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捻くれ者の恋  作者: 宙色紅葉(そらいろもみじ) 週1投稿


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和気あいあい

現在、毎日投稿企画を実施中です。

本作品は午後6時ごろを目安に毎日更新されます。

遅れることもありますが、原則翌日の午前6時までには更新されておりますので、見捨てずに見守っていただけると嬉しいです!

よろしければ、明日以降も読みに来てください!

 上等なワインの入った紙袋を抱えるスイが、ドクンドクンと拍動を大きくして呼び鈴を鳴らす。


 出迎えてくれたのはケイだった。


「いらっしゃい、スイ兄さん。みんな、もう来てるよ」


 嬉しそうに笑うケイがスイを家の中に招く。


「そうか、早いな」


 腕時計の盤面を確認して呟いた。


 現在の時刻は十一時半。


 厳密に集合時間を定めていたわけではなかったのだが、昼頃を目安に集まってくれとは言われていたので、スイは比較的、早い時間に到着したつもりだった。


 それが、既に自分以外の人間が到着していると知らされたから意外に思ったらしい。


「アメリアさんがね、食事会の準備を手伝うって早く来てくれたんだ。そしたらカイ兄さんもつられて一緒にきたから、結果的にスイ兄さん以外が早くに集まることになったんだよ。アメリアさんとセレーネさん、相性が良いのかな? すぐに打ち解けて仲良くお喋りしてるよ」


 ガチガチに緊張し、珍しく朝食すらも喉を通らなかったセレーネだが、同年代で同じ性別、ケイの肉親ではないアメリアに会うことで仲間を見つけたような気分になり、安心することができたらしい。


 ケイ宅に訪れたアメリアがセレーネたちに、


「急にお邪魔してしまい、申し訳ありません。こちらは後から皆さんと一緒にいただこうと思っていたケーキです。冷蔵庫に保管していただけると幸いです。それと、何か私にもお手伝いできることがあったらと思うのですが、いかがでしょうか?」


 と、非常に丁寧で律儀な態度を見せると、委縮しつつも彼女をありがたがったセレーネが、


「いえいえ! そんなに気を使っていただかなくても大丈夫ですよ! むしろ、アメリアさんがいらっしゃってくれて嬉しいですし。お土産もお手伝いの話もありがとうございます!」


 と、震え声で感謝を述べていた。


 堅物ともとれるほど礼儀正しくて少しお姉さん気質なアメリアと、実際に長女であり、しっかり者だが呑気な雰囲気のセレーネ。


 セレーネは態度も所作も美しいアメリアに憧れたし、アメリアも素直で明るいセレーネの性格を気に入ったようだ。


 食事会の準備を進めながら雑談をする二人は意外にもアッサリと仲良くなって、ちょっとした世間話や美味しいケーキの話、ファッションの話なんかで盛り上がっていた。


 特に幼少期には軽犯罪もいとわないホームレススレスレの生活を、少し前までは油断すれば食うに困るような貧困生活を送っていたセレーネには友人が少なく、アメリアとお喋りできるのが楽しくて仕方がないらしい。


 また、アメリアが場に存在することでカイとも自然に会話することができていた。


 すっかり食事会の準備が整ったリビングでは複数人の楽しい笑い声が響いている。


 数刻前まで青ざめていたセレーネを知っているケイとしては、せっかくリラックスし始めた彼女を再び緊張させるのが忍びなかったらしい。


 ケイは呼び鈴が鳴って、

「あ! 私、行ってきますね!」

 と、上ずった声を出しながら玄関へ向かうセレーネを落ち着かせ、代わりに自分がスイを迎えに行っていた。


「楽しそうだな」


 談笑の声が耳に届き、廊下を歩いていたスイがボソッと声を出す。


「いい事だよね。そうだ、スイ兄さん、カイ兄さんすごいんだよ。アメリアさんの前ではメチャクチャ猫なで声なの! ね、カイ兄さん」


 リビングに入ったケイが明るい声色で唐突にカイに話を振る。


 すると、カイが、

「ん? 何の話だ? ケイ」

 と、顔をしかめた。


「普段は雑な言葉遣いをしている兄さんが、アメリアさんの前では可愛い猫なで声を出してるって話だよ」


 ニマニマと口角を上げるケイは悪戯っぽく悪い表情をしている。


「はぁ!? 俺はそんなことしてねーぞ! 女の子に気を使って優しい言葉遣いにしているだけだろうが。ケイこそ、どうせセレーネちゃんにはデレッデレに甘えてあざとい声とか出してるんだろ。目に浮かぶぞ。昔っから甘えん坊だもんな、ケイは!」


「そうだよ、俺はセレーネさんに甘えてるよ。それはもう、兄さんが見たら気色悪! って悪態つきたくなるくらいには甘えてるよ! セレーネさん、俺のこと愛してくれてるし、受け入れてくれるから恥ずかしくないもんね! かわいいかわいいって言ってくれるから、臆さずに甘えた方がお互いにお得だし、大体、変に格好つける人が一番ダサいって、俺、知ってるからね!」


「コイツ、開き直りやがった!? っつーか、誰が中途半端な格好つけだ!」


 喧嘩し始める二人を見て、アメリアとセレーネがクスクス笑いを浮かべる。


「カイ君、兄弟で喋ってるとあんな感じなんだ」


「ケイさんも口調は変わらないですが、カイさんと話すと気の強い子供みたいになるんです。面白いものですね」


「ね」


 それぞれ恋人の新鮮な姿を見ることができて、ご満悦なようだ。


「みんな、本当に仲が良いな」


 ボソッと呟くスイの口角は少しだけ上がっていた。

いいねや評価、感想等いただけると大変励みになります!

また、マシュマロにて感想や質問も募集しております。

よろしければ宙色にマシュマロを食べさせてやってください(以下、URL)


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