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魔王と勇者

作者: 来流華

文章力を上げよう!と思って書いた第一弾。

お題は「魔王と勇者」、書きやすかったけど書きたかったことが書けなかった!

今は猛烈に反省している。

 鮮烈な光が大きな窓から差し込み、全体的に華美な装飾が施された空間を白く染めた。

 数瞬遅れて雷鳴が辺りに響く。

 少年は残響を聞き終わると右手に持った無骨な剣を目の前の男の首筋に当てた。

「・・・・・・くくっ、ついに我もおしまいか」

 男が諦めた表情で、それでいてどこか楽しげな風に言った。

「ああ、そうだ・・・・・・」

 少年が剣を強く握り直し、断言した。



 ここは暗黒大陸の最奥に位置する魔王の城の中であった。紅い絨毯が空間を横断するように一直線に敷かれ、豪華絢爛な椅子まで導いている。空間の左右にはカーテンのかかっていない大きな窓が連続しており、

今は雷光があまり間を空けずに入ってきていた。平常であればその尊厳さに入ることも躊躇われる空間に今は四つの人影があった。一人はこの空間の主である魔王。それに相対するは幼さを微塵も感じさせない剣を持つ少年、その少年の数歩後ろには法衣を纏い杖を持つ眼鏡が特徴の青年の姿と、着飾れば周りまで穏やかな感情にさせるほどの容姿を持った美少女がいた。

 ここは暗黒大陸の際奥に位置する魔王の城の中であり、今まさに魔王と人類との決着が決まろうとしていた。


「さあ勇者、とどめを! 」

 法衣を纏った青年が鋭い声で言う。

 勇者と呼ばれた少年は魔王から目をそらさずに小さく頷き、魔王に言った。

「最後に言い残すことはあるか? 」

「ない、・・・・・・未練はあるがな」

「そうか・・・・・・」

「この我がまさかこのような暗殺じみたことでやられるとはな」

 勇者は魔王の呟きに答えず右手に持った剣に力を入れる。

 その様子を見て魔王が微かに首をかしげ、不可解そうに勇者に尋ねる。

「とどめを差すのではないのか? まあ痛めつけて殺したいという気持ちはわからんでもないが」

「何を言っている? 」

「いや、我にとどめを差そうとしておるはずなのにお主がその剣を抜かぬ故な・・・・・・」

 魔王が勇者の腰にさしてある装飾がされた派手な金色の剣を見て言う。勇者は右手の無骨な剣をさらに力をいれて握り締め語気強く言った。

「お前にはこの剣で十分だ! 」

「ははっ、何を言う勇者・・・・・・。我はその伝説の剣以外では殺せぬぞ」

「嘘を言うな! 」

「勇者様、騙されてはなりません! 早くとどめを! 」

「嘘などついておらぬ。嘘だと思うならお主が構えておる剣で我の首でも切ってみよ! 」

 魔王の威圧に勇者がやや気圧される。場が急速に静まり出した。

 魔王を倒すには伝説の剣でとどめをささないといけない――――このようなことは勇者を含む三人は知らず、

その真偽を考えるための沈黙、一方魔王は訝しげな勇者たちの様子の原因を考えるための沈黙であった。

 ふと、魔王の頭にある考えが浮かんだ。何を馬鹿な、と思うがその考えは今の状況を説明するのに一つの有力な答えだった。魔王が思わずといった風にその考えを口に出す。

「まさか、おぬし勇者で――」

「ま、魔王様! 大変です! 魔の谷を流れる川の下流から帝国軍の服をきた黒髪の人間の死体が発見されました! もしかしたら勇者らの仲間かも知れません! 奴らがすぐ近くまで、むっ! お前ら何者だっ! 」

 突然の侵入者にその場にいた四人が固まった。しかし、それは一瞬であった。

「くくく・・・・・・もしやまさかとは思ったがお主・・・・・・勇者ではないな! その剣は勇者しか抜くことが出来んからな! フハハハッハハハ」

 魔王が断言し、傷ついている体から発せられるとは思えないほどの声量で高笑いを始めた。

「だから勇者のふりなんて無理だって言ったじゃないっ! 」

「すまん、うまくいくと思っていたのだが・・・・・・」

 床に腰を落として泣く少女に、隣の青年が険しい顔をして謝った。

 勇者ではないといわれた少年は諦めきった顔をして剣を下げて俯いている。

「うわああああああん! 勇者のばかあああああああああ、なんで死んじゃうのよおおおおおおお」

「本当にすまない、あの時俺が勇者を止めればこんなことにはならなかった」

「いや、あんな高いところで「最高ぉおおおおおおおおお」とかいいながら用を足していた勇者が悪いよ。

僕たちは運が悪かったんだ」

 三人が三人ともそれぞれの反応を見せる姿を魔王はにやけた顔で見つめ、よっこらせと腰を上げた。軽く身体の調子を確かめ、腰にある剣を抜いた。

「さあ、言い残すことは・・・・・・ないな? 」

ご読了いただきありがとうございました。

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