表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

向日葵〜あなたを見つめる

あの日のことを、今でもはっきり覚えている。夏の匂いと、強すぎる光と、隣を歩いていた君の背中。何気ない一歩が、少しだけ特別に思えたのは、きっとこの頃からだった。

 駅を降りて、二人は並んで歩き出した。潮の匂いが風に乗って鼻をくすぐり、遠くから波の音が微かに聞こえる。夏の光は強く、アスファルトの照り返しがじりじりと肌に残っていたけれど、海から吹く風がそれを少しだけ和らげていた。

 彼女は迷いなく堤防へ向かい、その背中は軽やかで、どこか遠くを見ているようだった。僕は少し遅れて歩きながら、その背中から目を離せずにいた。声をかける理由も、立ち止まる理由も見つからない。ただ、この時間が終わってほしくないと思っていた。

 堤防の先で彼女は立ち止まり、深く息を吸ってから振り返る。

「来てよかったね」

 その一言が、胸の奥に静かに沈んでいった。


 君の背中を見ていた時間は、短かったはずなのに、なぜか長く心に残っている。振り返らなかったその背中が、僕の中で初めて「失いたくない」と思った瞬間だったのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ