016 『クラス対抗魔法戦争・買い物編 メル視点①』
遅くなってすいません!
次からはもうちょっと早くできますように~。
「つっかれた~!」
うめき声を上げながら、自分のベッドへ思いきり飛び込む。
一切汚れていない白いシーツからは仄かにお日様の匂いが漂っている。今日は晴れてたから、干していてくれたのだろう。心地の良い感覚に、自然と瞼が落ちていくのを感じる。
「メル……お前また寝る気か?」
ちょうどその時、おそらく真上のところぐらいから呆れるような溜息が聞こえる。
閉じかかっていた瞼を微妙に開けながら、むくっと体を持ち上げる。
「いいでしょー、眠たいんだもん」
それだけ言うと、もう一度ベッドに倒れ伏せる。
ベッドの上をころころと転がりながら、一番寝やすいポイントを探し、そこに寝ころぶ。そのまま布団をかぶって寝ようとした瞬間に、布団をはぎ取られる。「あぁ」と小さく嘆いてから頭だけを白夜の方に向ける。めいっぱい頬を膨らませて、視線だけで反論する。
「寝過ぎは体に悪い、せめて飯食ってから寝ろ」
言いながらあたしの腕を掴み、段ボールでも持ち上げるみたいにヒョイっと持ち上げる。予想以上の力で引っ張られ、あたしの身体は宙に浮いた。そのことに、白夜は若干驚いた様な表情を見せつつも、そのままあたしを食堂まで強制連行していく。最初は多少抵抗していたけど、明らかな力の差があるので意味がなかった。ずっと引っ張られているのも嫌なので、途中からは自分から食堂に向かうために歩いていた。
それにしても、今日は眠い。昨日、夜更かししたからかな? 考えながら、軽くあくびを漏らす。
張り切り過ぎちゃったかなぁ……。
土曜日に、白夜達と一緒に行く予定の店、通称『魔学店』。学園内のお店の集まり『学園都市』の中でも、特に有名なこの店は、魔法に関する道具を大量に取り扱っている。ここでしか買うことが出来ない魔法の道具も多く、外の島――つまり、生徒以外の魔法使いも頻繁に訪れる。
それだけ、魔学店の魔道具の質はいい物なんだと思う。
それを考えるだけで、あたしはわくわくを抑えきれなくなる。
「はぁ……早く明日にならないかなぁ」
ふいに呟く。声はかなり小さくしたつもりだったけど、白夜には聞こえていたらしく、苦笑される。
「これで32回目だな。そんなに焦っても得しないぞ? 魔学店が逃げる訳じゃないんだしもうちょっと落ち着いたらどうだ」
白夜の言葉にあたしは少しだけ頬を膨らまし、反論する。
「楽しみな物は楽しみなの! それに、三人で出かけるのも初めてじゃん、あたし、ずっと徹夜でスケジュールとか立ててるんだよ!」
と、そこまで言ってから、しまった! と口を両手で押さえる。
それでも、白夜には聞こえていたらしい。一瞬怒られる、と思って両目をぎゅっと瞑る。でもいくらたっても、声が聞こえなかったので、少しだけ薄目を開ける。あたしの目には、くすくすと堪える様に笑っている白夜が眼に映った。
「な……なに?」
聞いてみるけど、答えてくれる感じがしない。
白夜はそのまま歩き出したので、後ろからついて行く。
でも、その状態がずっと続いたので、あたしは我慢できなくなり、白夜に体当たりを繰り出す。
当たる寸前で片手に止められたけど、そのままもがき続ける。届かない足や手をぶんぶん振り回すが、やっぱり無駄。だけど、そのまま特攻を繰り返す。
そこで白夜が堪忍したのか、わかったわかった、と両手を上げる。
全体重を白夜の手に集中させていたあたしは、そのまま手の方向に倒れこみ――。
ぽすん、と白夜の身体に抱き着いた。
みるみる自分の頬が、いや、顔が熱くなってくるのに気づく。冷静になろうとしても、一瞬で熱にやらてしまう。
「うわぁぁ!」
やっと体がいう事を聞き、すぐさま手を放す。少し距離を取ってから、もう一度白夜を見ると、笑われていることに気づいた。
「なんで笑うの!」
憤慨しながら、ピシっと指を指す。
白夜はいまだに笑みを浮かべながら、口を開く。
「いや、だってさ。楽しみ過ぎてスケジュール練ったり、とかさ。遠足前にわくわくして眠れない子供みたいだなぁって」
言われた言葉を、頭の中で思考する。
そんなわけないじゃん。あたしはみんなで楽しみたいから先にスケジュールを立てて、有意義に過ごそうと……。でも、楽しみで寝られなかったっていうのは事実だし。早く明日になってほしいっていうのも事実だし。いやそれで――。
ぼんっ。
おーばーひーと。
そのまま、食堂につくまで、あたしは頭の中で思考を繰り返していたらしい。
軽く文面崩壊している様な気がしますので、気付いた点などがありましたら、ご感想お願いします。
厳しい感想なども、とてもありがたいです。