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白の魔法使い  作者:
第2章 1学期
20/51

017 『クラス対抗魔法戦争・買い物編 メル視点②』

はやめ? の投稿です。


来週再来週はもしかしたら、テストのせいで投稿できないかもしれないですが。


ご了承ください。

「う……ぅにゅ」


 まだ眠たい瞼をごしごしと擦る。今日は目覚まし時計をセットしたわけでもなく、白夜に起こされたわけでもない。自分で、自分の力で起きたんだ。そのことに妙な達成感を持ちながらも、寝息を立てている白夜に早く起きろー、と催促する。声はあまり出してない代わりに、耳元で言ったので、いくら深い眠りでもあたしの声には気づいたのかもしれない。気怠そうにしながらも、白夜は上体を起こす。途中であくびをしながら、ゆっくりと目を覚ました。まだ目が完全には開いていないので、半分くらいは寝ているんだと思う。でも、それも当たり前だ。


 今白夜の腕時計を見て気が付いたけど、現在時刻はまだ4時30分。出発の時間はおろか、朝食の時間もまだだった。通りで外も暗いはずだね……と一人で勝手に納得する。


 そんなことを考えているうちに、朝の起動が早い白夜はすぐに目を見開き今の時間を確認する。

 一瞬白夜の動きが止まり、すぐさまあたしの方を睨みつける。


「い、いやー。晴れてよかったね」

 白夜から目を逸らし続けながら、話題を逸らしてやろうと一人で会話を続ける。


「今日は楽しみだねー。思わず早く起きちゃったよ」

 これは本心の言葉、それが白夜にも通じたらしく深々と嘆息される。


「……楽しみなのはいいけどさ、俺も楽しみにしてたし。でもな……もうちょっと落ち着こうか」


「う……はぁい」


 素直に返事をして、自分のベッドにぽふん、と音を立てて座り込む。

 白夜はもう一度寝ようと横になっていたが、すっかり目は冴えてしまっていたらしく30秒も経たないうちにもう一度起き上る。


「あー、駄目だ。もう完全に目が覚めてる。おいメル、お前が起こしたんだからなんか暇つぶし考えてくれよ」

「えぇ!? なにその無茶ぶり!」


 思い切りお腹に力を入れて叫んでしまい、お腹がぐぅとなる。あたしは少しだけ赤面しながら、お腹を押さえる。

 それを見た白夜が、「おし!」となにか気合を入れた様に立ち上がり、自分のバッグを探り出す。

 ごそごそと物音を立てながら、かなり小さめのフライパンが取り出される。


「後は……」


 ぶつぶつと小さく呟きながら、新たにレモンとハチミツを取り出す。


 なんであるの? という疑問はさておき、何をする気なんだろう

 白夜は両手いっぱいの料理器具を持ちながらよたよたと、おぼつかない足でキッチンへと向かっていく。

 危なっかしい様子をひやひやしながら見ていたけど、無事にたどり着いてあらかたの器具をキッチンの台に乗せる。そのまま流れるような作業で、ポットに水を入れ湯を沸かすためにIHの電源をいれ、がたがた、と軽くポットの蓋が揺れ始める。

 その間に手馴れた様子でコップの中にスプーン一杯程のハチミツを垂らしていく。


 お湯が沸くまでの少しの時間で、あたしは白夜に話しかけようと口を半分ほど開けるが、今まで見たこともないような真剣な形相でポットを睨む白夜を見た瞬間、口を閉じてしまった。


 代わりに、内心大きく息を吸い込み、思い切り叫ぶ。


 

なにこの雰囲気! なんか怖い!


なにかオーラでも放ってるんじゃないだろうか、という程にひしひしと威圧感を感じる。



その白夜は、いままであたしが見てきた白夜の中でも一番真剣で。




……そして。




一番楽しそうだった。




それに気づいたあたしは、心の中にもやもやとした感情が浮かんでくるのに気がついた。


いい表情してるなぁ、とか。


集中してるなぁ、とか。


そんなのじゃない。


浮かび上がってきたのは……悔しさ。


なんでこんな感情が出てきたのかは分からない。けど。


今日の買い物で、白夜にこれを超える笑顔を作らせてやる。


心の中で、強く決意した。

誤字・脱字などがありましたら、感想お願いします。

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