只者でない
それから三ヶ月後リネット達は十八歳なった。令嬢達は相手を見つける年齢になる。
最近五人で集まることも無くなった。それぞれ忙しく日程が合わないのと、皆社交界で会える。
リネットには公爵家出会えるのでそれぞれ会いに来てくれていた。
「リネット、お前ももう十八歳だな。あんなに可愛い娘が、今ではもうレディだなんて、ワシも年をとった」
カーティス公爵が言った。
「まあ、カーティス様、そんな事言わないで下さい。まだまだお若いですわ!」
そう言ってリネットはカーティス公爵の手を握った。
「リネット、今年だけはドレスを作らせてくれんか?この老いぼれの夢なんだ。リネットにドレスを作って、ワシに見せてくれ」
カーティス公爵は言った。リネットは困ったような顔したが毎年毎年言われていたので今年は作ってもらうことにした。
「はい、わかりました。お心遣い感謝致します。」
カーティス公爵は国一番のデザイナーと仕立て屋を呼び、上品で美しいドレスを作った。
相変わらずベティはリネットの仕事に文句を言ってリネットを困らせていた。
ある日カーティス公爵はリネットを呼び出した。
「リネット、最近花が違うようだが、、」
「あ、申し訳ありません、せっかくベティに頂いた花ですから飾りたくて、、、」
そう言って誤魔化した。カーティス公爵は何か勘づいたようだったが、リネットは何も言わなかった。
十八歳になった日、カミル達は大きなパーティーがあり城に出かけて行った。
リネットはカーティス公爵と一緒にレストランに行く約束をしていたのでカーティス公爵が作ってくれたドレスを纏い髪をセットして出かける準備をした。
アクセサリーはカミルからのプレゼントだった。全てが一級品でリネットは驚いた。
そのドレスは薄い水色のドレスでダイヤが散りばめてあった。リネットの黒髪は美しくアップされダイヤのネックレスとイヤリング、髪飾りが輝いていた。
しかしその輝きもリネットの美しさには敵わなかった。
リネットはやはり姫としての血統と品格があった。
誰が見ても何処かの国の姫そのものだった。
その姿を見たカーティス公爵は大変ご満悦でリネットを自慢の孫娘として扱った。
レストランにつき出迎えた支配人はリネットを見てカーティス公爵に
「どこの姫ですか?」
と聞いていた。カーティス公爵は
「孫娘だ!」
と言って怒っていた。
しかしリネットの美しさ、雰囲気はもはや只者では無かった。
レストランで二人を見かけた貴族達はすぐに城に向かいカミルに聞いた。
「カーティス公爵様がどこぞの姫を連れてレストランにおりますが、どこの姫様でしょうか?」
カミルは一瞬わからなかったが特徴を聞いてリネットだとわかり笑い始めた
「リネットは公爵の孫娘だ」
「?カミル様と似ておりませんが」
「お祖父様が溺愛している孫娘のような存在で私たちと一緒に孤児院から連れ出した娘だよ」
と言った。
「いや、あの雰囲気は普通じゃない、カミル様の勘違いではありませんか?」
貴族は言った。
「どうした?」
皇帝が現れた。貴族は今の出来事を皇帝に話したところ、皇帝が言った。
「今すぐにカーティス公爵とその姫をお連れしてくれ」
「皇帝、それはやめて下さい、リネットはこんな場が苦手ですから」
カミルは言った。
「カミル、お前がいうリネットじゃなけい可能性があるぞ、それにそんな美しい人がいるなら見たいと思うのが男だろう」
そう言って皇帝は笑った。
「カミル、リネットなの?」
ベティが言った。
「わからないが、恐らく、、」
カミルが言った。カミルはリネットがこんなところに連れてこられて不安になるのではないかと心配している。
少しして城にカーティス公爵が現れた。
「皇帝、ワシは怒っておる、」
「カーティス公爵、失礼しました、あなたのお連れの姫に挨拶がしたいのだが、、」
会場にいる貴族が全員集まっていた。カーティス公爵はカミルを見てため息をつき、
「わかりました。」
と言って部屋を出て、そしてリネットをエスコートして会場に入った。
会場が静まった。リネットは輝くような美しさと気品があり、誰もが言葉を失った。
カミルはそんなリネットを見たことがなくリネットを見つめていた。
リネットは堂々とカーティス公爵にエスコートされ皇帝の前に行き美しい作法で挨拶をした。
「皇帝陛下、お初にお目にかかります。リネットと申します」
そう言って優雅に微笑んだ。
「リネット、あなたは姫ですか?」
皇帝は聞いた。
「いえ、、私は、メイドでございます」
そう笑顔で答えた。
「あははは!!リネット、あなたは素晴らしい方ですね。」
皇帝が言った。
「ありがとうございます」
リネットが言った。皇帝はリネットの手を取り手の甲にキスをして
「一曲お願い出来ますか」
と聞いた。リネットはカーティス公爵を見てカーティス公爵が頷いた。
リネットは「はい」と言って皇帝にエスコートされ会場の中央に移動した。二人は踊り出した。
カミル達は何が起きがのかわからなかった。
だた、リネットは只者ではなかったことだけはわかった。
カミルは皇帝と踊るリネットを見つめていた。ベティは拳を握りしめた。
踊りが終わりカーティス公爵がすぐにリネットの手を取り
「帰ります」
と言ってリネットを連れて出ていってしまった。
それを見た令息達がカーティス公爵を追いかけて行った。
カミルはすぐにカーティス公爵の所にゆき
「一体どういうことですか?」と言った。
リネットは怒っているカミルに謝った。
「カミル、ごめんなさい」
「リネット、謝らなくていいから君は一体。、」
「カミル、リネットはワシの孫じゃ。それではいかんのか?」とカミルに言った。
「お祖父様そうじゃない、こんなところにリネットを連れてきたら、あああ、既に」
カミルはそう言って怒った顔をしながら追いかけてきた令息達に言った。
「今取り込み中です、お引き取り下さい」と睨み、またリネットの方を見て
「こういうことになるではないでしょうか!お祖父様!」といって怒った。
「アハハハ、カミル、嫉妬をしているのか?」
カーティス公爵が言った。
「まあ、カーティス様カミルにはベティがいますからそんな冗談はおやめになって」リネットは焦って言った。
「リネット、とにかく、、お祖父様とお帰りなさい、俺も後で行くから」
そう言って二人を無理矢理馬車に押し込んでカミルは城の中に戻って行った。