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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

三角バース物語 男性を妊娠させることのできる新しい性別Zのお話

作者: 卯月らいな



20xx年、ひとりの赤ん坊が生まれた。赤ん坊は男でも女でも両性具有でもなかった。赤ん坊は男のものでも女のものでもない第三の生殖器官を有していた。


赤ん坊はレイと名付けられ、その性別はZと名付けられた。医師団は零をなかばモルモットとして観察をした。


零は男ほどは筋肉質ではなく、女ほどはふくよかではない体型で育ち始めた。生殖器は、男のようにでっぱったり、女のように引っ込めたり、出し入れ自在の形状をしていた。もっぱら共用トイレで用を足した。


驚くべきはその運動神経である。50m走においては、男子の成績を上回り、球技においても大活躍。一躍、女子生徒にモテるようになった。


医師団は思春期になり二次性徴にどのような姿になるのか観察した。そのルックスは男のようでもあり、女のようでもあり、運動神経はますます強靭になり、陸上競技においては学生日本新記録を樹立した。


人気者の零は、彼女を作っては別れを繰り返し、やがて、大学を卒業し、不動産会社の営業マンになった。


そんなある日のことである。零につわりが来たのは。放射線検査を実施したところ、零は妊娠していた。男と関係を持ったのかと聞いたが零は否定した。


医師団は彼の行動履歴を記録していたが、確かに男性と関係を持った形跡はなかった。


医師団は調査を進めた。誰が零を孕ませたのか。聖母マリアではあるまいし。あるいはコウノトリが運んできたとでもいうのか。


染色体検査を進めた結果、腹の中の赤子はX Zであることが判明した。女が孕ませたというのか。いや、男の精子にもX染色体はあるはずだからその結論は早急だ。


だが、この調査結果が糸口となった。女性とZが性交渉をすればZは妊娠するのではないかという仮説が立ったのである。


実際に、零は女性と性交渉を持っていた。そして、女性の体液を調査した結果、Zを妊娠させる能力を有していることが判明した。


Zは女性から、子種を譲り受けることができる性別であることが判明した。新しい性別の謎は解明されたかのように見えた。


だが、これでは終わらなかった。


男性が妊娠したという驚くべき報告書があがってきたからである。調査を進めた結果、男性は零と性交渉をもったことが判明した。


零の体液を調べた結果、男性を妊娠させる能力を有していることが判明した。


世の男性たちは自分たちが妊娠する性であるという現実を突きつけられ、恐怖におののいた。しかも、肉体的に自分たちより強靭なZがお相手である。世の常識が覆ったのは言うまでもない。


そして、零が生まれてから30年後、性別がZの赤ん坊が世界各国で一斉に生まれだした。男女Zの比率は約33%ずつといった有様である。


零が生まれたころは特例措置という法令上の扱いだったZだが、急激に人口が増えた関係上、世界各国の民法が改正されたのは言うまでもない。悪法と呼ばれつつも長年放置されてきた古い法令も含めて大幅な見直しが国会で議論された。


そして、さらに時が過ぎ、Zが生殖能力を持った年齢になり、恋愛の形は多様化した。


まず、男女Zの三人による三角婚が登場。3人それぞれが妊娠するという新しい愛のカタチも生まれた。かつては3Pと呼ばれるプレイはアブノーマルとされてきたが、一般的なものに変化した。


三権分立、恋の三角関係、ロールプレイングゲームによる火水草の三属性、グーチョキパー、3という数字には古来より、ゲームを単純化し、かつ、パワーバランスを均衡化する不思議な魔力を持った数字であった。


男、女、Zによる三者が牽制し合う新たな時代のラブゲームがはじまったのだ。

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