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白の魔法使い  作者:
第2章 1学期
24/51

021 『クラス対抗魔法戦争・買い物編 メル視点⑥』

とりあえずは今回で買い物編は終了。

長くし過ぎたな。

 とりあえず店内に入り、適当なベンチに腰を下ろしたあたしたちはもう一度話し合いを始める。すでにお昼時を過ぎてしまったのか、店内にはまたお客さんが増え始めて来ていた。周りが騒がしくなってくるにつれて、あたしたちも集中できなくなりいい案が見つからない。そして無言になり、気まずくなる。というマイナススパイラルに陥っていたけど、その空気を一気に断ち切るように白夜が立ち上がった。


「今度はどうするの?」

 もう魔防具についてはあんまり期待していないけど、少しでも希望があるかもしれないと思って尋ねる。しかし白夜は案の定自信の無さそうなあやふやの表情をした後に口を開いた。


「今回のは完全に運頼みだけど……。ここも結構有名なお店だろ?」


 白夜の言葉に無言でこくり、と頷く。


「だったら、俺達みたいな学校の生徒が居てもおかしくないんじゃないか?」


 ……あ、そっか。

 店員さん以外に聞く、というのは盲点だった。同じ学校の生徒なら、もしかしたら知っている人もいるかもしれない。この時期にわざわざ魔防具を買いに来る生徒が居なさそうなのが少し心細いところだけど、正直これ以外のいい方法が思いつかない。


「これしか案が無いしね。それじゃ、探しにいこっか」




 ◇ ◇





「……こんなに早く見つかるとは思ってなかったな」

 茫然と呟く白夜に隣の小さな少女――ラルグちゃんは驚いた様に声を上げる。わたわたと空で両手を動かしている様子はちょっと可愛い。


「えぇっ! 私、見つかったら駄目でしたか!?」

 すいません、すいません! と何度も頭を下げられる。片方は眼帯で隠れているけど、もうひとつの透き通るくらい蒼い目にはうっすらと涙がたまっている。

 この姿だけで凄く申し訳ない気持ちになるんだけど……。


「な、なんであやまるんだよ。逆にお礼言わなきゃいけないくらいなんだからさ」

「そーだよ、だから泣き止んで? ね?」


 ラルグちゃんはうぅ、と目元の涙を拭ってから、ちょっとずれてしまった眼帯の位置を慌てて修正する。あそこになにがあるのかなぁ、と思ったりもしたけど隠しているものを聞くのもかわいそうだし、そっとしておく。


「それでね、ラルグちゃん……面倒くさいなぁ。ラルちゃんでいい?」

「ら、らるちゃん。ですか」

 ぽーっとした表情を浮かべながら、放心している様に動かなくなる。しかし数秒立った後、また声を出して泣き始めてしまった。


 えぇっ!? なんで泣くの!?


「そんなに『ラルちゃん』が嫌だった?」

「いえ……ちがうん、です」

 涙で途切れ途切れにだけ声を発していく。眼帯をつけている筈の瞳からも滴が伝ってきた。しかし、なぜか嬉しげで、泣いているのに顔を綻ばせている。

「私、嬉しいんですよ。友達……いなかったので。えへへ♪」

 ついには笑い出してしまってちょっと心配になる。でも、ラルちゃんって呼び方自体は嫌がってないみたいだし……。というより、友達いなかったって。確かに内気な性格そうだけど、普通に可愛いし、誰か集まってきてもおかしくない筈なのに。


「あだ名っていうの、初めてなんですよ。だから、嬉しかったんです。泣いちゃってすいません」

 言われてからも少しの間首を傾げて考えていたけど、どうしても分からなかったので本題に入ることにした。


「それでね、ラルちゃん。さっきも言ったけど、魔防具の選ぶ基準を教えて欲しいの」

「はい。そんなのお安い御用ですよ。とりあえず皆さんの使用属性さえ教えてもらえれば」


 よかった……と内心で安堵する。

 このまま誰も居なかったらもう一回寮に戻らなくちゃいけなかったし。これで、とりあえずは安心かなぁ。ラルちゃんの話を軽く聞きながら、もう一度ほっ、と息をついた。

またまた竜胆先生からイラストを頂きました!

ぜひご覧ください!

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