消えたリネット
カーティス公爵と話が終わり会場に戻るとベティが走って来た。
「ベティ走ってはダメよ」リネットは言うと、
「リネット!カミルが急用ができたから帝国に帰るって言って帰っちゃったの!クラウディア様唖然としてたわ!」
「カミルが?、。」カミルはもうリネットの顔も見たくないんだと思った。
「カミルもすごく忙しいって言ってたしね。もう宴も終わるしいいんじゃない?」リネットは言った。
「リネット、何かあった?」ベティは心配そうに聞いてきた。
「何もないよ。ありがとうベティ」
「リネット、私はあなたの友達で今は家族、世界中がリネットの敵になっても私はずっとあなたの味方よ」ベティが初めてそんな事を言った。
「ベティ、、ありがとう、、、ずっとずっとずっとベティの幸せ祈ってる」リネットは泣きながら言った。
「リネット?まさか何処か行こうと思っていないよね、リネットはここで私たちと幸せに暮らすの。」
「ベティ当たり前じゃない。私の家はここなのよ。大切なアンディとベティがいるこの国が私の家」
「リネット、約束、私たち幸せになろう」ベティはリネットを抱きしめて言った。
「リネット!」アレンとエルマも来た。
「アレン、エルマ、まだここにいてくれるよね?」リネットは聞いた。
「ああ、ノールズ王国って住みやすくって気に入った。エルマと結婚したらここに別荘作って半年はここに滞在させてくれ!」アーサーが言った。
「その前に早く結婚しなさい」ベティが言った。
「だってベティ、順番変えちゃったじゃない。」エルマが言った。
「そうよ、この子がもう我慢できないって来ちゃったからね!」そう言ってお腹をさすった。
「もーーー、本当楽しみ!!」エルマもベティのお腹を触って言った。
「エルマ、俺たちも順番変えるか!」アレンが笑いながら言った。
「もーーほんとそれはベティだけで十分よ、本当に準備大変だったから」リネットは笑いながら言った。
「でも最高に幸せもらったわ」そう付け加えてベティを抱きしめた。
「今日は楽しんでいただけましたでしょうか?」リネットは帝国の皇帝と皇后に挨拶をした。
「ああ、リネット姫、素晴らしい宴だった。ノールズ王国の素晴らしさもわかったしな、今度はゆっくり滞在したいぞ」
「陛下、そのようなお言葉を頂けるとは、、正直ホッとしております。この度は急な招待に関わらず心より御礼を申し上げます」リネットは気持ちを込めてドレスを持ち上げ挨拶をした。
アンディは宴の間は皇帝達と過ごしていたので挨拶は済んでいたが、改めてリネットと共に挨拶をした。
「またこのノールズにお越しの際は国を挙げて歓迎申し上げます。本当にありがとうございました」
「アンディ国王、夫婦でいい国を作るんだよ。」皇帝はアンディと握手をして去って行った。
全ての行事が終わり、城の中は静かになった。
リネットは城の中を一人で歩いて思い出に浸っていた。苦しみ、憎しみ、恐怖、そんな思い出しかなかったこの城、、。
初めて喜びの思い出が出来た。ありがとう。。
翌朝リネットの姿は消えていた。一通の手紙がベットに残されていた。
「私は私の人生を歩きたい。私の我儘をお許し下さい。ずっとみんなの幸せを祈っています。さよなら」




