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白の魔法使い  作者:
第2章 1学期
41/51

038 『クラス対抗魔法戦争・相談編⑦』

がんばった。


今回はがんばったよ。自分。

「はぁ……」

 ラルグにまでばれているなんて……。俺、どんだけメルの事ガン見してたんだよ。

 傍からみたら気持ち悪い人だよなぁ……。

 ラルグだからこそ、こんな風に言ってくれるが、他のクラスメイトにはどんな感じで見られたんだろう。


 ……なんか教室に帰りたくなくなってきた。


 勝手に肩を落として落ち込んでいる俺を心配したのか、ラルグが声をかけてくる。


「私、何か悪いこと言いました!?」

 どうやら自分が悪いことを言ったと思って落ち込んでいるらしい。目元にはうっすらと涙が溜まっていて、涙目だ。

 ラルグは悪くない、と言おうとしたが一応俺にとどめを刺したのはラルグなので、ぬ、と躊躇ってしまう。そんな俺の様子を見て、またラルグが涙目になる。


 なにこの最悪な負のスパイラル。

 この後も何度かこのやり取りを繰り返した後、「とにかく本題だ!」と半ば強引に話を戻し、気を取り直してメルのことについて話し合うことにする。


「と、と、ともかく、今から本題に入るぞ!」


「へ? あ、はい!」


 目元に貯めていた涙を慌てて振り払い、パイプ椅子に腰を掛ける。同時に俺も椅子に腰を掛ける。


「概要は大体知ってるっぽいから、端的に言うけど。どうしたら、メルと仲直りできると思う?」


「そうですね……。その前に、なんで喧嘩しちゃったのかを教えてくれませんか」

 あー、そういえば。それは教えてなかった。雰囲気がおかしくても、なんでそんな状態になったかまでは、分からないよな。


「別に喧嘩したってわけじゃないんだけどな」


「? そうなんですか?」

 首を傾げるラルグ。


「ああ。喧嘩したって言うよりかは、向かい合って話すのがちょっと気まずくなっちゃったんだよ」


「気まずく、ですか」

 俺の説明で理解できなかったのか、さらに首を傾げ、

「でも、メルさんは気まずいとかそんなんじゃなくて。なんか、こう、放心状態みたいでしたけど」

 メルの顔を思い浮かべているのか、ぽわーっと真上を見る。


「それは……なんというか」

 説明しようとして、ちょっとごもってしまう。


 大和とは文字での会話だったから自然に状況を説明できたものの、改まって相手に直接言うのには、少々恥ずかしい内容の話だ。しかも相手は同性、この話をすれば俺がどんな目で見られるかは分かったもんじゃない。

 想像して、ぶるっと震えた背筋をシャンと伸ばす。


 究極の選択だ。

 自分の立場を守る為に、何があったかを説明しないか。

 メルとの仲を素早く直す為に、するか。


 ぐらぐらと天秤が揺れる。


 普通に考えれば、前者――立場を守るを選択するだろう。後者は、時間さえあればなんとか解決してくれる筈だ。気持ちが、揺れる。そうだ、待っていれば、いずれいつも通り話し合う事ができるんだ。それだったら別にわざわざ説明なんてする必要……。



 ふと、楽しげに笑うメルの横顔が脳裏を掠める。そして、すぐさま今のメルの顔も映し出される。



 一瞬前者に傾きかけた天秤が、一気に反対側に振り切れた。

 覚悟を決め、二つの目でラルグを見据える。


 そして、口を開いた。







 ◇ ◇


「へぇ、そんなことがあったんですかぁ」


「――へ?」

 全てを話終え、さあどんな罵声が飛んでくるかと身構えていた俺は拍子抜けしてしまい、おかしな声を出す。


「でも、裸を見られたくらいで取り乱すなんて、メルさんも意外と子供なんですね♪」

 遂には本当にラルグから出たのか!? と疑うほどの爆弾発言をかましてくる。


 ら、ラルグって意外とそういうのには免疫があったりするのか!?


 もやもや、とピンク色の妄想だけが先走り、ラルグのイメージが塗り替わっていく。


 ラルグはなせか母親の様な温かい微笑みを見せて言う。


「裸なんて、お風呂に入るときにみんなに見られてるのに」

 ふふっ、と心底可笑しそうに笑うラルグの言葉に、一気に妄想がはじけ飛ぶ。


「待て、みんなに見られてるって、どういうことだ?」


「どういうことだもなにも。お風呂に入るとき、みんな服を脱ぐじゃないですか」


「……まあ、脱ぐな」


 当たり前のことを聞かれ、正直に頷く。


「その時に他の人にも見られてますよね? 裸」


「――は?」

 本日二度目の、驚きの声。

 ラルグはそれを鮮やかにスルーして、さも当然な事を言っている、という表情を作っている。


「だから、その時に他の方に裸を見られてるんだから、別に見せてもいいんじゃないですか?」


「――――」

 絶句。

 遂には言葉を失う。


 ラルグが言っている風呂は、きっとラルグの家にある大浴場か何かだろう。この学園に在籍している者ならばそこまで珍しくも無い。その浴場にはもちろん更衣室が付いている筈だ。そこで着替える時にほかの女性に見られているのだから、別に見られても何の問題も無い、と。


それが異性と、同性では大きく異なってくることを知らないで。

この調子で行きたいけど、明日から一週間pcが触れないの巻。


更新一週間が崩れるうう!

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