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18.悪役令嬢は執事に言われる

 今出会っている攻略対象は、我が友フランクと我が義弟レオンの二人。きっと、学園に入学してからバンバン攻略対象達と出会っていくのだろう。というか、疑問に思うのだがこの国良好物件が多すぎ


 

 パンッ!



「!?」

 耳元から何かが破裂するような大きい音が聞こえ、私は自分の世界から現実へ戻る。周りを見渡すと、レオンが私を心配したような表情で、ギルが「何やってんだ」というような目で私を見ていた。ギルの両手は合わさっており、さっきの大きな音はギルによるものだと理解する。そして、何の意図か知らないが義弟に質問をし、黙りこくるという挙動不審の人に私がなっていたと気づく。

「ご、ごめんなさい。考えに集中してしまって」

「大丈夫だよ、お姉様。人間だもん、そういうことあるよ」

 天使の笑みを浮かべてレオンが、慈悲深い言葉を私に言う。レオンは優しいとつくづく思う。こんな優しい天使な子が、冷酷なソフィアに従順な子になってしまったなんてやはり信じられない。レオンルートの終盤で、元の性格にとはいかないけれど優しさや可愛らしさがあるようだったので、元々は優しくて甘えん坊の子だったのかと思っていたがレオンと話してみて、そうだと思う。

 甘えん坊は分からないが、優しいというのは絶対あっている。こんな可愛くて優しい子を、ソフィアは歪めてしまったなんて……。



悲しく感じていると、専属執事であり友である人から酷いことを言われる。

「レオン様、ソフィア様を甘やかさないでください」

  私が甘えているような口振りに、私はムッとなる。義弟に甘やかされるのではなく、私は甘やかす側の筈だ。立場逆転なんてお断りだ。可愛がりたい人にお兄ちゃんされるなんて、ずっとそれが続くと不満が溜まっていく。

「自覚無いけど、僕お姉様甘やかしてる?」

「甘やかしてます」

 容赦なくギルは答える。

「そうなの?でも、お姉様きっと色々頑張ってるし、誰かお姉様を甘やかしてくれる人が居たほうが良いんじゃないかな?」

 可愛く首を傾げるレオンの言葉に、私はうんうんと首を縦に振る。しかし、「私が居ますから大丈夫ですよ」と営業スマイルで拒否される。

 来たばかりの時は表情を作るのが苦手だったのに、今はさらりと笑顔を作れている。それは良いことなのだが、実際に使われると不思議な気持ちになる。

「良いじゃない、私弟欲しかったのよ?勉学や魔法にも励んでるし、ご褒美の一つ、あってもいいと思わない?」

 目を潤ませて言ってみたが、ギルは表情一つ変えない。元とはいえ暗殺者にこんなことは効かないとは思ってはいたが、効かなすぎてびっくりである。

「別に、学園で学べるので大人の範囲までやる必要はありませんでしたし、やりたいと言ったのはソフィア様だったとお聞きしましたが?」

 ギルって、口喧嘩強かったのね。それとも、執事という職業だからかしら?

「まあ、そうだけど……分かったわ」

  話が意外に長くなってきたので、私が妥協することにする。

「レオンに甘えすぎないように多少は気をつけるわ。でも、甘えてしまうことあるから甘えすぎてるなって思ったらギルも言ってくれるかしら?」

「分かりました」

 ギルも話を収束させたかったのか、素直に了承してくれた。



「お姉様」

 レオンから名前を呼ばれる。私が「どうしたの?」と聞くと、私とギルはどういう関係なのか問われた。敬語で話しているので私とギルが友達だと気づかないと思っていたが、そんなことはなかったようだ。主と家来が友達というのは堂々と言うことは出来ないが、気づかれたのは嬉しい。

「ええ、私とギルは主と執事だけれど、同時に友達でもあるの。ね、ギル?」

 仲を示すため、私はギルの腕を掴み体を寄せ、上目遣いでギルを見上げる。

「はい、恐れ多くも……レオン様、よろしいでしょうか」

「うん、いいよ」

 笑顔を貼り付けたまま返事をしようとしたが何か思ったらしいギルに、レオンは承諾する。

「これから、レオン様の前でソフィア様といつも通りに話してもよろしいでしょうか」

「もちろん」

 ギルの言葉に私は納得する。確かに、今までは敬語でギルが話さなけばいけない時間はそこまで無かったが、義弟が出来たとなると私がレオンと居る時間が長くなり、必然的に敬語で話さなければいけない時間が、多い時はタメ口で話せる時の倍以上になる可能性がある。

 さらに、レオンに私とギルが友人関係であることを知られれば、レオンの前で私に敬語ではなくタメ口で話したくなるのも当然であろう。

 しかし、出会った時は敬語で話そうとしていて砕けた言い方にそわそわしていたギルが私に敬語は慣れないと思うようになるとは驚きだが、友人として仲良くなってきているのだということになるので嬉しいと心から思う。

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