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悪役令嬢とお披露目会2

「にしても、ソフィアって大食いなんだな。すっげぇ皿に乗ってんじゃん」

「失礼ね。大食いなんかじゃないわよ。ただ、甘いものは別腹なのよ」

「太っても知らないぞ」

 フランクの言葉に、思わず口ごもる。確かに、私の皿に乗っているデザートの量は、尋常じゃない。

「そ、そんなこと分かってるわよ。ちゃんと、明日その分運動するつもりよ」

「へー、ソフィアって運動するんだな」

 そんなヒョロく見えるかと、首を傾げる。

「なんなら毎日してるわよ」

「それは初情報。ソフィアって、つくづく令嬢っぽくないよな」

「え。そ、そうかしら」

 令嬢らしくないと言われ、今年一番くらいのショックを受ける。

 そんなに令嬢らしくないだろうか。礼儀作法は、この世界に来てからしっかり学んでいる。七歳にしては上出来なはずなのだが。



「普通の令嬢は運動を毎日したり、七歳で魔術を完璧にマスターしたりしねぇよ」

 礼儀作法などのことを指しているわけではないのだとホッとする一方、何故魔術をマスターしたことを知っているのか疑問に思う。

「なんで、私が魔術をマスターしたこと知ってるの?」

 情報屋から情報を買っているのかしら。

「社交界は情報が大事だからな」

「え、フランクってちゃんとそういうこと考えるのね」

 そういうのに興味ないかと思っていた。

「酷いな」


 

 そう言って、フランクは私の髪やドレスに視線を向ける。

「そういや、髪もいつもと違うな。すげー似合ってる。それに、そのドレスの色も良いじゃん。ソフィアの髪にすげぇ合ってんな」

 装飾品も流石だと、私のドレスをまじまじと見つめる。至近距離に顔が近づき、胸がドクドクと鳴る。フランクと目が合うと、何かを面白がるような笑みを浮かべる。

 顔が良いと思っていたことを感じ取ったのだろうか。フランクは観察力があるから、ありえる。

「ソフィアって意外と面食いだよな」

 やっぱり分かっていた。

「そうね、面食いね。悪い?」

「いや?自分も美形なのに面食いなんだって思ってな」

 転生前は、今の完璧な美貌は持ってなく、平均よりは上の顔だった。

 それに、私は、元々自分が美形でも、面食いになっていた気がする。


 

 その時、ちょうどダンスを終えたお父様が、私達の元へ歩み寄ってくるのが見えた。

「ソフィア。そろそろ来賓への挨拶の時間だ。レオンを呼んできてくれるかい?」

 その言葉に私は頷く。

「分かりましたわ、お父様」

 そして、フランクと別れ、令嬢達に囲まれたレオンの元へ向かった。

「レオン」

 そう声をかけると、希望を見つけたみたいな顔で、レオンは私に振り向いた。

「お姉様!」

 少し涙目なので、令嬢達に囲まれたがどうすれば良いか分からず困っていたというような所だろう。そうならば、助けてあげないと。

「皆様、話しているうちに失礼ですが、レオンを借りてもよろしいでしょうか?」

 にっこり笑みを作りそう尋ねると、令嬢たちは落胆の声を出しながらも、承諾をしてくれた。物わかりの良い人たちで良かった。無駄に時間を使いたくなかったもの。

 令嬢たちの中からやっと外へ出ると、レオンは私に感謝の礼を述べる。



「ありがとう、お姉様」

「いーえ。そろそろ来賓への挨拶の時間ですって」

 なかなか反応がなく、どうしたのかと思っていると、「お姉様は緊張しないの?」と聞かれた。私がさらっと平然な顔で来賓への挨拶の時間だということを言うから、私は緊張していないのかと思われたのかもしれない。

「ううん、そんなことないわよ。緊張してるわ」

「じゃあ、どうしてそんなに平然としているの?」

「今までマナーの授業を真面目に受けてきたから、どうにかなるかなって。レオンも大丈夫よ。今まで真面目に授業を受けてきたでしょ?」

 すると、レオンは感嘆するように呟く。

「お姉様は凄いね。その考え方ができるのは羨ましいな」

 なにか考えた後、いつも通りキュンとする笑みで、私に微笑みかけた。

「ありがとう。お姉様!なんだか心が軽くなったよ」

 その言葉を聞き、私は嬉しくなる。

「そう言ってくれると嬉しいわ。ありがとう」

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