離れる
「リネット、カミルが今から二年間寄宿舎付きの学校に入ることが決まった。」
カーティス公爵にお茶を誘われて一緒に飲んでいる時にそんなことを言った。
「学校ですか?」リネットは聞いた。
「カミルはこの先公爵家を継ぐ、それにルークラフト公爵家は皇室を支えている。その為に帝王学や様々な勉強をしなければならないが、一番の学校があってな、そこに入学が許可された。この学校は様々な国の後継者達が世界中から集まるのだ。入試試験があってカミルは首席で合格したんだ」
「まあ!カミルはすごいですね!!」
リネットはカミルが首席で合格したことを喜んだ。
「あと、リネットの友達たちも合格した。」
「うわ!!みんなも行くのですね!!すごい」
リネットは喜んだ。みんなが国を支えるような人物になるなんて!本当に素晴らしいこと。
「リネット、カミル達は二年間帰ってこない。寂しくないか?」
カーティス公爵は心配そうな顔をしてリネットに聞いた。
「寂しくありません。だってみんながそんなすごい学校に行くなんて嬉しいことですし、カミルはこの帝国を引っ張ってゆく素質がありますからそのための時間ですから応援したいです!」
リネットは言った。
「うむ、じゃあリネットはわしと一緒にカミルを待とう」
カーティス公爵はリネットに微笑んだ。
部屋を出るとカミルとベティが歩いてきた。
カーティス公爵の所に来たようだ。
「リネット、来ていたのか!」カミルが言った。
「ええ、でももう話は終わりました。」リネットは言った。
「そうか、ではベティ、行こうか」
カミルはベティの手を取りカーティス公爵の部屋に入っていった。ベティはチラッとリネットをみて表情を変えず中に入っていった。
その日の夜、リネットは夜にしか咲かない月の百合を見るために庭園にいた。
月の光を浴びると百合の花が開き三時間ほどで枯れてしまう花。幻の百合と言われる花が公爵家にはある。
リネットは百合の花が開くのを待っていた。
「リネット」
カミルが呼んだ。
「カミル?どうしたの?」
リネットはカミルがこんな夜更けにここにくるとは思っていなかったので驚いた。
「リネット、お祖父様から聞いたとおもうが、俺達はセントジェームス学園に行くことになった。」
カミルは言った。
「ええ、カミルはすごいね、首席だと聞いて、、」
リネットは言った。
「ありがとうリネット、それで、、皆んなと二年間も会えないからリネットが寂しくないかと思って、、」
カミルは言った。
「カミル、ありがとう。寂しくない訳ではないけど、みんなを応援しているから大丈夫。帰ってきたら色々教えてね。」
リネットは笑顔でカミルに言った。
「ああ、わかった。なんか、リネットとずっと一緒にいたからなんか離れて暮らすってイメージわかなくて、」
「確かに、カミルとずっと一緒にいたもんね、ありがとうカミル。一緒にいてくれて」
リネットは言った。
「リネット、俺たち家族だから帰ってきたらまた一緒に暮らそう」
カミルはそう言いながらリネットの頭をポンポンと叩いた。
「ええ、カミルありがとう、未来の公爵様が直々にそう言ってくれるとは幸せでございます!」
リネットは笑った。
「あ!花が咲いたぞ!」カミルは月の百合を指指した。
「あ、本当!!カミル綺麗だね」
「ああ、リネットと一緒に見れて嬉しいな」二人はその百合を見つめながら穏やかな時間を過ごした。




