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氷の追放令嬢、死神辺境伯の熱に溶かされて幸せになります ~捨てられた聖女の調和魔法で、極北の地を宝石の都へ~  作者: 花菱エマ


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第16話:永遠の誓いと、閣下の甘すぎる独占欲

まぶたの裏に、柔らかな金色の光が透けて見えた。

 

 ノースウォールの朝は、いつも清冽な静寂に満ちている。王都の、あの肌にまとわりつくような湿った熱気とは違う。ひんやりとした空気が、私の心をどこまでも透明にしてくれる。


「……ん……っ」


 身体を動かそうとして、私は自分が心地よい「檻」の中に閉じ込められていることに気づいた。

 背中から伝わってくる、確かな鼓動と、火傷しそうなほどの体温。カイルム様の太い腕が、私の腰をしっかりと、けれど愛おしげに抱きしめていた。


「……起きたのか、私の小さな女神」


 耳元で響く、朝特有の掠れた低音。

 首筋に、彼の熱い吐息が吹きかかる。そのあまりの甘い痺れに、私はまた顔を布団の中に埋めてしまった。


「……お、おはようございます、カイルム様。……あの、もう朝ですわ。私、お仕事に……」


「……まだだ。昨日の夜会で、君は世界中にその美しさを見せつけてしまった。……私の独占欲は、まだ少しも収まっていないのだよ、エルシア」


 カイルム様はそう言うと、私をくるりと正面に向き直らせた。

 乱れた漆黒の髪の間から覗く、情熱を孕んだ灰色の瞳。彼は私の頬に手を添え、親指で私の唇をなぞった。


「……リュシアンに跪かされた時、君は本当に凛としていた。……誇らしかった半面、あんな男に君の声を、君の正論を聞かせてやることさえ惜しいと思った」


「……カイルム、様。……私、もう怖くありませんでした。あなたの腕の中が、こんなに温かいことを知ってしまったから……」


 私は、自分から彼の胸に手を置いた。

 昨夜、王太子リュシアンを拒絶した瞬間。私の中で何かが完全に「終わった」のだ。

 そして今、この人の隣で、新しい人生が「始まって」いる。


「……エルシア。正式に、誓ってほしい。……君は、フレイム公爵家の捨て駒ではなく、私の、このカイルム・ド・ノースウォールの生涯唯一の伴侶になると」


 カイルム様は、私の左手を取り、薬指に深い口づけを落とした。

 

「王都が滅びようと、世界が吹雪に閉ざされようと。……君の隣は、私が死守する。君が私の熱を吸い取り、私が君の氷を守る。……この契約は、死が二人を分かつまで、いや、魂になっても離しはしない」


「……はい。……喜んで、カイルム様。……私を、あなたのものにしてください。……あなたの愛で、私の氷を、永遠に溶かし続けてください」


 私がそう告げると、カイルム様の瞳に溜まっていた熱が、一気に溢れ出した。

 

 重なる、唇。

 それは昨夜の誓いの口づけよりも、ずっと深く、甘く、独占的な味。

 

 窓の外では、ノースウォールの領民たちが、新しい「辺境伯夫人」の誕生を祝って、朝から活気に満ちた声を上げている。

 

 かつて「不浄」と蔑まれた私は。

 今、世界で一番愛される「幸福な花嫁」として、眩しい光の中にいた。

「魂になっても離しはしない」

カイルム閣下の、いよいよ隠さなくなった激しい独占欲……。

皆様、朝から当てられすぎて、胸が苦しくなってはいませんか?


一度は「不浄」として捨てられたエルシア様が、

自らの足で立ち上がり、愛する人と「永遠」を誓う。

これこそが、どん底から這い上がった魂への、最高のご褒美ですわね。


さて、幸せいっぱいの二人ですが、

次回からは少しだけ、カイルム閣下の「過去」に触れてまいります。

「死神」と呼ばれた彼の孤独を、

聖女となったエルシア様がどう癒やしていくのか……。


もし、二人の朝のひとときに「ごちそうさま!」と思ってくださったなら、

ぜひ【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価で、

二人の朝食に「甘い蜂蜜」を添えてあげてくださいな。


皆様の評価が、二人の仲をより深く、より甘く彩ります。

次回、第17話「氷の騎士の孤独。カイルムが『死神』と呼ばれた理由」でお会いしましょう。

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