中途半端な優しさに
「クシュン、、、少し寒くなったね」リネットは言った。
「リネット、。」隣に座っていたカミルが突然後ろからリネットを抱きしめた。
リネットは驚いて、身体が熱くなった。
「カミル、、暖かい」リネットは背後から抱きしめられて、カミルの顔が自分の肩の上にあって、緊張した。
「カミルはこんなこと沢山の人にしてきたから平気かもしれないけど、、私は初めてだから、、緊張する」リネットは素直に言った。
「リネット、俺だって緊張してるよ」カミルは言った。、、
緊張してる?一瞬どんな意味があるの?。と思ったがきっと意味はない。
さっきクラウディアに言ったこと、今カミルの婚約者であるクラウディアはカミルが選んだ、その言葉が心に突き刺さっている。。
「あははは、カミル面白い冗談ね。私一応カミルの恋愛近くで見てきたからね。女性達とのキスも」リネットは言った。
「リネット、この状況でそれ言う?」カミルはガッカリした声で言った。
「だってカミル、カミルは私を大切にしてくれるけどそれは家族だから。カミルはクラウディア様と結婚する人よ。それくらいちゃんとわかっているのよ」
「リネット、好きな人がいるのか?」
「あはははカミル、初めて私にそんな事を聞いたね。。。」
カミル、酷いよ、、どうしてそんな事を今更、、聞くの?、、
「俺よりいい男なら許す」
「カミルよりいい男なんていないじゃない。私はずっと一人決定ね!!」リネットは笑った。
そんな事カミルに恋してから決定してた。
「リネット、、本当にそう思うのか?」
「なにそれ、もうなんでもいいじゃない」
もうこんな話、、したくないよ。。
「よくない、俺はリネットが心配で」
リネットはカミルから心配と言われて傷ついた。
心配?何を心配するの?あなたクラウディアと結婚するじゃない、、。
「心配なんていらない。私はカミルにそう思って欲しくないのに、、なんでそう言う事をいうの?中途半端な優しさなんていらない、ずっとそばにいて寂しい思いさせないなら心配して、だけどカミルは違うのにそんな事を言わないで。私は自分だけを心配してくれる人がいいの。。もう私を気にしないで。。。カミル、ありがとう、暖かかったよ。もうこんなところ居てはダメ、」
そう言ってリネットは立ち上がり会場に戻ろうとした。
「リネット!」カミルはリネットを強く抱きしめた。
カミル、、。
どうしてこんな中途半端な優しさをくれるの?
本当はクラウディアと結婚しないでと叫びたくなる、それをずっとずっと、。ずっと堪えているのに。。
「カミル!やめて、カミルはクラウディア様の夫になる人、いくら家族だからって言ってもあなたの一番は私じゃないの。。。優しいカミルに甘えすぎた。もう妹は卒業します。。カミル幸せになって」
リネットはカミルをふりほどき走って会場に戻った。
「リネット、どうしたんじゃ?そんな顔をして、、」
カーティス公爵がリネットに声をかけた。
「カーティス様,,」リネットはなんとか微笑んで誤魔化した。
「リネット、ちょっとおいで」カーティス公爵はリネットの手をそっと取り上げて場所を移動した。
「リネット、話がしたいが、、」
「あ、カーティス様、こちらのお部屋に、、」リネットは自分の執務室に案内した。
「どうぞ」リネットはカーティス公爵にソファを勧め自分も向いに腰をかけた。
「リネット、悲しいのか?」カーティス公爵が聞いた。
「……はい」リネットは言った。
「
カミルと何かあったのか?」カーティス公爵が心配そうな顔をしてリネットに聞いた。
「カーティス様、私は幼い頃からずっとカミルが好きで、今もその気持ちは変わっていません。。だけど、クラウディア様と結婚するカミルを、、幸せそうな二人を、、見たくない。。本当に辛くて、どうしてここまでその気持ち持ってきてしまったのだろうと、、」
「なんとか誤魔化してここまで来ましたが、今日、、カミルに言いました。もう私の事を心配しなくていい、妹は卒業するって。。そうじゃないとクラウディア様は心からの幸せを手に入れられないし、、カミルも安心できない。。。。」
「これで良いと思うのに、、辛い、、、本当に苦しくて、、、カーティス様、、ご迷惑をおかけいたします。。。」
リネットは泣いていた。涙が溢れてポタポタと頬を伝わりドレスに落ちて行った。
「リネット、、わしはな、リネットに幸せになって欲しいとずっと思っておる。リネットが泣く姿を見たくない。リネットが幸せになるのならルークラフト公爵家なんて無くなってもいいとさえ思っている。昔はな、そう思えなくてわしは一番大切なものを失ったのだ。だけどカミルを見つけて、リネットに出会ってわしが間違っていたと分かったんじゃよ。。」
カーティス公爵は静かにリネットに言った。「リネット、自分の思うように生きなさい。もう自分の人生を歩んでいいんじゃよ。人生は一瞬で終わる夢のようなもの、持って行けるのは心だけじゃ」
「……カーティス様、、ありがとうございます。。私、私は自分の人生を歩こうと思います。。あ、、カーティス様,随分長い間お借りしていた指輪、、お返しします。この指輪の主人はクラウディア様ですから。。」
リネットはネックレスを外しルークラフト公爵家の指輪をカーティス公爵に差し出した。
「リネット、この指輪はお前の物だ。誰がなんと言おうとこれはリネットの物だ。どうかこのままもっていてくれ、わしの唯一のお願いじゃ。。」
「……カーティス様、、、、」リネットは指輪をカミルがくれたネックレスに戻し首に付けた。
「カーティス様、、死ぬまで大切にします。。こんな私を大切にしてくださって、、ありがとうございます。」