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プロローグ

ファンタジーです。

長くなりそうなので気を付けて下さい。

社会にはどろどろと渦巻くものがある。


それは人が集まる場所だから。


私が通うごく普通のクラスでもそうだ。

半年前に別れた彼氏はクラスメイトだけれど一度として話した事がない。


いつも仲良さげにつるむ友達は実は私の悪口を言いふらしているってオチだ。



それは誰が悪いのでもない。



それでいて不幸なわけではない。


ただ一人、大切な物がいればそれでいいからだ。



両手を伸ばしたその先に私の未来は酷く無限にあったから……。








《ドッッ》


夜の繁華街、音がして手をつないでいた悠也が倒れる。

悠也とは私が3ヶ月前から付き合っている彼氏の事で、キスやセックスを終えている段階の男だ。


どこが好きな所かは解らないけれど、その優しい人柄と悠也を包む雰囲気に私は落ちてしまったのだ。




「悠也!!」


滅多刺しにはされてはいないが刺された場所が悪かったのか意識はもう無い。




「誰か!!救急車呼んで!!」


悠也の腹の出血を抑えようと傷口に布を当てるがドクドクと脈うちながら流れるソレはまるで悠也の命そのものの様だ。








「藤間悠也さん21歳午前0時13分死亡確認しました。ご臨終です。」



医者の声は酷く落ち着いていて、私は悠也の両親に何も言えずに処置室を飛び出した。


暗い廊下を走り、屋上に登りついた頃には涙でグシャグシャになった顔を拭う事もできないほど錯乱していた。



「ゅっっうゃぁっ……ヒック……」



いつまで泣いていたのだろう。

目がだくるなって唇がカサカサになった頃、出てくる涙もなくなって、ボンヤリとしていたらフワフワ浮かぶ白い光に気が付く。



「綺麗……。」


目の前で浮かぶ白い光に手を伸ばして胸に抱いてみる。


触れるとそれは暖かく、仔猫のように脈を打っていた。

光は私の胸にすりよった束の間に私の中へ入ってきた。

だからといって苦しいわけでも気持ち悪いのでもない。

ただ暖かいのはなんだろう?







(わらわ)能力(ちから)を受け継ぐ者よ、その真実(まこと)の姿を現せたまえ。」


誰の声かは定かでは無いが、優しいその声は私の心拍を安定させるものに違いなくて、疲れのせいか意識が白くまどろんだ。






どこまでも白いそれは綿菓子の様に甘美で、吹雪の様に厳しい。

私の未来を現すかのように。



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