スペシャル2017 リシアルート篇 01
あけましておめでとうございます。
リシアの初夢? リシアルート篇
書籍版 1巻24話、275ページあたり。
WEB版 01 カイナ村篇 01-25 破られた約束 後半部分
から分岐します。
3456年12月です。
「俺は別にこの国の人間じゃないんでね。素直に従う義理もないんですが?」
仁はそう言って一歩を踏み出す。礼子もまた、そんな仁を守るように前に出た、その時。
「いけません、ジンさん!」
「リシア?」
そんな仁をかばうように、リシアが兵士と仁の間に入り、両手を広げて立ち塞がった。
「ここで逆らったら、村の人たちが危険です! ハンナちゃんだって……」
「……うっ」
ハンナを、村人を、危険にさらすことだけはしたくない仁であった。
「ここは、素直に従って下さい。ジンさんの安全は、私が命に掛けて保証します!」
「リシア……」
そしてリシアはワルター伯爵に向き直る。
「伯爵、陛下のご命令は、『ジンさんを王都に連れて来ること』だったはずです。犯罪者としての扱いをしろとは仰っていません!」
そんなリシアの言葉に、馬上のワルター伯爵は鼻で笑い、答えた。
「ふん、成り上がり貴族が生意気な。そこのゴーレムを見よ。各地で暴れているゴーレムと同じではないか。それこそが動かぬ証拠だ」
仁の背後にいるゴーレムのゴンは、仁が一度破壊し、作り直したもの。色こそ変えてあるが、外観はほぼ元のままである。
(ちっ、しまったな……もう少しよく調べておけばよかった)
制御核を調べれば、黒幕の情報が得られたかもしれないのだが、今となってはあとの祭り。
「いいえ、このゴーレムはトカ村手前で税を運ぶ私たちを襲ってきたものをジンさんが退治して、その後役に立つよう作り変えたものです。私が証人です!」
リシアの剣幕に、ワルター伯爵は少し鼻白む。
「ふ、ふん。ならばファールハイト、貴様がその男を王都までしっかりと監視せよ。万が一逃がしでもしたら、貴様の首をもらうからな」
「ええ、いいですとも」
そしてリシアはもう一度仁に向き直った。
「ジンさん、安全は保証します。どうか、王都まで一緒に来て下さい!」
「ああ、わかった」
必死なリシアを見、また、自分が逃げたらリシアの身に危険が及ぶことを察した仁は、この場は大人しく従うことにした。
「……お父さま、よろしいのですか?」
一触即発の空気を纏っていた礼子だったが、仁が素直に従ったのを見て、力を抜いた。
「ああ。ここは従っておこう」
そんな仁に縄を掛けようとした兵士を、リシアは押し止めた。
「無実の人に縄を掛けるのは認められません!」
「……ふん。ファールハイト、先程の言葉を忘れるな?」
ワルター伯爵はそう言うと、さらに仁に命じた。
「そのゴーレムも連れて行くぞ」
「……わかった。ゴン、付いて来い」
実は村にはもう一体、『ゲン』がいる。村の安全はゲンが守ってくれるだろう。
「『コマ』、来い!」
仁の呼び掛けに従って、ゴーレム馬の『コマ』が姿を現した。
「なっ……!」
初めて目にするゴーレム馬に目を丸くする伯爵以下の兵士たち。
仁は『コマ』に跨ると、礼子を前に座らせた。
「さあ、行きましょう」
「は、はい」
リシアも自分の馬に跨ると、仁の前を先導するように歩ませ始めた。
「おにーちゃん……」
「ジン……」
心配そうなハンナとマーサ。それにカイナ村の住民たちに向かって仁は、
「ちょっと行ってきます。俺は何も悪いことをした覚えはないので大丈夫ですよ。……ハンナ、心配しないでくれ」
と努めて明るく声を掛けた。
「はい、皆さん、ジンさんは私がこの身に代えましてもお守りいたしますのでご安心下さい」
リシアもそう告げたので、村人たちは心配しつつも仁を見送ったのであった。
* * *
まずはトカ村を目指す。
カイナ村を出た時は午前10時。歩いていたら日のあるうちにトカ村に着くことはできない。
「走るぞ」
ワルター伯爵は一言告げると、馬を速歩で走らせ始めた。およそ時速12キロくらいである。
トカ村までの距離は約80キロ、7時間弱で着ける計算になる。手勢50名のうち半数は歩兵なので、付いて来られるかどうか怪しいところだ。
仁も『コマ』の速度を上げた。『ゴン』は地響きを立てながら走って付いてきていた。
そんなゴンを見て、兵たちは目を丸くしている。
リシアはそんな仁の横に並ぶ。
「ジンさん、その馬、凄いですね」
リシアが驚くのも無理はない。
馬の歩み・走りは、どうしても重心が上下する。つまり、乗っている人間も上下に揺すぶられる。
これを防ぐため、『鐙』の上に立って揺れを軽減するなどの『馬術』があるのだ。
だが仁と礼子は、平然と鞍の上に腰掛けていた。
それも当然。ゴーレム馬は『襲歩= ギャロップ』の時以外は騎手に負担を掛けないよう、あまり上下動しないよう制御されているのだから。
* * *
一行はトーゴ峠を越え、僅かな休憩の後、トカ村目指して山道を下っていった。
そして午後5時、予定どおりにトカ村に辿り着く。
その時にはワルター伯爵の手勢のうち歩兵は全員付いて来られず、騎兵20騎のみとなっていたのである。
「ふん、ファールハイト、逃がすなよ」
伯爵は一言言うと、村長宅へ宿泊に向かった。トカ村では村長宅が最も居心地がいいのである。
「ジンさん、こちらへどうぞ」
「うん。悪いな、リシア」
「いいえ、悪いのはこちらです。できるだけのおもてなしをするのは当然です」
リシアは仁を王国兵用の宿舎へと誘う。『コマ』と『ゴン』は宿舎外に立たせておくことにした。
そこには簡素だが浴室もあり、身体を洗い流せるようになっていた。
「そういえば、その子って何なんですか?」
仁にべったりくっついている礼子を見て、リシアは不思議そうに言った。
「この子は礼子。俺が造った自動人形だよ。転移門の暴走で行方不明になった俺を捜しに来てくれたんだ」
「お、自動人形ですか!?」
「わたくしは礼子と申します。以後、お見知りおきを」
スカートをちょんと摘んで挨拶する礼子を見て、リシアは驚くばかり。
「す、凄いんですね、ジンさんって……」
そして仁は簡単だがお湯も浴び、さっぱりとした。
今仁が着ている服は、全て『地底蜘蛛』の糸で織られた布から作られた服。
汚れが付きにくく、堅牢無比。なので工学魔法『浄化』で綺麗になってしまう。
手荷物を何も持ってこなかった仁だが、礼子もいるので特に不自由はない。
食事も王国兵用の宿舎で摂る。
「こんなものしかお出しできなくて済みません。伯爵たちはもっといいもの食べていると思いますが……」
「いや、十分だよ」
パンと、少しの肉が入った野菜のスープ。カイナ村で食べていたものと大差ない。
仁は文句も言わず、全部平らげたのである。
「ええと、寝室はこちらを使って下さい」
3段ベッドが4つ。いわゆる蚕棚である。
「ジンさんお一人なので、お好きな場所でどうぞ。私は隣の部屋にいます」
「ああ、ありがとう」
3段なので狭いが、寝るだけと思えば問題はない。
「お父さま、本当によろしかったのですか?」
礼子は心配そうだ。
「ああ。別に悪いことをした覚えもないし、王都には行ってみたいと思っていたし、な」
ラグラン商会もあるからなんとかなるだろう、と仁は言う。
「それに礼子、お前がいてくれるから」
その言葉を聞いて、礼子は嬉しそうに笑った。
「はい、お任せください。お父さまはわたくしがお守りいたします」
* * *
それからは特に何ごともなく、翌日にはシャルル町、翌々日にはワルター伯爵の拠点がある地方都市ラクハムに着いた。
「ここからは馬車で行きます」
さすがに武装した騎馬を率いて行くには憚られるほど人通りが多くなっている。
仁と礼子、リシアは同じ馬車に乗っていた。
「ゴンとコマも目立つ気がするんだがなあ」
「ええ、ですがそこは建前というものもありますし」
ゴーレムのゴンとゴーレム馬のコマは、仁の乗る馬車の後方にぴたりと付いて歩いている。
先頭はワルター伯爵の乗る豪華な装飾を施された馬車。家紋も付いているので誰のものか一目瞭然だ。
仁とリシアが乗る馬車は質素なもの。とはいえ、安物ではない証拠に、ちゃんとサスペンションが付いている。
だが。
「……この乗り心地、慣れないな……」
サスペンションは付いているがダンパーがないため、ふよん、とした揺れが長く続くのだ。慣れないと車酔いしそうである。
「大丈夫ですか?」
少し顔色が青い仁を気遣い、リシアが声を掛けた。
「あまり大丈夫じゃない……」
「お父さま、降りましょう」
礼子が言うが、仁は首を横に振った。
「そうもいかないだろう……」
するとリシアは仁の手を取って、
「『治療』」
と、治癒魔法を使った。内科・外科共用のもので、小さな切り傷、軽い擦り傷、軽い打撲、それに悪心等を治すことができる。
「ああ、楽になった。ありがとう」
「ふふ、ようやくジンさんのお役に立てました」
リシアはにっこりと笑った。
そんな一幕を織り交ぜつつ、一行はクライン王国首都アルバンに到着した。
* * *
「ワルター伯爵、ご苦労だった」
「は、陛下」
ワルター伯爵はクライン王国国王アロイス三世の前で復命していた。
「魔法工作士、ジン・ニドーを連れ帰り、王宮内に留めおいております」
「うむ。……念のために聞くが、罪人扱いはしておらぬだろうな?」
「………………は、もちろんであります」
一瞬言い淀んだワルター伯爵。内心ではリシアに感謝しているのだが、そんなことはおくびにも出さない。
「貴族と同等、とはいきませんが、客分としての扱いをしております」
「うむ、それならよろしい。その者は稀代の魔法工作士と聞く。王国魔法工作士にしてもよいかも知れぬ」
ワルター伯爵は内心で冷や汗をかいていた。
王国魔法工作士となると、士爵扱いとなり、貴族の一員に数えられる。
しかも勤務地は王宮内、王族との接触も多く、その発言力は地方在住の伯爵など問題にならない場合もあるのだ。
今更ながら、リシアの忠言を有り難く思ったワルター伯爵であった。とはいえ彼がリシアに感謝の意を告げることはありえないが。
その仁は応接室にいた。
王宮の侍女が2人付いており、お茶や軽食を給仕している。礼子はその仕草を見、参考にしている最中だ。
そして室内にはもう1人。
「ジンさん、退屈してません?」
仁の饗応役に任じられたリシア・ファールハイトである。
「ああ、大丈夫。こういうところに来るのは初めてだから楽しんでるよ」
「ふふ、それならいいんですけど。……このあときっと、陛下とお会いすることになると思いますよ?」
「えっ? ……陛下、って王様だよな?」
「ええそうです。クライン王国国王アロイス三世陛下です」
「俺、この国の礼儀作法とか知らないぞ」
少し不安そうな顔をする仁。
「大丈夫です。先程、侍従長を通じて、ジンさんが遠い国『ニホン』から来られた方だとお伝えしてもらうように手を打ちましたから。ジンさんのご存知の作法で結構ですよ」
「そ、そうなのか。ありがとう、リシア」
そんな話をしているところに、その侍従長がやって来た。
「ジン・ニドー様、でいらっしゃいますね? 私は侍従長を務めるレンダー・ラッセンと申します」
60歳前後の、白髪にグレイの瞳のダンディーな人物だ。引き締まった身体をしている。
「はい、ジン・ニドーです」
「国王陛下がお呼びです。いらしていただけますか? ……ファールハイト殿、あなたも一緒に」
「わかりました」
ラッセン侍従長に連れられて、仁とリシアは王宮内を行く。当然、礼子も付いていく……のだが。
「失礼、こちらのお嬢さんは?」
途中で気が付いたラッセンが尋ねた。
「この子は礼子といいまして、自動人形です」
「わたくしは礼子と申します。お父さまはわたくしがお守りいたします」
「……なんと、そうでしたか。よろしいでしょう、ご一緒にまいりましょう」
一瞬言葉をなくしたラッセンであったが、礼子が自動人形なことと、見た目が少女なこととで、問題なしと判断したようだ。
そして辿り着く、観音開きの大きな扉。
「こちらです」
どうやら大広間ではなく執務室らしい、と仁は見当を付けた。
片側のみ扉を開き、ラッセンは室内に声を掛けた。
「ラッセンでございます。お客様をお連れしました」
「ご苦労。入れ」
そんなやり取りの後、扉が両側とも開く。
「どうぞ、ジン様、レーコ嬢。ファールハイトさんも」
そして執務室に足を踏み入れた仁たち。
「よく来た。我がクライン王国国王、アロイス・ルクス・クラインである」
「ジン・ニドーと申します。こちらは自分が作りました自動人形、礼子です。田舎ものゆえご無礼お許し下さい」
仁はこういう時にはこうだろう、という礼を取った。
すなわち片膝をついて深く頭を下げたのである。
「よい。ラッセンを通じ、リシアから聞いておる。その方は遠い異国から来たそうだな? 礼儀作法が異なるのは当たり前である。気にするな」
「ありがとうございます」
「そして、リシア・ファールハイト。ジン・ニドーの招致に尽力してくれたと聞く。褒めてとらすぞ」
「こ、光栄です」
ワルター伯爵本人ではなく、周囲の誰かから聞いたのであろうか、アロイス三世はリシアの気遣いをきちんと認識していたのであった。
* * *
「……ふう、緊張した」
「ふふふ、ジンさんもそんなことがあるのですね」
「俺はただの一般人だからな。本来、新貴族であるリシアと対等に話すのもまずいんじゃないのか?」
だがリシアはそれを否定する。
「いえ、今のジンさんは陛下の客人扱いになっておりますから、たとえ公爵であろうとも一定の敬意を払わなければなりません」
「マジか……」
「はい?」
「あ、いや、そうなのか……」
「はい、そうなんです」
リシアに肯定されて、仁は溜め息を一つ。
「じゃあ俺はこのあとどうすればいいんだ?」
「本日はこのまま、何も。ご要望があれば王宮内をご案内致します。それで、明日は多分クラロト・バドス・ケーリス魔法相あたりがお話をされるのではないかと思います」
「魔法相?」
「はい。魔法関係の一切を司る大臣です」
「ああ、なんとなくわかった。……それじゃあ、まだ夕方には時間があるから、王宮内を案内してもらおうかな」
「わかりました」
ということで、仁と礼子はリシアの案内でクライン王国王宮内を案内してもらうことになったのである。
「と、いっても私がご案内できる区画なんてたかが知れているんですけどね」
「いや、それでもありがたいよ」
王宮内部は内宮と外宮に分かれており、内宮は王族や閣僚、近衛騎士、そして許可を得た者しか立ち入ることはできない。
先の侍従長はその一人である。
対する外宮は貴族なら誰でも歩き回れる。また、既に王宮内にいる者なら、よほど不審な格好をしていない限り誰何されることはない。
「ここが食堂です」
「あちらが兵士の詰め所と控え室ですね」
「そちらの奥には侍女の控え室と居室があります」
「こちらが大浴場です」
浴場、という単語に仁が反応した。
「ちょっと見てみたい」
「ふふ、温泉を作ったジンさんですものね」
内部は旅館の浴室を彷彿とさせる作りであった。
「こちらは兵士の方も入浴しますのでこういう造りなんです」
「なるほど」
「内宮には大臣専用や王族専用の浴場もあるそうですが……」
「そっちは別に気にならないから」
そんな気疲れしそうな風呂はいやな仁であった。
「工房もご覧になりますか?」
「もちろん!」
工房と聞いて仁が断るはずもなく。
「こちらになります」
「ここが……」
初めて見るこの世界の工房に、仁は落胆した。
が、社会人として培ったスキルにより、顔に出すことは辛うじて回避する。
だが、礼子はそうではなかった。
「貧弱な工房ですね」
一言だけだが辛辣な言葉を吐いたのである。
「こら、礼子」
仁が止めたが、時既に遅し。
「なんだと?」
工房に詰めている魔法工作士が聞き咎めたのである。
「おいそこの、今なんて言った?」
20代半ばくらいの男が仁の前にやって来て仁に文句を言う。
「貧弱な工房ですね、と言ったんですよ。本当のことではないですか」
仁に対して凄む男に腹を立てた礼子が、再度同じ言葉を叩き付けた。
「貧弱だと? ここは王宮内の直属工房だぞ?」
「直属だろうと直轄だろうと、貧弱なものは貧弱です」
「やめろ、礼子」
仁が窘めたが、時既に遅し。
「このチビ助め……!」
工房にいた男は今にも掴み掛からんばかりに激高していた。
「こらこら、何を騒いでいる?」
そこに声が掛けられた。
「あ、グロリア様」
「あ、教官」
仁が声の主を見ると、茶色の髪をショートにした、すらりとした女性騎士が立っていた。
「こ、こいつらがこの工房を馬鹿にしたんです!」
「いえ、本当のことを申し上げただけです」
「礼子、もうやめなさい」
そんな仁と礼子を見て、グロリアと呼ばれた女性騎士はぽん、と手を叩いた。
「ああ、貴殿は陛下がお招きになったという魔法工作士だな?」
「は、はい」
「私はグロリア・オールスタット。近衛女性騎士隊副隊長をしている」
「女性騎士見習いの教官でもあられるのですよ」
グロリアが自己紹介をし、リシアが補足をした。
「ジン・ニドーと申します。この子は自動人形の礼子です」
「えっ!」
「ほう」
驚いた声を上げたのは工房から出てきた男。技術者の端くれとして、礼子の素晴らしさに驚いたらしい。
そしてグロリアは。
「ふうむ、『ティア』に勝るとも劣らぬな。しかも動きがいい」
と、半ば独り言っぽく呟いていた。そして。
「リシア、ひょっとして、お前の使っている剣は、ジン殿が……?」
「あ、は、はい」
「ふうむ……」
グロリアは、仁にはよくわからないやり取りをリシアと交わし、少し考えていたが、やがて口を開いた。
「どうだろうジン殿、『ショートソード』を一振り、作って見せていただけないだろうか。そうすれば、ジャカーも納得するだろう」
仁と礼子に食ってかかった男はジャカー・ボッコーといい、副工房長だそうだ。
「それなら俺も一緒に作りましょう。そうすれば比較していただけるでしょうから」
ジャカー・ボッコーは自信たっぷりに引き受けた。
「うむ、いいだろう。ジン殿、いかが?」
グロリアが改めて尋ねるが、モノ作りの依頼で、仁が断ることはまずあり得ない。
「ええ、いいですよ」
と二つ返事で引き受けたのである。
あの時仁がこうしていたら?
もう一つのマギクラフトマイスター。
お読みいただきありがとうございます。