010 『料理好き?』
はい、お待たせしました。
すいません、遅くなりました!
ひとつだけ、内容がかなり薄いです。続きの話みたいなのは次書くのでよろしくお願いします。
「う~!」
ぼふん、と音を立てながら一切汚れが付いていないベッドに倒れこむ。
そのまま手を真上に振りかざし、ベッドに両手を叩きつけると同時に、そばにあった枕に顔を埋め込む。
「恥ずかしぃぃ!」
顔を埋めたままなので、少しぐぐもった声が誰もいない寮に響き渡った。
「なんであたし……あんなことになってたの……」
あたしことメル=ジェミニは今、錯乱状態に陥っていた。今、と言うより昨日の夜からと言った方が正しいけど。
「抱きしめられてたなんて…………恥ずかしいぃぃ!」
本日何回目になるか分からない絶叫を木霊せてから、少しだけ顔を浮かせ白夜が気を聞かせて開けて行ってくれた窓の外を見た。
今日はいつもより暖かく、太陽も自分の姿を主張するように輝いている。春の陽気を一気に吸い込み、高まっている気持ちを落ち着けるように深呼吸を繰り返す。
やっと落ち着いてきたので「ふぅ」と息を吐く。
さっきも言ったが、あたしは昨日からずっと落ち着けないでいる。なんでかを考えると、また思い出しそうだから考えないけど。
「よし! こんな時は気分転換だよね、気分転換」
ひとりでにそう呟き、何かない物か……とぐるりと周りを見渡す。
豪華な内装の部屋だけど、改めて見るとものはほとんど置いていなかった。
「むー。なんにもないなぁ」
大きな部屋だから、何かあるだろうと探してみたけど、生活に必要な最低限の物以外本当に何にもなかった。
せめてテレビくらい欲しいなぁ、と愚痴をこぼしつつ諦めずにもう一度キョロキョロとあたりを見渡す。
すると、隣にあるベッドの上に無造作に置かれている、真っ黒な鞄が目に入った。これは白夜の荷物が入っている鞄だったと思う。いっつもここからタオルとか出してたし。
誰もいないことは分かっているが、勝手に警戒しつつ無造作に置かれている『それ』に向かい、手を伸ばした。
「開けても……いいよね」
ゴクリと唾を呑み込んでから、チャックに手を掛ける。音を立てずにそっと開けたあたしは、目を疑った。
中に入っていたものは、フライパンや鍋などの調理器具だけだった。それも見たこともないようなものばかりで、両手を使っても持てないんじゃないかと思うほど大きな物もあった。
全部黒一色に統一しているのは白夜の趣味だと思うけど、こうも黒だけだとちょっと不気味。少し身を引いてから、もう一度鞄の中を覗き込む。
「うわぁ……黒ばっか……」
呆れながら声を出し、嘆息した。
「なんにもないじゃん……」
入っているのは結局調理道具だけで、面白そうな物は全く入っていなかった。着替えとかはどうしてるんだろう、とは思ったけどそれは別問題だと思う。
――――早く帰ってこないかなぁ。
考えながら、ふかふかのベッドに転がった。
次回もちと更新が遅れる可能性があります。すいません。