誕生会
ルークラフト公爵家で開催される盛大な誕生会に多くの貴族が参加する事になった。今までカーティス侯爵は息子がいなくなり一切そういったパーティーはしてこなかったので貴族達は興味と、これを機に帝国最大の公爵家との繋がりを作りたいという思惑があった。
そんな中でもリネットは普段通り仕事をしていた。カーティス公爵は近づく誕生日にリネットの為にドレスを作ると言ってくれたがリネットは必要ないと断り、カミルがリネットの為に大きなケーキを注文すると言ったらそんなに食べられないからいらないと言われた。二人は誕生会に参加しないリネットを気にしていたが本人は「仕事がなかったらのんびりと過ごすから気にしないで」と言っていた。
誕生会当日、カーティス公爵とカミルは正式な服装をしていた。二人とも白の出立でルークラフトの紋章が入ったマントを羽織り見るからに近寄りがたい素敵な祖父と孫だった。リネットは二人を見て喜んだ。カーティス公爵に「とても素敵です。立派な公爵様にお仕え出来て幸せです」といってハグをした。
カーティス公爵は「ワシがもっと若かったら間違いなくリネットに求婚しただろうなぁ。残念じゃが、こんな可愛い孫がいてくれて嬉しいぞ。。リネット、誕生日おめでとうこれを」そう言ってカーティス公爵はリネットに指輪をくれた。
その指輪はルークラフト公爵の紋章が入っている指輪で、公爵家の人間しか持つことが許されない。「カーティス様、これは私は、、頂けません。。」リネットは言った。「リネット、ワシは本当にリネットがいてくれて……生きる希望が出来た。もうお前は私の家族なんだよ。誰が何を言ってもワシはそう思っている。」カーティス公爵が言った。
「リネット、俺もお祖父様と同じ気持ちだよ。リネットがいてくれたから寂しくなかったし、お祖父様とも仲良くなれたんだ。リネットは遠慮してつけないとおもったから、、これは俺からのプレゼントだ」そう言ってカミルは美しいネックレスに公爵家の指輪を通してリネットにつけてくれた。間近で見るカミルは神がかり的なかっこよさでリネットは顔が赤くなった。
カミルの指がリネットの首に触れた時心臓が爆発しそうなほどときめいた。カーティス公爵はそんな様子をニコニコして見ていた。「ほら出来たよ」カミルが言った。「カーティス公爵さま、カミル、、、ありがとう、、」リネットは泣きそうになったが、ぐっと堪えてカミルにもハグをした。
カミルもリネットをハグして「リネット、おめでとう」と言った。リネットも「カミル、おめでとう」と言って二人は顔を見合わせて微笑んだ。
「カーティス公爵様、カミル様、お時間です。」執事のアーサーが呼びにきた。二人は「リネット、言ってくる」と言って出て行った。
リネットは部屋の窓から馬車に乗ってくる貴族達を見ていた。カーティス公爵とカミルは貴族達を笑顔で出迎えていた。一際華やかなドレスを着たベティがみえた。ベティは二人に優雅に挨拶をし、カミルは笑顔でベティの手を取りキスをした。
そんな姿を初めて見たリネットは急にカミルが遠くに感じた。でもこれが現実、、。自分が選んだ道。
きっとこれからもカミルを好きでい続ける限り見なければならない現実。カミルと同じ場所で同じ時間を過ごせる事に感謝しなきゃ。。リネットはカーテンを閉めてベットに腰をかけ読みかけの本を読む事にした。