カミルの人気
「じゃあお祖父様、リネット行ってくる」
カミルはセントジェームス学園に向かう馬車に乗り込み二人に手を振った。
セントジェームス学園は帝国から船で二日かかるドミニク中立国にある。
世界中から一流を目指して難関を突破した者が学ぶエリート学校だ。カミルはその学園の入試試験で首席だった。
カミルの噂はあっという間に広まり、主席のカミルを一目見ようと多くの学生が集まった。
カミルはアレン、エルマ、ベティと一緒に学園の講堂に入った。
「あれがカミル・ルークラフト」
学生たちは想像していたカミルと本物のカミルが全く違っていたことに驚いた。
この学園に首席で入学する人物だから真面目で冴えない人物を想像していたが、真逆で美しい銀色に輝く髪に青い瞳、端正な顔立ちに圧倒的なオーラと存在感があるカミルを見て恋に落ちる生徒が続出した。
その上帝国を支える公爵家次期当主という肩書きに男女問わず友達になりたいと人が殺到し、講堂は大混乱になった。
「おい、カミル、、すごいな」
アレンは言った。
「ああ、なんかすごいな」
カミルも言った。
「ちょっと私のカミルなんだから!!」
ベティはカミルの腕に抱きついた。
「なんなのあの子!!」
ベティはそんな声に動揺することなくカミルにくっついている。
「ベティってすごいわね、私だったら降参よ。。」
エルマは呆れながら言った。
「リネットは元気かな、、」
カミルが言った。
「なんだ?カミル突然」
アレンは驚きながら言った。
「いつも一緒にいたリネットがいないのに慣れて無くて」
カミルが言った。
「そのうちなれるよ」
アーサーが言った。
「そうだといいな。。」
カミルはそう呟いた。
あっという間にカミルは学園一有名な生徒になった。
容姿端麗、頭脳明晰、その上家柄も文句のないカミルは学園の中心的生徒になっていた。
学園はクラスが分けられており、優秀な生徒はクラスワン 次がクラスツー、そしてクラススリーとなっている。
カミルはワン、エルマとアレンはツーベティはスリーとなった。
カミルのクラスは各国の皇太子や皇女等が多いクラスでそのクラスでもカミルの存在は際立っていた。
カミルのファンクラブが出来るほどの勢いで、分け隔てなく付き合うカミルの自由な性格も好かれる要因となった。
カミルは入学そうそう生徒会長に就任し、その統率力で学園全体を巻き込んで様々なイベントや取り組みを成功させて百年に一人の逸材と言われており、教師たちもカミルに一目を置いている。
そんなカミルにベティはついてゆけず二人は自然と別れたが、それでも四人は月に一度集まり懇親を深めていた。
「カミル、秋の学園祭にカーティス公爵を招待すると聞いたが?」
アレンはカミルに聞いた。
「ああ、お祖父様を招待していいと許可が降りたからな」
「さすがカミルね、普通身内なんて呼べないのよ。あなた特別だわ」
エルマは感心している。
「ホントカミルって人タラシよね。」
ベティが言った。
「それはわからないけど、とにかく,。俺はリネットにも会いたいしな。」
カミルが言った。
「リネットは元気なのか?」
アレンはカミルに聞いた。
「ああ、手紙でやりとりしているから元気だよ。でも、、」
「でも?」
「お祖父様が言うには、リネットは相変わらず無欲で、ドレス一つ要らないと言ってお祖父様が嘆いている。」
「アハハハ、リネットらしいわ!リネットって昔から欲しいものはないって言っていたよね。みんながいれば何もいらないわって」
「ああ、エルマのいう通りで、今でもお祖父様が元気ならそれがプレゼントですって言って、お祖父様は嘆いていたよ。。だから今回はここまできてもらう為に、ドレスを作ると言ってお祖父様は喜んでいた。」
カミルがいった。
「久しぶりにリネットに会えるね。カミル嬉しい?」
ベティが聞いた。
「ああ、嬉しい。俺はリネットとずっと一緒にいたから、、ここに来て離れてそんな生活に慣れると思ったけど意外に慣れないんだよね。」
「カミル、リネットがすきなのか?」
アレンが聞いた。
「リネットは大事な家族だと思っているからな。好きとか以前の話だな」
カミルが言った。
「私はそれに嫉妬したわ」
ベティが言った。
「許せベティ」
カミルは笑いながら言った。
「まあ,今私にはクリスがいるからいいけどね!カミルはモテるし誰とでも付き合うし、女ったらしだからもう懲り懲り」
ベティも笑った。