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白の魔法使い  作者:
第1章 出会い
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003 『学生寮』

今回は訂正部部分が多そうな気がします。  おかしなところがあったらご感想ください!

 長ったるしい入学式を終え、俺とメルはこれからの住居となる学生寮に向かっていた。

 

 ちなみに、学生寮というのはこの王都魔法学園に通っている生徒が住む場所で、1部屋に2人住むことになっている。当然部屋は男女別だ。 部屋には風呂、トイレ、エアコンもついていて設備もいい。 飯は食堂で朝、昼、晩、全て時間が決まっている。

 

「なぁ、メル」

 

「ん? なに?」

 寝不足なのか、口元に手を当てて欠伸をしてから、こちらを向いて小さく首を傾げる。

 

「メルは学生寮のルームメイトどんな子がいい?」

 特に話題は無かったが、ずっとだんまりと言うのもあれなので、適当に話題を振ってみる。

 その適当な話題に、メルは思いのほか真剣に考えてから口を開いた。

 

「ん~、そうだな~……あたしは寝起きのいい人かな」

 困ったような表情に小さく苦笑を混ぜ込んだような笑顔で言う。

「なんで?」

「いや……だってあたし、1度寝たらなかなか起きられないし」

 少し恥ずかしそうに、頬を掻きながらぼやく様に呟く。

 

「あぁ、たしかに」

 俺は電車の中でのことを思い出して納得した。

 何をしても動かなかったからな。

 

「そういう白夜はどんな子がいいの?」

 

「そうだな……俺は気軽に話ができるやつがいいかな。部屋で暇な時に相手してくれるような」

 特に迷うことも無くそう告げる。 

「あぁ~……なるほど。それも重要だね……」

 と、他愛も無い会話を続けながら10分程。目的地である学生寮に到着した。

 パッと見て、学生寮だと分からずに数分間外周を彷徨ったがほかに建物が無いってことはここが学生寮なんだろう。

 

 王都魔法学園の学生寮は、俺たちの予想していたサイズを遥かに超えていた。

 まるで高級ホテルの様な背の高いマンション。庭に付いている噴水。明らかに何らかの宝石で作ってある彫刻。

 

 とにかく、高そうなものばかりだ。

 

 少しばかり中に入るのを躊躇ったが、外に居た所で何も始まらない。そーっと、泥棒でも無いのに足音を立てずに内部に入り込む。

 内装も外見に負けない物で、天井にはいくつものシャンデリアが浮かんでいる。

 全部でいくら位するんですか? と言いたいのを耐えながら、周囲を見渡す。

 

 と不意に、玄関付近に群がる大量の生徒集団が目に入る。

 気になり、そこにいた男子生徒の所まで行き尋ねてみる。

「ここってなんでこんなに人が集まってるんだ?」 

「は? ……あ、なるほど。お前、パンフレット読んでないだろ。俺はもう読み終わったし、これやるよ」

 投げる様に渡された厚めの紙筒を受け取る。

 表紙には、『王都魔法学園案内パンフレット』とポップな字で書かれている。

 早速1ページ目を読み、この生徒集団の意味をやっと理解する。

 

「ここに部屋の割り当て表が書いてあったんだな」

「そうだったんだね。あたし、このパンフレットの存在自体知らなかったよ」

「大丈夫、俺もだ」

 一度顔を見合わせてから、お互いに苦笑する。

 

「んじゃ俺等も見に行くか。この中歩いていくのも面倒だけど」

「そうだね、行こ」

 わらわらと蟻の様に群がる生徒たちをかき分けながら、突き進む。あまりにも人が多すぎて、目の前が見えない。

 そしてようやく部屋割りが書いてある表の前に到達。

 

「あたしはどんな子と同じ部屋になるのかな?」

 ここまで来るのに少し体力を使ったのか、微妙に息を荒げながらメルは言った。

「そうだな……メルと同じで寝起きの悪い子とか?」

「えぇ! それは困るよ!」

 冗談交じりの俺の言葉に、メルが悲痛に叫ぶ。

「ま、見てみりゃ分かるだろ」

 

「え~と……俺の名前は……」

「お、あった。 206号室か……。 えっと相部屋の人は……」

「えっと…あたしの名前は……」

「あ、あった。206号室かぁ……。 それで、相部屋の人は……」

 

『・・・・・・・・・・・・・』

 

『は?』

 

「なんで、俺はメルと一緒なんだ!?」

「それはあたしが聞きたいよ! なんで白夜と一緒の部屋なの!?」

 

『………………』

 

 しばしの無言。その間にも人の波は無作為に流れ、俺たちは自然に外へ吐き出される。

 

「……とりあえず、管理人さんのとこ行こうか」

「そだね」

 

 

 

 

「あの~、すいません」

「し……しつれいしま~す」

 2人して同時に挨拶をしながら、事務所のような所に入る。他の豪華な部屋と違い、ここだけは落ち着いた雰囲気が漂っていた。

 

「ん? なんだい?」

 奥の方から椅子のキィという軋む音が聞こえたかと思うと、優しそうな顔のおじさんがこっちまで歩いてきた。 

「あのっ、ここの寮監さんはいませんか?」

 こういう場所はあまり慣れていないのか、緊張したような様子でメルが質問する。

「あぁ、私が寮監だよ」

 あ、この人が寮監さんだったのか。それじゃ話が早い。

 

「あの……少し聞きたいことがあるんですが」

 

「なにかあったのかい?」

 

「部屋割りのことなんですけど……。なんで、男と女がおなじ部屋に……」

 

「あ! もしかして君たち、白崎 白夜君とメル=ジェミニちゃんかい?」

 

「へ……。あ、はいそうですけど」

 なんで名前を知られてるんだろうと思いながら頷く。

 

「ごめん!」

 いきなり頭に被っていた帽子を脱ぎ、脂汗で光る額を見せながら思い切り頭を下げる。

 え!? なに!

「今年は入学者がいつもより多くて、君たちだけ、部屋がどうしても足りなかったんだ! それでもう一緒の部屋にいれるしかなくて……」

 

 寮監さんは本当に申し訳なさそうにしているので俺はすかさずフォローを入れる。

 

「あぁ。そういうことなら仕方ないですよ。 寮監さんのせいじゃないですし。な?」

「う……うん。 それにあたしたち結構仲いいんで、別に大丈夫ですよ!」

 と、俺の振りにメルもあわててフォローを入れる。

 

「本当に同じ部屋でいいのかい? 今なら新しい部屋でも作ろうと思えば作れるけど」

そんな恐ろしい事やらせてたまるか。一部屋何円すると思ってんだ。

『はい!』

 2人で綺麗にそろった返事をしてから、俺たちは206号室に歩きだした。

 

 

 

 

 ◇ ◇ 

 

 

 

「あぁ~……疲れたぁ」

 部屋に置いてあった気持ちよさそうなベッドに腰を下ろす。

「そ~だね~」

 と気の抜けた返事が隣のベッドから聞こえてくる。

「なぁ?」

「なに~」

「メルはこれでよかったのか? 俺はメルだったら気軽に話せるし、正直嬉しいんだけど。」

 

「うん、別に大丈夫だよ…………あ。 白夜って寝起きいい?」

「ん? あぁ、別に悪くはないと思うぞ。」

「じ……じゃあっ! 学校の日はあたしを起こしてくれない?」

「ん、わかった」

「ありがとうっ!」

 

 起こしてもらえるという事に安心したのか、すぐにベッドで寝てしまった。

 

「今は4時か……夕食の時間に起こしてやるかな」

 呟きながら俺は部屋の整理を始めた。

 

 

 


次はやっと魔法を出していくと思います。

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