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白の魔法使い  作者:
第2章 1学期
43/51

040 『クラス対抗魔法戦争・解決編①』

遅くなってすいません! スランプ、受験勉強、塾、部活。などが重なりあまり執筆できませんでした。次から1週間更新を維持していきます。

 鮮やかなリボンなどでラッピングしてあるケーキを手さげ鞄に慎重に入れ、急いで部屋から飛び出す。外に出るとケーキを作り始めた時はまだ出ていた太陽がひっこみ、少しづつ暗みがかってきているのが窓から見えた。

 ちらっと左腕の時計を眺め、時間を確認する。

 門限まであと1時間。

 これは急がないと、気まずい状態のままメルと一緒の部屋で会うことになってしまう。どうしてもそれだけは避けたい! まず、メルが行きそうな場所に一刻も早く移動しなければ!


 ……仕方ない。これはあんまり使いたくなかったけど。

 ぼんやりと魔防具を買いに行った時の帰りを思い出し、ぐっと足に力を込める。俺は疲労するのを覚悟で地面を強く蹴り、叫んだ。


飛行(グライド)!」

挿絵(By みてみん)


 ブワッという威勢のいい風音と共に、俺の身体は空へと浮上する。このままふわふわと浮き続けるのは結構気持ちがいいが、今はそんなことをしている余裕が一切無い。

 落下しない様に慎重に魔法をコントロールしつつも、俺は出せる限り最大限の力で学校へ向かった。




 ◇ ◇

「どうしたんだい、白夜君。そんなに疲れた顔して」

 普通なら20分程かかる学校への道を全力で飛んで5分で到着した俺が両ひざに手をのせて息を荒げていると、ふと真正面から聞き覚えがある穏やかな声が耳に入る。


「……あぁ、メストか」

 だらんと下げていた首を持ち上げ、見上げる形でメストを見る。メストの顔と空の夕日が見事に被り、思わず目を細める。

 俺の眼が太陽の光に慣れるまで、メストはずっと屈託のない笑みをこっちに飛ばしている。

 まだ少しちかちかするが、我慢できないほどでは無いので膝から両手を離し、背筋を伸ばす。もう一度ふぅ、と息を整えてからメストに大ざっぱに事情を話す。

 俺の話を興味津々といった様子で相槌を打っていたメストは、さっきの笑みを取りやめ、苦笑にかえる。


「なるほど。そりゃ、早くメルさんを探さないといけないね」


「ああ、そういうわけだ。ってことでちょっと学校の中探してくるから、また明日な」

 もし何の用事も無ければもう少し話し込んでいたかもしれないが、門限まで時間も少ない。メストには悪いが「んじゃ」とだけ言って足早に校舎の方に駆け抜ける。


「あ! ちょっと待って!」

 が、数歩進んだところでメストに止められる。


「なんだよ、急いでるって言ったろ」

 ちょっとイライラ気味に言う俺に、気を使ったのかメストはすぐに用件をこっちに伝えてくれた。


「ごめんごめん。さっき、メルさんを探してるって言ったよね」


「ああ、言ったな。だから早く探しに行きたいんだが」


「そう焦らないで。メルさんの居る場所、僕が教えてあげるから」

 にやり、とメストは口元を歪める。それは今までの苦笑や、清々しい笑みでは無く、心底楽しそうに笑う少年のものだった。


 しかし、メストの自然な笑いよりも俺はメルの場所を知っているという事に衝撃を受ける。


「め、メルの居場所を知ってるのか!?」


「うん、知ってるよ。帰ってくる時に偶然見かけたんだ」


「それって、どこで……」

 言い切る前に、メストは一本指を出し、顔の高さまで持ってくる。


「――――一つ。一つだけ僕のお願いを聞いてもらってもいいかな?」


「……それは取引か?」


「んー、まあ。そんな感じかな」

 相手の意図は分からないが、メルの居場所を知っているのならそれは聞いておきたい。お願い、というのが気にならないわけでは無いが、まぁ情報と引き換えだ。止むをえまい。


「……分かった。そのお願いって奴は聞いてやるからメルの場所を教えてくれ」

 そう言うと、メストは再び満面の笑みを浮かべ、屋上の方を指さす。


「ありがとう、白夜君。メルちゃんは屋上にいるよ。……お願いは、また後日に話すから、覚えておいてね」


「ああ、分かった。こっちこそありがとな、助かった!」

 俺は玄関から学校に入るのもまどろっこしくなり、魔法を使って一気に屋上まで舞い上がった。










次回やっとメル登場。

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