その1
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
01 プロローグ
惑星アルスの北半球最大の大陸であるローレン大陸。
その北部に、自治領……事実上の独立国家がある。
その名も『ニドー領』。
領主は代々ニドー家を名乗り、村の中央に居を構える。
村の南にはエルメ川が流れ、ほとりには村の、いや領地の象徴である『二堂城』がそびえていた。
『ニドー領』はクライン王国北部の山岳地帯を境界としてその北側に広がっている。
その中にあって、『二堂城』の建つ地は『カイナ村』と呼ばれている。
冷涼な気候であるが、保温性・断熱性のよい家屋や、村を護るためのゴーレムを始めとしたシステムのおかげで、世界有数の住みよい村となっている。
人口はおよそ300人。
自治領になった頃に比べると、3倍近くに増えている。
出生率はあまり変わっていないが、乳幼児の生存率が劇的に改善されたことがその大きな要因である。
実際、『ニドー領』の公衆衛生や社会福祉は世界一と言っても過言ではないレベルなのだ。
それもこれも、初代領主のせい、いやおかげであった。
そして、その何代か後の領主である『フレディ・ニドー』は同時代でも優秀な『魔法工作士』であった。
その奥方である『グリーナ・ニドー』もまた、優秀な『魔法工作士』であったため、2人の子孫には優秀な『魔法工作士』が大勢いた。
そうした技術者は村を出て他の国へ行くこともあったが、扱いの軽さに腹を立て、あるいは他国のレベルの低さにがっかりして戻ってくるものも多かったようだ。
そんな環境のためか、ニドー領の人々はローレン大陸の国々との付き合いは浅かった。
代わりに、さらに北にある大陸である『ゴンドア大陸』に住む『北方民族』との交流が盛んに行われていた。
『北方民族』の国は『ノルド連邦』と呼ばれており、単一国というよりは連合国の様相を呈していた。
『ノルド連邦』には『森羅』のマリッカを創設者とする『マリッカ工房』があり、優秀な魔法技術者を輩出している。
『ニドー領』の技術者と『マリッカ工房』の技術者の間には親密な交流があり、そうした技術交換を通じてお互いの技を高めあってきた。
そして今、一人の『魔法工作士』が旅立とうとしていた……。
02 餞
「ノルド連邦以外の国も見てきたいんだ」
そう言い出したのは『カイナ村』領主の次男、『シン・ニドー』。
過去にもニドー家に『シン』という名の男子が2人ほどいたので、正確には『シン・ニドー3世』なのだが、2世はもういないため普通に『シン』と呼ばれていた。
「シン、やっぱり行くのか?」
「はい、父さん」
シンの父で領主のシュン・ニドーが心配そうに尋ねた。
「広い世界を見てみたいんだよ」
「うむ、やはり決意は変わらないようだな」
「はい」
シンは大きく頷いた。
「そうか。……なら、一度『二堂城』を訪れてみるといい」
「え? しょっちゅう行ってるけど」
「ああ、1階の大広間じゃなく、最上階へ、だ」
「最上階……って、領主しか行けないんじゃないの?」
「表向きはそうだ。だが領主の許しがあれば、誰でも上れる」
「え、そうなの?」
「うむ。……この『腕輪』を嵌めていれば大丈夫だ」
シュンは、シンに黒い腕輪を手渡した。
漆黒ではなく、わずかにグレーがかっている。
シンはそれを左腕に嵌めた。
「これでいい?」
「うん、大丈夫だ。それを嵌めて、まずは……」
続いてシュンは、『二堂城』に上る際の注意点を説明した。
「へえ……」
「これは代々口伝で伝えられているんだよ。旅に出るお前への餞別だ」
「ありがとう、父さん」
シンは、父の心遣いに感謝したのである。
03 最上階
父から最上階へのアドバイスを貰ったシンは、早速『二堂城』へと向かった。
まずは玄関口から1階へ。
そこは大広間で、村民が集会や宴会に使っている。
北東と北西、それから南側に階段があるが、シンは南側の階段を使って2階へと上がった。
そして階段の出口のすぐ前にある壁、すなわち客間南側の壁に手を当てる。
すると、音もなく壁がずれ、人一人が通れる出入り口が姿を現した。
「ここからエレベータに乗れるのか……」
シンは独りごちる。
ところで、今の『二堂城』は、一般に開放されているのは1階から3階まで。
4階より上と、地下室は立ち入りできないよう封鎖されている。
「今から数百年前に封印されたらしいけど……3代目魔法工学師の頃だったっけかな」
独り言を呟きつつエレベーターへ。
ドアは自動で開いた。
内部は照明が点いており明るい。埃も溜まってはいなかった。
シンはエレベーターに乗り込む。
壁に行き先階のボタンがあったので、迷わず最上階を押した。
ドアが閉まり、エレベーターは上っていく……らしいのだが、シンには動きを感じ取れなかった。
ただ、階を示すランプが1から2、3へと移っていくだけ。
(重力制御で動いているのかな……)
シンはそんなことを想像した。
そして最上階、すなわち5階でエレベーターは止まり、ドアが開いた。
一歩踏み出したそこは薄暗い小部屋だった。
右手と正面にドアらしきものがあり、どちらへ行こうかと迷っていると、正面のドアが開いたのである。
「ようこそ、継承者」
「え」
ドアを開いたのは侍女服姿の少女だった。
「どうぞ、こちらへ」
「あ、はい」
招かれるまま、シンはドアの向こうへ。
そこも小さな部屋で、少女は左手側のドアを開いた。
「お入りください」
「……おじゃまします」
今度は6畳くらいの部屋だった。
畳敷きで、いわゆる『和風』な部屋である。
その部屋に、シンを案内してくれた少女が正座している。
そして少女は座布団を指し示し、シンにお座りください、と言った。
言われたとおり、シンは座布団に座る。
自然と少女と正対することになった。
少女を明るい所で見ると、年の頃は11、2歳くらい。
背中まで伸びた黒髪、黒い瞳。
黒と白のエプロンドレスを身に着け、頭にはホワイトブリムの代わりにリボンが。
「わたくしは、現在ここを任されております『楓子』と申します」
「楓子さん?」
「楓子、と呼び捨てになさってください。わたくしは『自動人形』ですので」
「自動……人形……?」
シンは目を見開いた。
目の前にいる楓子という『自動人形』は、人間そっくりである。
今の時代でも、ここまで人間そっくりな『自動人形』は、そうお目にかかれるものではない。
そして、楓子の容姿は……。
「……伝え聞いた『礼子媛』にそっくりだ……」
小さな呟きだったが、『自動人形』である楓子には聞こえたらしい。
「はい、わたくしは礼子お姉さまの妹ですから」
「……そう、だったんだ……」
伝説の存在、その妹が目の前にいる。
そのことに驚きを禁じ得ないシンであった。
04 楓子
「お名前をお聞かせくださいませんか?」
「あ、ああ、僕はシン。シン・ニドー」
「シン様、ですね。……これから、どうぞよろしくお願い申し上げます」
「こちらこそ……って、どういうこと?」
「ただいまより、わたしくはシン様の従者です。身の回りのお世話はお任せください」
「え、えええ!?」
驚き慌てるシンに、楓子は落ち着き払って説明をする。
「この『二堂城』のこの階まで来れる方は稀です。そして、来ることができた方には、わたくしのような従者が付きます」
「そ、そうなんだ……」
「この『二堂城』は、2代目『魔法工学師』のジン様がお建てになり、3代目『魔法工学師』のジン様が再設定なさいまして、今に至ります」
「…………」
「シン様の前にここまで来ることのできた方はお2人。およそ120年前と170年前のことです」
「ず、随分前なんだね」
「はい。……『魔法工学師』に近い能力を有した方でないと、最上階には来られませんので」
「そうなんだ……。あ、そうすると、僕にもそんな才能が?」
「はい。シン様には『工学魔法』の才能がございます」
「それは嬉しいなあ……ずっと勉強してきたから、それが無駄じゃなかったってことだものね」
「はい。……で、どうなさいますか?」
「え、何を?」
「3代目『魔法工学師』ジン様が設定された、『継承者』向けの教育装置がございまして、これをお使いになりますと、今のシン様が使えるレベルの工学魔法はすべて使えるようになります」
それができないと、例えば楓子のメンテナンスは無理だという。
それならば、シンの答えは一つだった。
「うん、教育してもらおう」
「承りました。では、これを」
楓子は、背後の棚から、直径7センチほどの透明な球を取り出し、シンに渡した。
「それをお持ちになって、魔力を流してください」
「え? うん、わかった」
シンは楓子に言われたとおりにする……。
「お、おおお!?」
すると、球に『書き込まれていた』魔法が発動。
球から光が放たれ、一人の人物の姿が浮かび上がる。
黒目黒髪の男性だ。
その男性が口を開いた。
『『継承者』となる君に告げる。この知識を、願わくは人々のために使ってくれるよう、切に願う』
「は、はい」
返事をするシンだが、記録映像なので返事はない。
代わって、大量の知識が頭に流れ込んできた……。
05 継承者
「おめでとうございます、シン様。これで、名実ともに『継承者』になられました」
恭しく楓子がお辞儀をしてそう告げた。
「『継承者』……?」
「はい。『二堂城』と『ニドー領』を本当の意味で継ぐ資格がある、ということです」
「どういうこと?」
「『二堂城』と『ニドー領』を統括する魔導頭脳『北斗』がシン様を『主人』と認めたのです」
認めたからこそ、この階まで来ることができた、と楓子は説明した。
「僕の父さ……父や兄は?」
「残念ですが、『継承者』としては認められませんでした」
「そうだったんだ……」
「領主として認められることと『継承者』として認められることは違いますから」
「そうなんだね……」
「でもシン様は、『継承者』としての資格を備えていらっしゃいました」
「その、資格って?」
「端的に説明すれば、『魔力波の帯域』です」
「帯域?」
「はい。低周波帯から高周波帯まで、まんべんなくピーク値が高い波形だったということですね」
「そういうことなんだ……」
「それに加えて、『亜自由魔力素帯域』にまで伸びている、ということです」
この帯域がもうう少し広ければ『魔法工学師』の『後継者』になれたのですが、と楓子は言った。
「そ、そうなの?」
「はい、ですがこればかりは努力ではどうにもなりませんから」
「そうだよね……」
そしてそれからも楓子は、シンの疑問に1つ1つ答えていったのである。
06 説明
途中、楓子にお茶を入れてもらったが、話はまだまだ続いている。
「……というわけで、『継承者』としてシン様は、この『二堂城』のほぼ全ての機能をお使いになれます」
「ほぼ、ということは例外もあるのかな?」
「はい。この5階にあります2部屋……2代目であるジン様の居室と寝室はお使いになれません」
「ああ、それは理解できる」
「それと、4階のトラップフロアの設定変更もできません」
「うん、別に困らないな」
「それ以外は、わたくしか『北斗』に申し付けてくだされば対応いたします『北斗』へは、その腕輪に魔力を流せば繋がります」
「わかったよ」
「こちらのお部屋は、元々は客間でしたが、シン様がご自由にお使いください」
「うん、ありがとう」
いろいろなできごとが一気に押し寄せてきて、少々面食らっていたシンであったが、ようやく落ち着いてきた。
すっかり冷めてしまったお茶を一口飲む。
「今度は、シン様のことをいろいろお教えください」
「え、僕の?」
「はい。従者として、知っておきたいのです」
「う、うん。……シン・ニドー、今年で16歳、。父はシュン・ニドー、母はマルティナ・ニドー」
「はい」
「兄が長男で、シュウ・ニドー。姉が長女でエルメラ・ニドー。妹が次女でユミエラ・ニドー。4人兄弟だよ」
「承りました」
その他にも、姉のエルメラがもう嫁いでいることや、妹のユミエラはまだ7歳であることなども説明したシンであった。
そして、楓子もまた自分のことを説明する。
「わたくしを作ってくださったのは3代目魔法工学師のジン様です」
「そうなんだね」
「わたくしの動力性能は礼子お姉さまの100分の1くらいです」
「そのくらいなんだ……」
「ですが、家事能力は高いと自負しております」
「うん」
……と、こんな具合である……。
07 ゴーレムとゴーレム馬
「シン様はこれからどうなさるおつもりですか?」
「うん、それなんだけど、このニドー領を離れて、世界を巡ってみたいんだ。そのために父さんからここに行ってみろと言われてやって来たんだよ」
「そうでしたか。それでは、わたくしもお供させていただきます」
お身の回りのことはお任せください、と楓子は言った。
「それじゃあ、頼もうかな」
「はい、シン様」
次いで、移動はどうなさいますか、と問われたシンは、少し考える。
「歩きは……ないか」
「はい。世界を見て回るのでしたら、ちょっとおすすめできません」
「だよなあ……だとすると、乗り物か」
「そうなります。……速度重視なら空を、観光重視でしたら陸を、というようにお考えください」
楓子のアドバイスを聞き、シンは頷いた。
「なるほど、そうだね。……なら今回は陸上移動でいこうかな」
「そうなりますと、自動車、ゴーレム馬車、ゴーレム馬などがおすすめです」
「うーん……ちなみに、それ以外だと何があるのかな?」
「多脚式歩行車や、無限軌道式の走行車ですね」
「……ちょっと目立ち過ぎだな」
結局シンは『ゴーレム馬』を選んだ。
「承りました。……カイナ村に所属するゴーレム馬になさいますか? それとも『二堂城』に保管されているゴーレム馬をお使いになりますか?」
「いや、村の物は共有財産だから、『二堂城』に保管されている物を使えるならその方がいいかな」
「それではそういたしましょう。……操縦法は村で使っている物と同じでよろしいですね?」
「その方がいいな」
「では、地下倉庫へお越しください」
「わかった」
シンと楓子は連れ立って、『中央エレベーター』で地下1階へと移動した。
ここには食料庫と共に、資材倉庫もある。
その1つにゴーレム馬が3頭収納されていた。
「どれでもお好きなゴーレム馬をお選びください」
カイナ村で使われているゴーレム馬は、いわばオートバイ式の操縦方法である。
首の後ろにハンドルがあり、右手のグリップがアクセル、右手のレバーがブレーキ(オートバイではないので、フットブレーキはない)。
なお、クラッチレバーはないし、変速機構もない。
鐙の代わりにステップが付いている。
鞍状のシートの下には収納スペースがある。
「それじゃあ、これにする」
色は灰色。馬でいうと『芦毛』に当たる色である。なお、他の2頭は茶色と黒であった。
「『グレイ』ですね」
「……そういう名前なんだ……」
「はい、お父さまがそう命名なさいました」
「……もしかして茶色の馬は『ブラウン』で、黒は『ブラック』?」
「いえ、茶色はそのとおりですが黒は『シュバルツ』です」
「そ、そうなんだ……」
「魔力を流して、起動してください。それで魔力パターンが登録されます」
「わかった。……『グレイ』、『起動』」
シンの魔力を流すと『グレイ』は起動し、シンを主人と認めた。
『グレイ』を連れて倉庫から出ると、楓子は別の倉庫へとシンを案内した。
「それから、お供のゴーレムもお選びください」
「必要かな?」
「護衛や荷物持ちに役立ちます」
「そうなんだ……」
その倉庫には、4体のゴーレムが保管されていた。
体形は少しずつ違う。
人間でいえば筋肉質なもの、細マッチョなもの、女性的なもの、中性的なもの。
「じゃあ、このゴーレムにしよう」
シンが選んだのは細マッチョなものだった。
こちらもシンの魔力で起動させる。
「『コンゴー』ですね」
「『コンゴー』か。『起動』」
「……ハイ、ゴシュジンサマ」
『コンゴー』も問題なく起動した。
「それでは、2体を連れて外に出ましょう」
『二堂城』は斜面に建てられているので、名称は地下であるが、出入り口は地上から出入り可能なのだ。
外から見れば、石垣に出入り口が開いたように見えるだろう。
そこから短いタラップが伸び、地上へと下りられる。
何度も言うが『二堂城』は斜面に建っているので、地下1階とはいえ少し下って地面に下り立つことになる。
「コンゴー、グレイ、楓子、これからよろしくな」
夕暮れの空の下、シンは新たな従者に微笑みかけたのである。
08 旅立ち
「それじゃあ、行ってきます」
晴れた春の日、シン・ニドーはカイナ村を旅立つ。
「行ってらっしゃい、シン」
「行って来い。広い世界を見ておいで」
「おにーちゃん、いってらっしゃい」
見送るのは父シュン・ニドー、母マルティナ・ニドー、妹ユミエラ・ニドー。
「楓子ちゃん、シンをお願いね」
「はい、奥さま」
「コンゴー、シンを頼んだぞ」
「ハイ、ダンナサマ」
「ぐれい、おにーちゃんをよろしくー」
「ヒヒン」
そしてシンたち一行はカイナ村を後にした。
シンと楓子はグレイに乗り、コンゴーは荷物を背負って歩いていく。
もちろん楓子はシンの前に座っている。
鞍もちゃんと2人乗り用に取り替えてある。
エルメ川を渡り、峠を越え、イナド鉱山への分岐を過ぎ、ナウド川を渡って……。
カイナ村から約80キロ、トカ村に付いたのはその日のお昼であった。
「ここまでは来たことがあるんだよ。名物の『パスタ』が美味しいんだ」
「パスタ、ですか」
「うん。昔は『パシュタ』と呼ばれていたらしいけど、今は『パスタ』って呼んでるみたいだね」
今現在、トカ村は『ファールハイト家』が領主である。
人口は約600人、村としては大きい方だ。
以前食べたことのある食堂へ。
グレイとコンゴーは店の前で待機となる。
楓子はシンに付いて店内へ。
「おやいらっしゃい」
店主はシンの顔を覚えていたようだ。
「今日は可愛いお嬢さんを連れてるね。妹さんかな?」
「いえ、わたくしはシン様の従者です」
「へえ?」
「あ、『自動人形』なんですよ、この子」
「ほう、そうなのかい。凄いねえ、人間そっくりじゃないか」
「そうでしょう」
そんな言葉を交わし、注文をするシン。
今回はミートソースを頼んだ。
「うん、美味しい。この味だよ」
以前食べた味と変わらず美味しかったようである。
09 1日目
トカ村を後に、シンたちは先を急ぐ。
「今日中にラクハムまで行っておきたいな」
「では、もう少し速度を上げましょう」
トカ村とラクハムまでの道のりは約100キロ。
今は午後1時なので、時速35キロで3時間、時速50キロなら2時間だ。
「コンゴーでしたら時速100キロで走っても大丈夫ですよ」
「それはちょっと速すぎるから、まあ3時間を目安に行こう」
「わかりました」
午後4時着なら、まだあたりは明るいので問題ないだろうとシンは判断したのである。
ラクノー、ドッパと、村を2つ過ぎると、あたりは開けてくる。
左手にはクライン王国の穀倉地帯が広がっていた。
「うわあ、広いな……これが全部麦畑か……」
「奥の方に水田も見えますね。ナウド川に近い地域は湿地帯が多く、水田を作るのに適しているんです」
「なるほどね……」
シンも、ラクハムには行ったことがないので、こうした風景は初めて見るのだ。
「この街道は、治安がいいみたいですね」
「今でも盗賊が出るような街道ってあるのかな?」
「都市部近くには出ないと思います」
「出るとすれば、やはり僻地を通るような街道かな?」
「いえ、そのような場所を通る旅人を襲っても、大した稼ぎにはならないはずですので、出ないと思います」
「それもそうか……」
「つまり、襲う価値のあるような旅人が通る街道は、警備兵が巡回していますし、警備が手薄な街道は、お金持ちは利用しないわけです」
「なるほど、理に適ってるね」
そんな会話もシンにとっては楽しいものだった。
そして何ごとも起こらず、シン一行は午後3時半にラクハムの町に到着したのである。
10 ラクハム泊まり
ラクハムの町。
シャルルの町よりは小さいが、東にあるマヌーゼ湖から直通の街道が通っているため、活気がある(マヌーゼ湖は淡水魚の宝庫なのだ)。
そのラクハムの町の中心から少し外れた場所にある宿にシンたちは宿を取った。
宿の名前は『青い湖亭』。
この宿は、ゴーレム同伴可で、ゴーレム馬の駐機場もあって、設備が整っていたからである。
「明日には首都のアルバンに着けるね」
「はい」
シンの言葉に、楓子が応じる。
コンゴーは無口なので、必要なときにしか喋らない。
「この先は、ソー、プレソス、ガァラ、そしてアルバンです。道のりとしては70キロくらいですので、午前中に着けますね」
「楽しみだなあ」
「シン様は初めての遠出なのですね」
「……というか、こっち方面は家族でも来たことがないんだ」
「ノルド連邦へは頻繁にいらしてるのですね」
「家族でも行ったし、一人でも行ったことがあるよ」
「『森羅』地方ですか?」
「そうだね。あそこには『マリッカ工房』があるから」
マリッカ工房で3ヵ月ほど修業もしたよ、とシンは言った。
「あれは勉強になったなあ」
「創設者のマリッカ様は2代目のジン様の直系のお弟子さんですからね」
「うん、それは聞いて知ってる」
「そこでは何をお勉強なさったんですか?」
「メインはゴーレムの制御系について、だったなあ。最初は難しかったけど、1ヵ月もするとかなりマスターできたよ」
「優秀ですね、シン様は。……わたくしのご主人さまですから当然なのですが」
「はは、ありがとう」
その夜は夕食後に入浴をしてぐっすりと休んだシンであった。
11 ガァラ到着
翌日は曇りだった。
午前8時半にラクハムを発ったシン一行。
街道を行く馬車や自動車も増え、移動速度は落ちてくる。
道幅によっては馬車の速度である時速10キロ程度まで落ちてしまうため、渋滞とまではいかないが、やや混雑気味であった。
「馬車も結構いるんだね」
「かえって貴族やお金持ちのステータスになっているみたいです」
「なるほど」
世話をする手間を掛けられるほど余裕があることをアピールできるということか、とシンは納得した。
「やっぱり旅をするといろいろ勉強になるなあ」
「それはようございました」
そしてソー、プレソスを過ぎると、街道の幅も広くなって、渋滞は解消された。
「思ったより時間が掛かっちゃったな」
「そうですね」
首都アルバンの1つ手前の町であるガァラに着いた時はもう午前11時半になろうとしていた。
「ここでお昼にしようか」
「では、食堂を探しましょう」
楓子はそう言って、鞍の上からあたりを見回す。
「シン様、通りの向こうに食堂の看板が出ています」
「お、そうか、ありがとう」
400メートル以上先の小さな看板を見つける楓子であった。
12 首都アルバン
まだ正午前のため、食堂『赤い果実亭』は空いていた。
定食を頼んだシン。
今回は、味はそこそこ、値段もそこそこだった。
そんなガァラを発ったのは午後0時半。
あと少しで首都アルバンなので、もう急ぐ必要もない。
というよりも通行量が増えたので速度を出せないのだ。
そこで周りを見ながらのんびりと行く。
「自動車は新型が多くなったな」
「首都が近いですからね」
「ゴーレムを連れている人も結構いるな」
「そうですね。ゴーレム馬に乗っている人も大勢います」
おかげで目立たずに済んでいます、と楓子。
とはいえ、ゴーレム馬に乗って自動人形を連れ、ゴーレムに荷物を運ばせているような者は他にいないのだが……。
そんなこんなで、平均時速は10キロくらいだったが、午後3時にはアルバンが見えてきた。
「やっぱり大きいなあ」
「今の人口は1万6000人くらいだそうです。2代目ジン様の頃に比べて倍になっていますね」
「そうなんだ」
「食糧事情と公衆衛生の改善、医療の進歩のおかげですね」
「あとは、農業技術の進歩もあるんだろうね」
「はい、仰るとおりです」
アルバンは城壁に囲まれた城塞都市である。
周囲は堀に囲まれ、東西南北に橋が架かって街道に通じている。
王城は町の中心だ。
シンたちは北からアルバンへ。
平時はゴーレムが人相チェックをすることで、犯罪者の侵入を防いでいる。
ということで、初めて訪れるシンたちは、登録をする必要があった。
「ほう、ニドー領からですか。それは珍しい」
堀に架かる橋の袂にある警備兵の詰め所で登録を行える。
登録料は、身分証があれば基本的に無料。
シンの場合はニドー領の者であるという身分証を持っていたので当然無料である。
「従者の『自動人形のフーコ』、それに『ゴーレムのコンゴー』、『ゴーレム馬のグレイ』ですね。……はい、登録完了です。首都アルバンにようこそ」
ここでの登録内容は、全部のチェックポイントと共有されるので、他の出入り口の利用も問題ないという説明を受け、シンたちはアルバンに足を踏み入れたのである。
13 ポスター
北の入口近くにある宿屋『青空に白い雲亭』に部屋を取ったシンは、楓子を連れてアルバン見物に出た。
「やっぱり、他の町とは違うな」
「首都ですからね」
東西南北へと伸びる街道に通じる通りはすべて大通りと呼べるような、幅の広い石畳の舗装道路である。
「この舗装は……『強靱化』が掛かっているな。それもかなり高度な」
「そうですね。ゴーレムが踏み込んでも割れないかもしれません」
「さて、まずは宿を決めて、それから働き口を探さないと」
「働くのですか?」
「うん。お小遣いはたっぷりもらってきたけど、旅を続けるにはやっぱり自分でも稼がないとね」
心配そうな楓子に、シンは笑って答えた。
「シン様、働いた経験は……」
「一応あるよ。トカ村で草むしり、薬草採取、それに畑の杭作りなんかを」
「そうですか。一応経験者ではあるのですね」
「うん」
「……では、あれなどはいかがですか?」
「ん?」
楓子が指さした先には大きな掲示板があり、そこにはポスターが貼られていた。
「ええと……『足漕ぎゴーレム自動車競技』か……」
「ゴーレムが『漕ぐ』自動車に操縦者が乗って競うようです。ポトロックで行われている『ゴーレム挺競技』の自動車版ですね」
「『足漕ぎ自動車は『ラグラン自動車』のものを使うこと』か……そこがスポンサーなんだろうな」
「そういうことでしょうね、シン様」
「改造は自由、か……」
「技術者の腕が問われますね」
「そうだね」
その他にも条件が幾つか書かれている。
「コースは城外にある8の字コースだね」
「半分が舗装で半分がダートなんですね」
「起伏も結構あるよ。8の字とはいえ気が抜けない」
オーバルではないのは、コーナーリングの方向を偏らせないためだと思われた。
「思った以上にテクニカルなコースのようだね。ゴーレムの性能と操縦者の技能が問われるわけだ」
「あと、操縦者とゴーレムの連携もですね」
「ああ、それもあるね」
「シン様とコンゴーでしたら大丈夫ですけどね」
「そうなんだ?」
「はい、『魔力による繋がり』がありますから」
「そんなのあったんだ……」
「はい」
そして、優勝賞金は200万トール(約2000万円)、2位でも50万トール(約500万円)、3位が10万トール(100万円)となっている。
また、参加費用は1万トール(約10万円)。
開催時期は1週間後。
本戦の前日に予選があって20台にまで絞られるとのこと。
受付は今日までとなっている。
「よし、出てみようかな……」
「足漕ぎ式自動車はどういたしますか?」
新車だと1台50万トール(約500万円、ただしゴーレム込み)。
ゴーレムはコンゴーがいるので、車のみだと10万トール(約100万円)を少し下回る。
だが。
「シン様、わたくしがお預かりしてきた旅費は10万トールですから、新車は買えませんよ」
「うん、わかってる。僕のお小遣いだって2万トールもないし。……中古でもいいみたいだから、程度のいいのを探して整備するよ」
「そうですね、シン様ならおできになりますね」
そういうことになったのである。
14 エントリー
最初にすることはとりあえずエントリーである。
受付所はアルバンの西にある地場産業センターで行っているというので、まずはそこへ行く。
滑り込みで申し込む者もちらほらいた。
そしてシンの番。
名前、性別、年齢、出身地、パートナーとなるゴーレムについてなどを記入した用紙を提出する。
自動車については後日でもいいようだ。
特に問題なく受理され、参加費用1万トールを支払うと、参加証をもらうことができた。
受付ナンバーは111。シンの他にも110人がエントリーしているということになる。
詳細な規約が書かれた小冊子を受け取って地場産業センターを出ようとすると、受付が騒がしくなった。
「なんだ?」
見れば、貴族らしい男が文句を言っている。
「ですから、もうその番号は登録済みなんです」
「だから、それをキャンセルして登録し直せと言っている!」
「それはできません。『データベース』に登録済みですから、理由なき修正は受け付けられないんです」
「理由はあるだろう? カーター伯爵家嫡男で次期伯爵のこのデプス様が欲しがっているんだ!」
「ですから、個人的な要望にはお答えできません」
「くう……」
どん、と足を踏み鳴らして悔しがる男。
実際にやる人っているんだな……と、シンは眺めていた。
そんなシンの視線に気が付いたのか、デプス・カーターが振り返った。
「なんだなんだ、君等も参加するのか?」
「ええ、まあ」
「ふん、格好からして庶民だな。まあ、せいぜい頑張りたまえよ」
「はあ、どうも」
「……念の為聞いておこう。君のナンバーはいくつだ?」
「111番ですけど」
「なんだと!?」
目の色を変えるデプス。
「お前らが、僕の欲しかったナンバーを横取りしたのか?」
「え?」
(シン様、どうやらこの方は『111』というナンバーが欲しかったようです)
それとなく察した楓子が、こそっとシンに耳打ちした。
(とは言っても規約だしな……)
「僕の邪魔をしやがって!」
「いや、そう言われても、偶然ですし」
ほとんど、いや間違いなく言い掛かりである。
「カーター様、揉め事は困ります」
「ふん、せいぜい予選で落ちないよう頑張るんだな」
そう言い捨ててデプス・カーターは地場産業センターを出ていったのである。
15 中古車探し
気を取り直して、シンと楓子は中古車を探しに行く。
「ええと、この『ラグラン自動車』製の車ならなんでもいいみたいだ」
「スポンサーが『ラグラン商会』ですから、同じ系列なんでしょうね」
というわけで中古車屋を回ったのだが……。
「みんな売れちゃってるみたいだ」
「100人以上がエントリーしているわけですから、新車だけでなく中古車も売れてしまいますね」
「うん……」
「シン様、何か気になることでも?」
「うん。レースとは直接関係はないんだけど、中古車って、いくら売れてもメーカーにはお金は入らないだろう?」
「それはそうですね」
「なら、何で認められているのかって考えていたんだ」
「そうですね……」
楓子もちょっと考える仕草をしてから口を開いた。
「1つには『ラグラン自動車』の宣伝になるから、でしょうか」
「ああ、そうか」
「2つ目として、パーツは売れるのではないでしょうか」
「それもありそうだね。まあ、自作したり他社のパーツを流用する人もいそうだけど」
僕みたいに、と言いかけてその言葉は飲み込んだシンである。
「そして3つ目、販売システムとして、中古車の売買の際、幾らかのお金がメーカーか商会に入るシステムなのかもしれません」
「そんなことできるのかな?」
「『メーカー保証書』みたいなものを新車に付けているとして、それを中古車の販売時にもメーカーが付けるようにするという手が考えられます」
「ああ、なるほど」
「もちろん保証期間は新車より短くなるでしょうけれど」
「まあそうだよね」
とはいえ、メーカーもお客も利のあるシステムである。
中古車屋にとっては……どうであろうか。
シンは考えてみたがわからないのでそれ以上は追及しないことにした。
「だけど、車がないのは困ったな」
「新車なら売っていますが、予算が足りませんね」
「そうなんだよ……」
とりあえず、探すだけ探してみようと、シンと楓子はアルバン中を訪ね歩くことにしたのである。
16 宿の裏手
夕暮れ近くになっても、目的の中古車は見つからなかった。
「今日は諦めるか」
「もう午後5時ですね……一旦宿に帰りましょう」
「うん……」
とぼとぼと宿『青空に白い雲亭』へと戻るシン。
「あ、お帰りなさい」
「ただいま」
シンたちに声を掛けたのは宿の看板娘、セリーナだった。
赤毛のボブ、鳶色の目。将来は美人になりそうな美少女である。
「お食事にしますか、それともお風呂がいいですか?」
「歩き回って疲れたし、埃も被ったからお風呂がいいかな」
「わかりました! 今ならちょうど空いています。宿の裏のお風呂場へどうぞ」
「ありがとう」
セリーナから浴室棟の鍵を受け取り、シンは宿の裏へと向かった。
着替え類は楓子が部屋へ取りに行ってくれた。
そして宿の裏手に回るシンが、そこで見たものは——。
「倉庫?」
古い倉庫と、浴室棟。
そこへ楓子が着替えを持って来てくれたので、シンは詮索は後回しにして風呂に入ることにした。
「……ああ、いい湯だ」
お背中を流します、と言い張る楓子をなだめ、一人ゆったりと湯船に浸かるシン。
汗と埃も洗い流したシンはのんびりと寛いでから浴室を出た。
そして着替えればさっぱりとする。
「さて」
そして改めて古い倉庫を覗いてみようとしたシンであった。
17 倉庫にあったもの
「シン様、何か気になることが?」
「うん、あの倉庫が」
「…………中に、古い自動車がありますね」
「え、楓子、わかるの?」
「はい、そのくらいは」
「すごいね……」
「ありがとうございます」
そしてシンは、ちょっと倉庫の中を覗いてみた。
「あ、これは……」
そこには、事故を起こしたのか、歪んだフレーム、錆びたボディの『足漕ぎ自動車』があった。
エンブレムはまぎれもなく『ラグラン自動車』。
「これだ!」
シンは、宝物を見つけたような目をしていた……。
18 車の過去
母屋に戻ったシンは、車の持ち主と思われる宿の主人を探した。
見回したが見つからないので、そこに通りかかった看板娘のセリーナに聞いてみることにした。
「あ、ちょっといいですか?」
「はい、なんでしょう? あ、お風呂、何かありましたか?」
「いえ、いいお風呂でした。……そうじゃなくて、倉庫の中の車についてお聞きしたくて……」
「……あれを見たんですね」
一瞬表情が暗くなるセリーナ。
が、そこは看板娘ゆえか、すぐにいつもの明るい顔に戻った。
「……それじゃあ、父を呼んできます。直接父に話を聞いて下さい」
「すみません、お願いします」
ということで、セリーナの父親……おそらく自動車のオーナー……を呼んでもらうことになった。
暖かい食堂の片隅で待つこと2分。
セリーナの父親すなわち宿の主人だろう、壮年の男性がやって来た。
「お待たせしました。……お客さんですか、倉庫の車について何かお話があるというのは?」
「あ、そうです。お忙しいところ、すみません」
「いえ、それはいいんですが、何か?」
「実は……」
シンは、1週間後に開催される『足漕ぎゴーレム自動車競技』に出場しようと考えていること、そのためにベースとなる中古車を探していること、しかし見つからなかったことを説明した。
「なるほど……」
「ですので、もしよろしければ、あの倉庫の自動車を譲っていただけないでしょうか?」
「えっ? ……あれをですか?」
「はい」
「ううむ……」
難しい顔になる宿の主人。
(……何か思い入れがある車なのかな……)
シンは思う。
(……奥さんと青春を楽しんだ思い出の車とか、若い頃乗っていて、事故を起こして乗るのをやめた因縁の車とか……?)
空想はとめどもなく……。
(……今はなき息子さんが乗って事故ってしまったとか……? ……だったら他人には譲れないかもなあ……)
そして、宿の主人いわく。
「……以前泊まったお客さんが、宿泊費を払えないからと置いていった車なんですよ。……で、その後、別のお客さんに貸し出したら事故られてしまい、そのままになってます」
「……え?」
想像と違って、全く深刻ではなかった。
「……ですので、お譲りするのは問題ないんですが、修理が大変だと思います。1週間後のレースには間に合わないんじゃないかと……」
普通にいい人だった。
考え込んでいたのはシンのことを思ってのことだったようだ。
「いや、直しますよ」
「できるんですか?」
「はい」
シンの言葉に、宿の主人はため息を1つ吐くと、
「そこまで仰るならお譲りします。……そうですね、1万トール(約10万円)でいいですよ」
「ありがとうございます! ……そんな安くていいんですか?」
「ええ。……その代わり、レースまでうちに泊まってください」
「もちろんです」
「修理用に、あの倉庫もお貸しします」
「助かります!」
これで、ついに『足漕ぎ自動車』がシンの手に入ったのである。
お読みいただきありがとうございます。
次回更新は1月2日(木)12:00の予定です。
20250101 修正
(誤)乳幼児の生存率が劇的に完全されたことがその大きな要因である。
(正)乳幼児の生存率が劇的に改善されたことがその大きな要因である。
(誤)畳敷きで、いやゆる『和風』な部屋である。
(正)畳敷きで、いわゆる『和風』な部屋である。
(誤)スズカとコンゴーは店の前で待機となる。
(正)グレイとコンゴーは店の前で待機となる。
(誤)ナウド川に近い地域は湿地帯が多く、水田を作るのに適していんです」
(正)ナウド川に近い地域は湿地帯が多く、水田を作るのに適しているんです」
(誤)「つまり、襲う価値のあるような旅人が通る街道は、警備兵が巡回していいますし
(正)「つまり、襲う価値のあるような旅人が通る街道は、警備兵が巡回していますし
(誤)シャルル町よりは小さいが
(正)シャルルの町よりは小さいが
(誤)……わたくしの|ご主人さまですから当然なのですが」
(正)……わたくしのご主人さまですから当然なのですが」
(誤)楓子が指しした先には大きな掲示板があり、そこにはポスターが貼られていた。
(正)楓子が指さした先には大きな掲示板があり、そこにはポスターが貼られていた。
20250102 修正
(旧)……その会社がスポンサーなんだろうな」
(新)……そこがスポンサーなんだろうな」




