再会
会場に入ると今までざわついてい賓客達は静かになり妙な緊張感が漂った。
リネットはこの雰囲気にのまれないように強い気持ちで真っ直ぐに前を向き少し目線は下にして王である兄にエスコートされ皇帝の前に進んでいった。
リネットは髪を結い上げているが後毛が柔らかくチョーカーの長いリボンと一緒に揺れその幻想的な美しさと黒い髪、黒く美しい輝きを放つ瞳は見るもの全ての人が引き込まれリネットの不思議なオーラに包まれていった。
リネットは時々兄のアンディを見て微笑み、指で兄の緊張をほぐすようにトントンと合図をして何度も微笑んでいた。
その姿は魅力的で非現実的でこの兄妹の美しさ、仲の良さに見ている人々は心が暖かくなるのを感じた。
リネットは皇帝の側に立つカミルを見た。
カミルは髪が腰まで伸びていた。
その美しい瞳はリネットを見つめていた。
リネットもカミルから目を逸らせなかった。
想いが溢れそうでなんとか視線を外しぐっと唇を噛み一瞬目を瞑り思いを止めた。
カミル、会いたかった、いまでも大好きです。
私の想いは何一つ変わっていない。。
カミルの隣にクラウディアがいる。
これが現実。
「ノールズ王国のアンディ王、リネット姫よく来た。歓迎する」
皇帝は笑顔で声をかけてきた。
「この度はご招待くださりありがとうございました。」
アンディは言った。
「色々とあったがな、」
皇帝が言った。
「その節はご迷惑……」
アンディが謝ろうとした瞬間リネットが言った。
「この度はノールズ王国を認めて下さり嬉しく思います。新しい国ですから帝国の素晴らしさには何一つ叶いませぬが、私どもの国民のために身を粉にして覚悟を持って治めてゆきたいと思っております。若輩者ですがどうぞよろしくおねがい申し上げます」
リネットは堂々言った。過去のことは謝らない。新しい国と認めてくれと。
「リネット姫、久しぶりだな、あの頃も素晴らしい姫だと思ったが今はもう唯一無二の存在だな。カーティス公爵が育てただけある」
「……はい、カーティス公爵様は、、」
そう言いかけてリネットの瞳から涙が流れた。
「あ、、申し訳ありません。カーティス公爵様には、、、感謝、、しております。。私の良き理解者で、。恩人で、、敵対したくありません。。その為に私、、我々が出来ることは、、他国の皆様やこの帝国の皆さまに信頼していただく事以外ありません。。どうか、、この願い叶えてくださいますよう皆様にお願い申し上げます」
リネットは泣くつもりはなかったが涙が止められなかった。
この三年の想いが溢れてしまった。
リネットの涙を見た貴族達はリネットの苦しみに触れ、このかわいそうな姫を救ってあげたい、、そんな気持ちになるほどリネットの涙は貴族達の心を動かした。
カミルはリネットの涙を見てすぐにそばに行こうとしたが、クラウディアがカミルを掴んだ。
カミルは目を瞑り自分の気持ちを押し殺した。
カミルははっきりとわかった。自分が何を求めているのか。
アンディはリネットを抱きしめた。
リネットはアンディの胸の中で静かに身体を震わせ泣いていた。
「リネット、、」
カーティス公爵がリネットの前に現れた。
リネットはカーティス公爵を見て泣き崩れた。
カーティス公爵はアンディからリネットを受け取り抱きしめて言った。
「皆さん、このリネット姫はな、わしの可愛い孫娘なんじゃ、あまりいじめないでくれ。あの悲惨な状況からここまでやってきた。この子は自慢の孫娘なんだ」
そう言ってリネット頭を撫でた。
「ハハハ、お義理兄様にそう言われたら何も言えませんな。ノールズ王国は友好国だな」
皇帝はそう言ってアンディと握手をした。