表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

俺の日常

俺の日常 ~タクシー編~

作者: そーた

俺は今日も仕事を終わらせて、アプリで呼んだタクシーの中に入る。


体が疲労を感じる中で、道路に一つの車が止まり、車が開く。


「…今日はどこまでですか?」


深く帽子をかぶった運転手は、どこか不気味な雰囲気を醸し出していた。


車の中も、まるでこの運転手を示すかのように薄気味悪かった。


だが、俺はそんなことを気にしている暇はなかったので、自宅までの道を指示する。


「…じゃあ〇〇町の〇丁目のところまで」


「かしこまりました」


とだけ運転手は話し、車を発進させる。


車の走る音だけがこだまする中、このタクシーの中に違和感を覚えた。


料金メーターがないのだ。


普通のタクシーだったら料金メーターが設置されていて、そこでいくら支払うのかが分かるのだ。


なのだが、その料金メーターがなかったので違和感を覚えてしまった。


だが、この車を降りて別のタクシーを呼ぶのは違うと思い、気にすることを辞めた。


「…お客さん、ちょっとお話でも聞かないですか?」


「お話…ですか?」


運転手は、車を運転しながら俺に話しかける。


「自分は…運転手になって長い年月が経つんですけども、それなりの体験はしてきましたよ。聞きますか?」


運転手からのそういう話を聞く機会はほぼないだろうし、せっかくだから聞くことにした。


「そうですか、分かりました。あれはそうですねぇ…とある雨の日のことですね…」


________


雨が地面に強く当たる日に傘を持っていなければ地獄だろう。


その中、タクシーを依頼した一人の女性がいた。


運転手はその女性のもとへ車を走らせ到着、女性はこの雨の中、何も気にせず外で待っていた。


「お疲れ様です、今日はどちらへ行きますか?」


「…とある墓地までいいですか?」


「…全然、かまわないですよ」


運転手は女性の行きたい墓地に言われたとおりに誘導した。


女性とは何も話さず、ただただ沈黙の時間が過ぎ去っていくだけだった。


目的の場所に到着したのだろう、薄暗い墓地が見えてきた。


「…お客さん、もう到着しましたよ」


そう言いながら後ろを振り返ると、そこには誰もいなかった。


先ほどまで女性が座っていた座席は、触ると水でぬれていた。


墓地の方に目をやると、その女性は、タクシーのことを気にせず奥へと進んでいった。


________


「…という話です」


その男性が話を終えた後、運転手が目的の場所に到着したのだが、その男性は眠ってしまっていた。


目的地には、話に出ていた墓地だった。


運転手は後部座席に移動し、こうつぶやいた。


「…お迎えの時間ですよ?」


運転手とタクシーは、その男性と共にいなくなっていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ