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無欲な私の本気の恋  作者: ねここ
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久しぶりの君



 学園に来て八ヶ月、秋の学園祭が始まった。


 その日はカーティス公爵がドミニク中立国に国賓として招待され学園祭に行くことになっている。


 リネットは長い髪を下ろし、目元はベール付きの帽子で隠し白と薄いピンクのドレスを着てカーティス公爵と一緒に学園祭に現れた。


 二人はカミルの家族ということで大注目を浴びていた。


 リネットはまさかこんなに人に注目されると思っていなくて少し不安になっていた。

 一応顔が隠れるようにしているがそのミステリアスな雰囲気が逆に注目を浴びてしまっている。



 カーティス公爵の後ろを歩いているリネットの不思議な魅力にみんな釘付けになっていた。


 


 カミルはカーティス公爵とリネットを迎えに外に出て驚いた。


 カーティス公爵の後ろを歩くリネットは長くなった黒髪が美しく輝き、目元はベールで見えないが口元は微笑みを浮かべ、真っ直ぐに前を向いて歩いている。



 その姿だけでこの人は美しい人だとわかるような雰囲気だった。


 

 カミルはカーティス公爵の所に行き挨拶を交わし、後ろに控えるリネットに近づいた。


「リネット元気?」


 

 カミルはリネットの目に前に立ち少し屈んでベールの中を覗くようにしてリネットを見た。



「カミル!元気、元気!」


 

 リネットは久しぶりにカミルに会えてドキドキしながら返事をした。



「アハハハ、リネットは変わらないからいいな」

 

 「カミル、、褒め言葉に聞こえないわ。。カミルは変わった。髪が伸びたし、、」


 かっこよさが増していると言いかけたがやめて、、



「大きくなった」



 

 リネットは言った。


「大きくなった、、て、、リネットそんなこと人に言われたの初めてだぞ!」

 

 カミルは大笑いした。


「さあ、リネット案内するよ」

 

 カミルはリネットの手を取りカーティス公爵と三人で学園内を歩き始めた。


 三人が歩き始めると周りにいた人々が一斉についてきた。


「カミルよ、すごい人気だな」

 

 カーティス公爵が周りの学生を眺めながら言った。


「お祖父様には敵いません。お祖父様の武勇伝は教授達から伺っています」

 

 カミルは答えた。


「カーティス様もここに?」


 リネットが聞いた。


「そうだよ。わしもここで学んだんだ」

 

 「まあ母校ですのね」


「お祖父様も首席入学首席で卒業された」


 

 「そんなすごい二人に挟まれて、、私は呑気なものですね!!アハハハ」リネットは笑い出した。


「リネットはそのままでいいんじゃよ」


 カーティス公爵はリネットに微笑んで言った。

 

 「そうだよ、リネットはそのままだから良いんだ!」


 カミルも言った。



「ありがとうございます!そのままでいいと言われると安心します。」

 

 リネットは二人に言われてホッとした。

 

 

「リネット、わしは教授に会いたいから少し席を外す。カミルと一緒にいなさい」


 カーティス公爵はそう言って大きな校舎に入って行ってしまった。


「お祖父様の後輩が今ここの教授をしているんだ。」

 

 カミルは言った。


「カミル、これからどこに行くの?」

 

 「そうだな、、リネットは何か希望はある?」


 カミルは聞いた。


「希望、、カミル、私こんなに注目されたことがなくて、、」

 

 リネットはカミルを見た。注目されても仕方がないほどカッコいい。


「ああ、リネットは昔から人混みが苦手だったな。よしわかった!おいで」

 

 カミルはリネットの手を引っ張って走り出した。


「カミル!!待って、靴が脱げそう!」

 

 カミルは振り返ってリネットを抱き上げて走り出した


 

「キャア!カミル!!」


 リネットは驚いてカミルにしがみついた。


「リネットしっかりつかまってて」

 

 カミルはリネットを抱き抱えて学園の裏にある小高い丘の上に来た。


「ここまでは流石に来ないよ」

 

 「本当?」


「ああ、だってここは私有地だから」

 

 「大丈夫?勝手に入っちゃって」


「ルークラフトの私有地だからな」

 

 「ええ!!そうなの、、ルークラフト公爵家はすごいのね、、、、」


「リネットこっち」

 

 カミルはリネットを降ろし手を握って丘の上に案内した。

 


「うわ!!すごい!ここは全てが一望出来るのね」


「そうだよ。だからお祖父様はここを手に入れたんだ」

 

 「単純な理由じゃなさそうね」


「そうだな。。」

 

 「ねえ、カミル、カミルはどうしてここに来たの?」



「一人になりたい時に来るんだ」

 

 「そんな時あるんだ、、、」


「リネット、俺も普通の人間だぞ、あるに決まってるよ!」


 

 「ウフフ、わかってる。邸宅でもお気に入りの場所で一人で何時間もいたよね。」


「知ってたの?」


 

 

 「もちろん、でも気持ちわかるよ。誰も自分の事知らない世界に行きたいって思う時あるよね。」



 

 「リネットもそう思う時あるんだ。。みんなに好かれて嬉しいけど、時々一人になりたいし、ホッとしたい。でも今日お祖父様とリネットを見たらホッとした。」



 リネットは嬉しかった。そんな風に思ってくれていたなんて。。


「うん。私たちも同じ気持ちだよ!」


 

 リネットはカミルに微笑んだ。二人はしばらく目の前に広がる風景を眺めていた。


 


「リネット、そろそろ行こうか」


 カミルはリネットの手を握って丘をおりていった。



「リネット!!」

 

 丘の下にアレンとエルマとベティが待っていた。



「みんな!!!」

 

 リネットは走ってみんなのところに行った。



「リネット!!」


 

 全員がリネットを抱きしめて再会を喜んでいる。



「リネット、ごめんね」

 

 ベティは半泣きでリネットを抱きしめた。


「ベティなんで謝るの?私たち友達じゃない!!」


 

 リネットが言うとベティも「大切な友達!!」と言ってリネットを抱きしめた。

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