ただの嫉妬
各国から賓客が訪れノールズ王国は祝福に包まれた。
帝国からは皇帝、皇后、カーティス公爵、カミルとクラウディアも参加した。
アーサーとエルマは二週間前からノールズ王国に来ていた。
リネットはホスト役として国の貴族の協力を得て完璧な接待をしていた。
その日はアンディとベティが主役なのでリネットは裏方にわまりサポートしていた。
ようやく落ち着き、改めて皇帝皇后に挨拶に向かった。
「この度は遠路はるばるありがとうございました」
「おお、リネット姫、この帝国まで続く道は素晴らしいな。本当にリネット姫は恐ろしい姫だ」皇帝は笑いながら言った。
「皇帝陛下、それは褒め言葉?でしょうか?ウフフ、ありがとうございます。」リネットはにこやかに答えた。
「リネット、お前の国は素晴らしいな、、国民も生き生きして、国王とリネットを尊敬している事がわかるぞ」
カーティス公爵が言った。
「カーティス様にまさかこの国を見ていただけるとは思っていなかったので、、感無量、、です。」
リネットは涙を滲ませながら言った。
リネットは下を向いてハンカチで涙を拭いて顔を上げた時カミルと目があった。
そしてカミルの腕に腕を絡ませているクラウディアを見た。
久しぶりに心臓が冷たくなる様な感覚になったが、笑顔を絶やさず二人に微笑み会釈をした。
「リネット様、よろしいでしょうか?」見慣れない貴族に呼ばれた。
「あ、えっと、、?」「私は隣国のノーラン王国のアシュビー公爵家のフィルと申します」フィルは笑顔でリネットに挨拶をした。
「初めまして、、フィル様,。リネットと申します」リネットは突然声をかけられて驚いたがフィルはまるで女の子の様な可愛らしい顔をした男性で、その笑顔も好感をもった。
「リネット様、常々リネット様の噂を聞いておりましたが、今日初めてリネット様を拝見し、、、あ、あなたを、、好きになってしまいました!!」
フィルは興奮したのか大きな声でリネットに告白をした。
リネットは突然の事に驚いて後退りをした。
「リネット、どうした?」後退りしたその場所にカミルがいた。
カミルはリネットを自分の後ろに引っ張った。
「カミル、、」
リネットはカミルの背後からカミルを見つめた。
カミルはリネットに微笑み「リネットにどうして欲しい?」とフィルに聞いた。
「カミル様、私はリネット様に、、リネット様が好きです。カミル様はリネット様の家族だと聞きました。私にリネット様とお話しする時間をいただけませんか?」フィルはカミルに言った。
「俺は、今までリネットに言い寄る令息達を追い返してきたんだ。なぜかわかるか?」
「あ、え、リネット様を幸せにできる器がない、、とかですか??」
フィルはカミルの迫力に押されながら言った。
「違う、ただの嫉妬だよ」
そう言ってカミルはリネットの方を振り返りまんべんの笑みを浮かべ
「リネット行くぞ」とリネットの手を引っ張って会場から出てしまった。
リネットはさっきのカミルの言葉にときめいた。
冗談で言った事はわかるが、嘘でもこの言葉を思い出して数年は幸せに過ごせそう。。




