リネットに会いたい
「お祖父様!リネットが、、、リネットが、、、ノールズの女王になってしまいました。。。」
カミルは苦痛な面持ちで言った。
「ああ、その選択しかできなかったんだ。あの子はそういう子だ。。」
カーティス公爵は静かに言った。
「俺は、、俺は、、リネットが敵国の女王だとしても、、リネットを殺すことは絶対に出来ません。。絶対に、、無理です。。。なぜ、、どうして、、」
カミルは動揺している。
「カミル、我々に出来る事は見守る事だけだ。リネットがどんな選択をし、ノールズ王国をどうして行くのか、」
「お祖父様、俺はずっと、あれ以来リネットに会っていません、リネットが今どんな思いをしているのか考えるだけで苦しくて、、なぜ俺はここにいるのだと、どうしてリネットの苦しみを何も知らず学園にいたのか、、後悔すらしています。クラウディアと居ても心の中は満たされず、もう身動きができないほど自分の立場が恨めしく思えてしまいます。どうか一ヶ月だけ、いや、二週間でもいい、俺に自由を下さい。。お祖父様、おねがいします」
「カミルよ、どうしたいのだ?」
「リネットに会いに行きます。会って話をして、そして連れ戻したい」
「カミル、それは許さない。」
「なぜです?お祖父様、お祖父様だってリネットに会いたいでしょう?!なぜダメだと言うのです?」
「カミル、前にも言った。お前の立場はもうそんなことは不可能だ。そしてリネットはそれを望むと思うのか?」
「リネットが望まない、、そうだとしても、、」
「カミル、クラウディアはどうするんだ?お前の婚約者だぞ?一国の姫だぞ?リネットは敵国の女王だ。世間が許すと思うのか?もうリネットは我々の手が届かない場所に行ってしまったのだ。諦めて見守るしかない。カミル、それがお前が選んだ道なんだ。」
カーティス公爵は項垂れるカミルの肩を叩き「気持ちはわかる」と言って部屋を出て行った。
それからカミルはノールズ王国の情報を集めその動向を注視していた。
クラウディアはあの時学園であった内気なカミルの妹のような女の子がまさかあのアンディの妹で今のノールズ王国の女王になったと信じられなかった。
リネットの姿がずっと見えなかったことは気になっていた。
カミルがあんなに大切にしていた女の子は後にも先にもリネットしかいない。
クラウディアも大切にされているが全く別次元に感じている。
カミルが元気がないとずっと思っていた理由がやっとわかった。
あの頼りなさそうな不安そうなリネットが女王になるとは、クラウディアもノールズ王国に注視するようになった。