震わせて一気に不安げな表情に変わる。はっと我に返り「ごめん」と言って一旦落ち着くためにコップに入っていたジュースを一気に飲む。
「私の方こそごめんね…説明不足だよね」
少し俯きながら、あからさまにしょんぼりする。
「NO子ちゃんは昨日アプリをインストールしたよね?」
「…したわ」
「そのアプリはね本当に自分の心をトレースして現実世界に呼び込み、仮組みのARのような形で現出させるの」
「つまり、貴方は二次元ってことよね。なら…」
おもむろにYES李に向かって手を伸ばしてみる。若く、もちもちな肌が…とはいかずにYES李の身体をすり抜けてしまう。本当に二次元なんだと今になって実感が湧いてきた。服がいきなり出てきたことも、私の部屋にいたことも一先ずはいいとして、問題はこのYES李という少女をどうするか、だ。
「率直な質問なんだけど、貴方はどうやったら消えんの?」
すると貴方と呼ばれたことが嫌だったのか一瞬不機嫌そうな顔になるがもう諦めたのかそのまま返答する。
「私の目的は、『NO子ちゃんが私を認めること』なんだ。その目標を達成するまでは消えられないの…」
数秒の間を開けて、ため息をつく。『私を認めること』とは何なのだろうか。そもそも本当の自分がこんなわけはない、と心の中で拒絶をしてしまう。だが、他に方法もないため背に腹は変えられずやるしかないようだ。
「ひとまず私は学校だから、私の部屋で待ってなさい。多分お母さんは帰ってこないと思うから大丈夫だとは思うけど、もしものことがあったら大変だからね」
すると申し訳なさそうな表情でYES李は言う。
「あのね、NO子ちゃん…貴方から離れられないのっ!」
「……え?」
「えっと、いや、変な意味じゃなくてね⁉︎その私は一応『NO子ちゃん自身』でもあるから、30m以上離れると自動的に隣まで瞬間移動しちゃうんだ…」
「何それ⁉︎てか、学校とかどうすんのよ⁉︎隣に見ず知らずの女の子突っ立ったせてたら速攻不信がられるわ!」
どうすればと悩んでいたらYES李はえっへんといった感じで言い放った。
「私はNO子ちゃん以外の人には見えないから安心して!大丈夫!何もさわれないから!!」
一体何が大丈夫なのだろう…もう時間も時間なので他に考えている暇はなかった。不安しかない中で登校しなければならない…それを考えるだけで胃が痛くなってくる。
用意を済ませ、玄関のドアに手を掛ける。
「…行ってきます」
「行ってきまーす!」
かくして私たち二人?は学校へと向かった。
更新だいぶ遅くなりましたごめんなさい反省してます土下座します。
あれですよね、やっぱり週一で更新とか決めないと俺の得意の三日坊主が…(殴
言い訳はさておき、待たせてしまったNO子とYES李の原作者様本当に申し訳ございませんでした。
三話目はしっかり来週に書かせていただきます!!
それではまた機会があれば。