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起床
けたたましく鳴る、最大音量に設定された目覚ましのアラーム。
意識が浮上するにつれて周りが色を持ち始める。
冷蔵庫の音、シンクにポタリと落ちる雫の音、新聞配達のバイクの音がする
カーテンの隙間から差す光、その光が置き物のガラス細工に反射して虹を散らしている
世界が色付くごとに、現実が夢の世界をかき消している。
まだ夢の中にいたい。
現実の色は強過ぎる。
駄々をこねるように
ごろりごろりと寝返りをうったが
それでも夢の中へは戻れそうも無いので、
窓から現実を偵察してみたところ
私の頭の中のように薄くもやが掛かった太陽の姿と 傘を差して 互いの顔も見ずに
足早に目的地へと急ぐ人々の姿は
私を今日は少し落ち着いて過ごせそうという風に元気づけてくれた。
少し前まで自分の周りを纏わり付いていた眠気や怠さも、
いつの間にか消えていたので
私はベッドから転がり落ちるように
仕方なく
一日を始めたのだ。