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スイートピーの先

番外編です。

あの後の二人を、子供の視点から描いています。

屋台の匂いが混ざって、ちょっとむせた。

焼きそばとチョコバナナと、あと煙。


「ねえ、まだ?」


「まだだって。さっきから三回目」


隣で妹が袖を引っ張る。

花火よりりんご飴の方が気になってる顔だ。


お父さんとお母さんは、川の方を見たまま動かない。

毎年ここ。毎年同じ場所。


別に見やすいわけでもないのに。


ドン、と音が落ちてきた。

一発目の花火が夜を開く。


「おおー!」


妹は空を見上げる。

でも二人は見ていなかった。


次の光が広がる瞬間、

お父さんとお母さんが、同時に振り返る。


目が合って、少しだけ笑う。

声も出さず、合図みたいに。


「……ねえ、今の見た?」


「なにが?」


妹は気づいてない。

りんご飴の方が大事らしい。


毎年ここに来る理由、

たぶん花火じゃない。


昔の話は聞いたことがないけど、

ここに来るときだけ、二人は同じ顔をする。


花火がまた夜に咲く。


「ほら、ちゃんと見なさい」


言われて空を見る。

でも少しだけ、さっきの二人の顔が残っていた。


きっとこの場所には、

ぼくらの知らない夏がある。


きみが振り返った、その瞬間に――


ここまで読んでくださりありがとうございました。

二人の物語は終わりましたが、

時間は続いていく――そんな形を少しだけ書きました。

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