婚約者クラウディア
一週間後クラウディアが公爵家に入った。
まだ正式にカミルと婚約をしていないクラウディアは邸宅の別邸で過ごす。
別邸といえども全てが一流のものを使われており一国の国王でもこんな贅を尽くした別邸は持っていないだろう。
それほどまでにルークラフト公爵家は豊かである。
「カミル、久しぶりです」
クラウディアはまるで太陽のカケラのような眩い微笑みでカミルに挨拶をした。
使用人達はその美しさに見惚れてしまっている。
「ああ、クラウディア、よく来たな」
カミルはクラウディアの手を取りキスをした。
カミルは笑顔だったがどこか翳を感じさせる雰囲気があった。
「カミル、嬉しく無いですか?」
クラウディアはいたずらっ子のような愛嬌のある笑顔でカミルに言った。
「クラウディア、嬉しいよ」
カミルはそう言ってクラウディアに微笑んだ。カミルはクラウディアを別邸に案内した。
クラウディアは付き人など二十名ほどの人間と共に別邸に入って行った。
「カミル、素晴らしいわ、こんなに素敵なところを用意してくださって、、カーティス公爵様に後ほどお礼を申し上げたいですわ」
クラウディアは目を輝かせながらいった。
「後で案内しよう。まずはゆっくり休んでくれ」
カミルはそう言って別邸を出た。クラウディア、、すまない、、。
カミルはリネットのことで頭が一杯だった。
あれから一週間経っても毎日、毎時間毎分、気がつくとリネットの事を考えていた。
はじめはどうして自分に何も言ってくれなかったのかと責める気持ちになっていた。
しかし今はリネットに会いたい、遠慮がちなあの笑顔を見てリネットが元気でいると安心したい。
それだけを考えている。
どうしてあの時リネットを一人で帰してしまったのかと祖父を責める気持ちにもなった。
だけどリネットの意思がそこにあるとするならばせめて元気だと知らせてほしいと思うことはいけないのか。。
リネットに会いたい。




