14.悪役令嬢は関係を聞かれる
「フランク、この後どうする?案内でもしよっか?」
「んーまあ、それで」
「分かったわ」
私は頷き、ギルに大丈夫かと聞く。
「大丈夫です。パーティーは明後日でまだ準備しなくていいので」
「そう、良かった。ありがとう」
「ところで、」
お礼を言うと、ギルは目を少し釣り上がらせ手でこっちに寄るよう私に指示する。何か言うつもりなのだと分かり、私は耳を隠していた髪を払って耳をギルに近づかせる。
ギルが手を口元に当て、それによってギルの口と私の耳が隠れる。そして、コソリと声を抑えて言う。
「あいつ誰だよ?」
その声は重く、嫌だという感情が伝わった。
その姿に、出会った時を思い出す。嫌だと言うよりかは警戒だったが。人見知りが強いのかもしれない。
「この国の宰相の嫡男、フランク・ロペス様よ。さっきのお茶会で友達になったの」
「宰相の嫡男……。何でよりにもよって男なんだよ」
「だって、彼以外の人達、友達じゃなくて取り巻きみたいになりそうだったから」
そう言うとギルは不満そうながらも納得した様子を見せた。
駄目なのかと私は首を傾げる。
「ソフィア」
急に声がかけられ、私達は肩をビクッと上がらせる。
「ふ、フランク」
私はギルから離れ、振り向く。
「そろそろ行っていいか?」
「も、もちろんよ。待たせちゃってごめんなさい!」
笑顔を貼り付け、私は庭園に早く足を進めて向かう。庭園に到着すると私は、ここまでの間に何も言う素振りがなかったからもう大丈夫だろうと考えて歩くスピードを落とす。
「ソフィアさ、後ろの執事とどんな関係なんだよ」
大丈夫じゃなかったぁーーー!!
しかも、こういうということはタメ口で話しているのを聞いただろう。本来、こういう話し方をすべきじゃないからバレてはいけないのに。というかまず、人の前でやってはいけなかったんだが。
「侍従関係だよ…」
私は少し落ち込みながら答える。
侍従という言葉を、使うことも嫌なのに本人の前で言わなければいけないなんて。事実だとしても、やっぱり嫌なのよね。この言葉を言いたくないから、早歩きにしたのに。
ああ、ギルを見られない。
「いや、そうなのは知ってるけど。そうじゃなくて」
「そうじゃなくて?」
私は聞き返し、フランクが言うのを待つ。
「恋人とか、そういうのかって」
……は?
何故恋人?え、そういうふうに見えるのこれ?友達じゃなくて?
「いや、恋人じゃないけど。そうじゃなくて、友達」
友達も少し違和感を感じるが、一番近いので私はそう答える。
「……そうか?なら、仲良くね?タメ口だし」
「いや、だから友達だからだって」
「じゃ、違うとしてそいつにそういう感情持ってんのかよ」
そう言うフランクの目は笑っていて、口角も上がっていた。
あ、この表情絶対に面白がってる。確かに、ゲームでは面白いことが好きだったよな。
私は確信する。
「いや、無いから。まず誰にも無いから」
私は無表情で首を振る。
「そっちの君は?」
「え」
フランクは、私に恋愛感情が無いことを知ると、後ろに首を向けてギルに問いかけるが、ギルは嫌そうな顔をする。
「私、ですか?」
ギルは口調を整えて、フランクに確認する。
「うん。君」
「あ、フランク、名前ギルって言うのよ」
君だと言いづらいかと思い、私は名前を伝える。そう言うと、ギルはなんで言うのかと訴えかけるような顔で私を見る。
名前くらい別に良いじゃない。駄目なの?
「……すいません。そういうのはちょっと」
「タメ口でもいいんだぞ」
ここまで言われ、ギルにはもう断る権利など無い。
「……分かった。ソフィアは俺にとって……」




