002 『到着までの時間』
12/24日10時44分 修正完了。
目が覚めると、空を照らしていた太陽は沈み、真っ暗になっていた。
――――あの学園まではあと、2時間くらいだな。
と、そこで俺が周りの人(特に男)から強烈な視線を浴びているのに気づく。
(な……なんでだ?)
とにかく、その視線から逃れようと顔を伏せた、すると。 目に映ったのは俺の膝を枕にして寝ているメルの姿だった。
「おい! メル!」
俺は周りに迷惑をかけない程度の音量でメルを起こそうとするが………起きない。
いっそ、頬をつまんでやろうと考えたが、逆に周りから変な目で見られそうだ。
どうする? どうしよう。
いいや、俺も寝よう。
「ぐー……すー」
俺はもう一度深い眠りについた。
気づいたらもう後10分くらいで到着というところまで来てしまっていた。 どんだけ寝てんだよ、俺。
ていうか……。
「おーい! メルー!」
こいつはいつまで寝てるんだ? しかも俺の膝の上で……結構恥ずかしいんだけど。
たぶん電車が出てすぐに寝たから………10時間くらいぶっ通しで寝てるのか。
「……どんだけ寝るんだよ」
俺はあきれながら呟く。
すると、急にもぞもぞと動き出したメルは両腕を真上に伸ばしてから、「ふわぁぁ」、と欠伸をした。
「んぁ、よくねたぁ」
「ずいぶん寝てたな、もう到着するぞ。」
「へ? もう!? あたし、どれくらい寝てたの?」
「うーん、5時間くらい?」
「そ……そんなに寝てたんだ」
恥ずかしそうに少し頬を朱色に染めながら、俯くメル。
それを見ながら、なるべく周りに聞こえないように囁く。
「……でさ、できれば膝から頭……どけてくれないか?」
「……へ? ってあぁ!?」
やっと今置かれている状況に気付き、今度は耳まで真っ赤になったメルは慌てふためきながら、ガバッと体を起こした。。
「え……えと、あの、その、ご、ごめんっ!」
慌てふためいて体を起こす。
「いや……いいよ別に。それと……着いたぞ」
「へ?」
「なにが?」と言わんばかりに首を傾げるメルに、苦笑しながら言った。
「だから、《王都魔法学園》に」
「あ!」
そこで、電車内に機械的なアナウンスの声が響いた。
『王都魔法学園に到着しました。生徒のみなさんはすぐに電車の外に出てください、繰り返します。王都魔法――――』
繰り返される放送の中で、車内がざわつき始める。
「さて、俺たちも行くか!」
「わわっ!」
俺は、メルの手を引っ張り電車の外、王都魔法学園への一歩を踏み出した。
修正完了。