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2.悪役令嬢は執事達に謝罪する

 その後メイドたちと別れ、部屋の前の角に行くと執事見習い達が何かを話していた。何を話しているか気になり、気づかれないように近づき、聞き耳を立てる。

「あのお嬢様が悲鳴を上げたんだってよ」

「ふーん。ざまあみろだな。いつも俺達を弄びやがって。あのクソガキ」

「実はそれ昨日お嬢様が飲まれる紅茶に俺が薬入れてやったんだ」

 私はその会話を聞き、ソフィアの嫌われ具合に頭が痛くなる。

 こんなにも嫌われているなんて。仲良くなんて、したくても無理ね。

 私はよろよろと歩き始めた。

「いたっ!」

 私は前に置いてあっった箱に気づかず、それに引っ掛けて転んでしまった。

 私は何でこんな所に箱が……と言いながら立ち上がった。

「大丈夫か?って、お嬢様!?」

 まあバレますわよね。

 執事見習いの一人が、誰が転んだのか分からないまま手を伸ばしたが、誰だか分かり声を上げる。

「え、お嬢様?」

「マジか……」

 他の見習いたちも私の周りに集まってくる。

 「あー、お嬢様。聞いてましたか?」

 気まずそうに執事見習いの一人は私に声を掛ける。

 私はコクリと頷き、返事をする。

「嘘だろ。……って、申し訳ございませんお嬢様。私ごときが無礼な口を」

 彼はハッとしたようにバッと頭を下げ、それに続き他の人達も頭を下げていく。

 私は体験したことがないから分からないけど、絶対にそれをやりたくない人にそれをやらなければいけないなんて嫌だよね。それに私、彼らに凄いことをしていた。

 いびったり甘い言葉を言わせたり。私が覚えていないだけで、きっとこれ以外にも沢山していた。それをやったのは、私じゃないけど私だ。


 

「ごめんなさい……」

 思わず口から言葉がこぼれる。

 頬に温かいものが流れる。

 彼らは、その言葉に顔を上げ私を見つめる。

「今ままで、ごめんなさい……。沢山酷いことしてしまって。許さなくていいから、ごめんなさい……!」

 目からボロっと涙がこぼれ落ちていき、私は泣きじゃくる。

「お嬢様……?」

 訳が分からないと私の名を呼ぶ。

「本当にごめんなさい。私が想像しているより随分酷いことをしていたわよね。貴族、いや人としてもう終わりね。貴族としての業務も果たさず、我儘で自己中心的の人でなしでごめんなさい……!」

 私は唇を噛み締め、言う。

 こんなの無理よ。終わってるわ。前世の私のほうが百倍貴族らしいわ。

「お嬢様……。大丈夫ですよ」

 彼らはそう優しく微笑み、腰を下げる。そして、私をぎゅっと抱きしめる。

 抱きしめられるのなんて……保育園ぶりかしら。

 彼らの腕の中は温かく、とても安心するものだった。

 でもこれも、私の立場が上だからやってることなのよね。何をしても立場でそういうのが決まってしまうなんて……。世界って理不尽よね。


 私は服をクシャリと掴み無き悶えていたが、顔を腕でこすり、上げる。 

「気を使わせちゃってごめんなさい。でも、ありがとう!」

 私は、せめてと思い笑みを作る。

 彼らは目を少し丸くさせていたが、穏やかに笑う。

 この屋敷の使用人達、良い人すぎるよ。何でよ。

 もうツッコミどころ満載だ。


 涙と鼻水が引いてきた頃、私はあることを思い出し質問をした。

「そういえば私、どんなことしてたの?思い出したくもないだろうけど、出来る範囲で教えてくれないかしら?」

「え?ソフィアお嬢様のですか?そうですねー。どこで知ったかわかんないような凄い甘すぎて砂糖吐きそうな言葉やシュチュエーションを演じさせたり、庭に落とし穴を作ってそこに落とさせて大怪我させたり。まあ数え切れないですねー」

 え?どこで知ったかわかんないやつ?それって禁書読んでますよね。五歳で?しかも、いたずらで大怪我させるなんて……。

「私、苛烈な上に最悪じゃないか……」

 小さな言葉を残し、私はバタリと倒れた。

「え、ソフィアお嬢様ー!?」

「どうしよう。えっと、取り敢えず旦那様に!」

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