042 『クラス対抗魔法戦争・看病編①』
そろそろ本編入れよ!
って方々。
はい、自分も早く本編はいりたいです。
「急に飛ぶなんて信じられない! 飛ぶなら先に言っといてよ!」
門限ギリギリで門をくぐった途端にメルに説教をくらう。いきなりの飛行がそんなに怖かったのか、まだ顔が真っ青だ。
「悪い悪い。つい面白半分で」
「面白半分で、じゃないよ! ……というか、いきなり持ち上げるなんて、デリカシー無さすぎだよ」
「ん? なんか言ったか?」
「……なんでもない!」
そのままぷい、とそっぽを向かれてしまった。
むぅ、また機嫌を損ねてしまったか?
これは下手に機嫌取るよりそっとしといたほうがいいかな。
むくれ顔のメルを引き連れて、とりあえず部屋に向かった。
廊下には全く人気が無く、シーンと静まり返っている。唯一遠くから聞こえてくる食器の音は、たぶん食堂のものだろう。時間も時間だし、もうみんな食べ始めているらしい。
そのことをメルも察したのか、どちらも無言でペースを早める。
早歩きで部屋にたどり着き、鍵を開けてから部屋になだれ込む。
と、同時になぜか一気に力が抜け、俺はへにゃと玄関に倒れこんだ。
「は、白夜!?」
メルが焦ったようにしゃがみこむ。
心配かけまいと、俺は急いで立ち上がろうとするが、なぜか身体全てに力が入らない。それどころか、体中が重い。まるで、身体に鉛を埋め込まれたかのように体がぴくりとも動かない。
「あれ……?」
何度力を入れようとしても、まったく力が入らない。
「ちょっと、どうしたの、白夜! 大丈夫?」
必死の形相で俺の肩を揺らしてくる。
必死すぎて、肩を持つ手がちょっと俺に食い込んでいる。結構痛い。
しかし、それにツッコむ為の力すらも出てこず、そのまま床に突っ伏したまま考える。なぜ、全く身体が動かないのか。
それは、少し考えれば分かる事だった。
魔力切れ、という奴だろう。
魔力というのは本当はもっと加減して使うべきものなのだが、今日はあきらかに使いすぎた。魔法使いの魔力は普通の人で言う体力と同じで、使えば使うほど疲労していくのだ。
「……もしかして、魔力切れなの?」
どうやらメルも俺が魔力切れであることに気が付いた様で、やっと冷静になった。
こくり、と小さく頷くのが限界で、それ以上はする気にもなれない。
「でも、どうして部屋に入って急に?」
たぶん、部屋に入った瞬間にメルと仲直りが出来た安堵感が沸いてきたせいで、緊張が一気に解れたからだろうが、こんな長文を喋るのにはかなり労力が必要なので、メルには悪いが返事をせずに床に突っ伏す。
俺も多少の魔力浪費なら耐えることができるが、今回は無い魔力をいさらに絞り出したほど使ったので、ここで倒れるのも無理もないことなのだ。
「……こんなになるまで、あたしを探してくれてたんだ……」
メルが何かをぼそっ、と呟いた後、笑顔で俺の顔を覗き込む。
「よし! 今日はあたしが白夜の面倒見てあげるね!」
そう言いながら、メルは腰にエプロンを巻いて部屋の外に出て行った。
……あれ!? 面倒見てくれるんじゃないの!?
短めです。
次回は普通の長さです。