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そのちいさな手で

作者: 雪虫

ちいさなその手で



手を広げる、その手に、その小さな手に、いったいなにが残るだろうか・・・。


僕は恋をしている。同じクラスの相田 恵さんに、クラスでは目立つほうではないが、うちのクラスは『当たりクジ』と言われるほど、綺麗な人、かわいい子が多い。

だから目立たないのかもしれない。

そんな恵さんに告白されたのはホント最近の事で今でも信じられない。僕ははっきり言ってモテる要素など一つもない・・・いや一つくらいは・・・。

そんな感じの僕に、生まれて初めての彼女ができた。

いまさっきモテる要素はほとんど無いと言ったが、男にモテる(別に変な意味ではない)傾向があって友達は多い。

その中でも親友と呼べる男、林 壱。小学校三年からの付き合いで今年で五年目だ。

壱ははっきり言ってモテる。何度も、僕好きな子ができたんだ、壱にと言うと、「悪い、俺そいつから告白された」

ということが何度もあった。壱が嘘を言わないのが残酷に感じた。

そして、これがあるたびに僕は友達をやめようと何度も、何度も思ったが、結局自分が情けなくなり、友達のままでいる。

壱と友達をやめるのは無理なことのような気がした。

「なぁー、付き合うって何だと思う?なんつうか、恋ってなんかな〜。」

「おい、どうしたいきなり。つーか今が一番ラブラブな時期じゃないのか?お前らいきなりつまづいてんのか?それもかなりでっかいやつに」

「いや・・・つまづいたのは僕だけかな・・・?」

「はぁ〜?言ってる意味がわからんぞ」

「いやなんといいますか・・・こう・・・だから・・・根本的な事というか。ねぇ?ほら、分かるでしょ?」

「いや分かるんだけどさ。その辺はスルーしない?」

「でもさ?」「でもとかも無しでさ・・・。あっそーだ、二人で話し合ってみればいいじゃん」

「え!?恵さんと僕が?」「他に誰がいるよ!!」

「えっでもそれなんかいきなり別れ話っぽい気がしますけど」

「大丈夫だろお前等なら。それにさ、そういうのが案外付き合うってことかもよ?二人で愛を探す、みたいなさ」

と僕は壱にうまく丸め込まれた気もしつつ、壱に言われた通りに、いつも帰り道の途中にある公園で、少し話してから家へと帰る。

その公園で、僕は話すことにした。最初はいつも通りに学校であった事、少し早い気がするけど進路の事、自分の事、家の事。

二人の距離を少しずつ少しずつ縮めるために。

そして僕は最後に

「あのさ・・僕最近よく思う事があるんだ。」

「えっ?」

「手を広げてみて、この手に何が残るのかなって。恋ってなにかな?って。変でしょ?」

「ううん、変じゃないと思う・・・けど」

・・・ゆっくり時間が流れた。時間の早さがいつもより遅く感じた・・・僕たちしかいないこの公園で。

「もしかして・・・疲れた?・・・私と・・・?」

先に口を開いたのは恵。彼女が言葉に詰まった。

「いやそうじゃないんだ。疲れたとかそういうんじゃなくて

・・・話したかった。僕がいつも、何を考えているのか、少しずつしか進めないから、少し・・・少しでも知ってほしいし・・・知りたいんだ・・・・・・だから、話した」

「はーよかった。私・・・あなたのことが好きだから」

胸をなでおろし、優しい笑顔でそういわれた。

僕はその笑顔が好き。そんな言葉を彼女にかけれずにいる。本当のことを。

本当の事は、恥ずかしかった。思いが外に出れば力を持つから。みんなが持っている魔法、言葉は少し恥ずかしいのかもしれない。

「顔、赤いよ」

彼女の言葉の力は僕に恥ずかしさを・・・大切な思いをくれる。

「大丈夫?」「えっ。うん」

また、ゆっくりと静かな時が流れた。公園の木々の葉が風に吹かれ、舞い落ちる。

葉が全て落ちる。それはまた次の季節がやってくる。自然のサイクルの中に人がいる。

だから人も、別れと出会いも廻って行くのかな・・・。

はっ、また一人で考え込んでしまった。う〜、なんだかツライ。

「ねぇ、本当に大丈夫?さっきからぼーっとしてるよ?」

「うん。平気。癖だからさ」

「あっ・・・あのね?私も少し考えてみたんだけど・・・聞いてくれる?」

「・・・うん!」

心からの笑顔。彼女は僕にとって本当に大切なんだと感じた。

「手を広げる前の手の中ってさ、目をつむったときと同じだと思うんだ・・・だから目をつむってみて・・・」

「?・・・うん」「何か見える?」「いや何も見えないけど」

「見えないのは、ずーっとずーっと先に何かがあるから。

無限に広いところでは、先の先は目では見れないの。だから手を広げたとき、目を開けたとき、それは、光がさした無限。

手に残るのは明るい、けど先の見えない無限だと思うんだ。

・・・未来も、恋も。そして人も地球もみんなみんな、自分の無限をもってるの。

で、どうかな?こうならいいなって考えてみたんだけど」

「僕もそのほうがいい。未来も恋も地球も、全てが無限なら、みんなが幸せになれるから」

彼女の言葉は、大切なものを、幸せを、温かさをくれる。少しずつしか前に進まない恋でも、少しずつしか前に進めない僕たちの手にも、

無限が広がっている。

手を広げる。

その手に、その小さな手に、無限が広がり、残る。

だから僕たちは少しずつでも、前を向き、まっすぐに、恋をする。

初投稿でどうなるかワカランが、やってみたという感じに・・・

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― 新着の感想 ―
[一言] ちょっと想いが伝わりにくかった気がします。 話自体は悪くないだけにあとすこしの表現力ですかね。
[一言] タイトルに惹かれて読ませていただいたのですが、期待通り、柔らかな雰囲気の良い作品でした。 うー、若いっていいなぁ。 ただ、文体が少し不安定な気がします。 短編なのだから、語りの調子を整える…
[一言] ほんわかした雰囲気、とても好きです。初めて人と付き合った時のことを思い出しました。特に登場人物たちはすごく人間らしくて、上手く動かせていると思います。 ただ残念なのは文章に抽象的な言葉が多い…
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