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無欲な私の本気の恋  作者: ねここ
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プレゼント


 リネットは着実に国民の気持ちを掴み、国を立て直している。


 その手腕は見事で幼い頃から知っているアレン、エルマ、ベティも驚きを隠せなかった。


 みんなの影に隠れていたリネットが孤立無援状態でも立ち上がり国をまとめようとしている。


 その姿を新聞で見た時はエルマもベティも泣き出した。


 

 リネットが一人で全てを背負って一人で戦う姿はカミルの心にも突き刺さった。



 今すぐ駆けつけてリネットを安心させてあげたい、


 大丈夫だよと言ってあげたい。

それが出来ない自分をカミルは呪った。





 リネットは見事にノールズ王国を立て直した。


「カーティス様、お届け物が届いております」


 アルバート執事はその届け物が誰から送られてきたのかわかっていた。



 カーティス公爵はそれを手に取った瞬間


「リネット!」

 と言って麦とシルクのハンカチを握りしめてた。



「あの子が、あの子がわしの誕生日に。。」


 

 カーティス公爵は言葉が出なかった。


「お祖父様、お話しが、、」

 

 突然カミルが現れカーティス公爵が手に持っている麦とハンカチを見た。



「まさか、、リネット?!」


 

 と言ってカーティス公爵を見た。


 「カミル、、、あの子が、、あの子が送ってくれたじゃ。。リネットが、、、」



 カミルは胸が熱くなった。今すぐに、今すぐに会いに行きたい。




 リネットに会いたい。どんな手を使ってでもリネットに会いに行こうと決めた。


 


 ノールズ王国が復活し、アルコール中毒の治療を終えたアンディをリネットは再び国王として立てた。


 反発もあったが、リネットはアンディを全面的に支援し、信頼できる人間になるように心を注いだ。



 その結果殺伐とした環境で育った二人の間に兄妹の絆ができ、お互いを信頼できるまでになった。


 妹は兄を支えて、兄は妹を尊敬しノールズ王国は穏やかな国に変わった。



 そんなノールズ王国に帝国から国交についての会議に参加するよう要請があった。

 アンディは躊躇したがリネットは参加することを勧め、二人は共に帝国に招待された。



 実はこの国交復活にはルークラフト公爵家の圧力があった。



 反対する国も多かったがカミルは絶対に譲らなかった。


 もちろんカーティス公爵もおなじだ。その圧力は強く結局そのままノールズ王国の兄妹を招待する流れになった。


 

 リネットはカミルに三年ぶりに会える事が嬉しくもあり、悲しくもあった。



 あの頃の自分達の関係はもうずっとずっと昔のような気がした。

 純粋に話ができる関係ではなく,立場ももう昔とは違う。何もかも変わってしまった。



 カミルにはクラウディアがいる。きっと二人の姿を見ることになる。


 カミルは今も昔と何も変わらずリネットにとって大好きな人で憧れて、大切で、そして遠い人。


 もう二度とあの優しさに触れることはできない。


 でも会えるだけ幸せだ。沢山話したいこと,伝えたいことあるけれどそれも今は夢のまた夢、顔を見れるだけ、同じ空間にいられるだけで十分。


 リネットはそう思った。



 帝国に招待されたのでドレスを自国のシルクで作った。


 至ってシンプルなドレスにした。そのシンプルさがシルクの質の良さを際立たせる。


 華やかさはないが上品さと知性と女性らしさを強調するために深い紺色にした。


 ノースリーブでロングのグローブ、宝石は一切つけず首にはシルクの細いリボンにパールをつけたチョーカーにした。


 全て自国産だ。


 他国の令嬢や姫は華やかな装いで宝石も豪華だと思う。だからこそこの究極なシンプルさが際立つ。

 それによりシルクを輸入したいと言う貴族が現れると確信している。


 アンディはやはり全身白でマントを紺色にシルバーの紋章にした。

 


 リネット達は帝国に入った。


 久しぶりの帝国は変わらず賑やかで華やかな雰囲気だった。


 アンディは少し不安になっていたがリネットはアンディの手を握り大丈夫!と言って微笑んだ。


 帝国の城に到着した。すでに他国の国王や貴族は会場にいる。


 ある意味でノールズ王国は晒し者のような状況だ。


 でもそれでもこうして呼ばれる、呼んでくれることに感謝しようとアンディに言った。

 

「怖いな」


 アンディはリネットに言った。


 「お兄様大丈夫、私たちは一人じゃない。二人で乗り越えよう。決して怯まないで、ノールズ王国は胸を張って堂々とできる最高の国、その代表の私たちにはプライドがある。誰にも折れない信念がある。」


 リネットはそう言ってアンディの背中を叩いて


「お兄様、しっかり!」

 

 と言って笑った。


「ありがとうリネット、最高の妹だな」


 

 アンディも笑った。ドアが開き二人は会場に入った。

 

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