敵国の女王
リネットはカミル達がセントジェームス学園で学んでいる時、カーティス公爵から万が一のためにノールズ王国の地理、政治、弱点など全てを学んでいた。
その他帝王学や外交に至るまでリネットは学び身につけていた。
カーティス公爵はどんなことがあってもリネットを守るためにできることは全て事前に学ばせていた。
リネットはカーティス公爵から学んだ全てを実践したのだ。
国が安定した年のカーティス公爵の誕生日にリネットは麦の穂にリボンを巻きノールズ王国の至宝と呼ばれる元々の特産品であるシルクのハンカチにルークラフト公爵家の刺繍を入れたハンカチを感謝を込め匿名で送った。
「リネット様が王国に連れ戻されました」
カーティス公爵はリネットを監視している騎士からの報告を受け、目を瞑った。
「やはりこうなってしまったか。。」
今やノールズ王国は滅亡寸前まで追い詰められている。カミルとクラウディア、そしてアンディの件は知っていたがあれから全てのバランスが崩れてしまった。
いまやノールズ王国は敵国とみなされている。
その国の姫としてリネットは連れ戻されてしまった。
カーティス公爵はため息を吐いた。恐らくリネットは立ち上がる。
国民の悲惨な状況を見て脱げ出す娘ではない。命をかけて立て直すだろう。
たとえ我々と戦争になってもリネットはノールズ王国の人間として死を選ぶ。
そんな娘なのだ。
カーティス公爵はリネットに帝王学の教育をしてきた。
それが生かされる日がないよう願っていたがその願いは神に届かなかった。
カミルはリネットが居なくなってからあまり感情を表さなくなったように感じる。
クラウディアが来て一緒にいる時はそれなりに幸せそうに見えるが本心はわからない。
カミルはリネットの事をどう思っているのか、、。
そのリネットがノールズ王国に戻ったとカミルはすぐに知ることになる。どうするのだろうか。
今帝国ではノールズをはじめ、友好国にならない国を敵国として認定し始めている。
ノールズ王国は今、完全に敵国になっている。
カミルはそれを受け入れられるのか、そしてその時が来たら戦えるのか。。
ルークラフト公爵家としてリネットを殺さなくてはならなくなったら自分達はそれが出来るのか?。。。。