リネットのお出かけ
ある日リネットはカーティス公爵について出かけていた。
外に出るとノールズ王国の人間にリネットの存在が知られるとまずいのでリネットは変装をしていた。髪はまとめてカツラを被った。ブラウンのカツラで目元までレースがある帽子を被り一見どこかの淑女のようなイメージだ。ドレスも帽子の合わせ大人っぽい紺色のドレスを着ていた。
誰が見てもリネットだと分からない。カーティス公爵は大変ご満悦で、リネットをエスコートして二人でカミルの社交界で着る洋服を注文していた。実は先日カミルの洋服にリネットが赤ワインを溢してしまいダメにしてしまったのだ。カミルは気にするなと言ったが、リネットは気にしていたのでカーティス公爵が一緒に選ぼうと言って実現した買い物だ。
その為用意周到に準備し、カーティス公爵はリネットには言っていないが行く場所全てを貸し切って、公爵家の私兵もわからないように配備し、リネットをノールズ王国の人間から守っていた。リネットはあまり外に行きたがらないが、今日は楽しそうな様子でカーティス公爵は連れてきてよかったと思っていた。
街を歩いているとリネットはあるお店が気になった。先日の集まりで最近出来たレストランにあるチョコレートドリンクが美味しいと皆んなが言っていたお店だ。目の前にあるその店でリネットはチョコレートドリンクが飲みたい訳ではないが、貴族達が好きな店がどんな雰囲気か興味があった。
カーティス公爵はリネットが目の前のお店を見ていることに気が付き、リネットをそのお店に連れて行った。
中に入ると一気に二人は注目を浴びた。ほとんど全員の貴族達が立ち上がりカーティス公爵に敬礼をした。リネットはそれを見て驚いた。カーティス公爵は驚いたリネットに優しく微笑み、エスコートした。「お祖父様?」なんとその店にカミルがいた。カミルと一緒にいる女性は立ち上がってカーティス公爵に挨拶をした。
リネットは変装をしているので謎の美女と先程の貴族達に囁かれている。カミルはリネットの方を見て「こちらの方は?」とカーティス公爵に聞いた。「秘密じゃよ」そう言ってカーティス公爵はカミルの前を通り過ぎた。
リネットはカミルに会釈をして後をついて行った。
「カミルのやつずっとリネットを見ておるの」カーティス公爵は笑いながら言った。「はい、視線が痛いです。。」リネットもカミルの視線になんとか耐えていた。「あやつはリネットをずっと見ているから目の前の令嬢が不機嫌になっておるの」カーティス公爵は笑いながら見ていた。リネットもチラッとカミルの方を見た時にカミルと目が合った。
すぐに目を逸らし「なかなか緊張感がありますね」と言って笑った。「我が孫ながらにカミルはモテるな」カーティス公爵が言った。
「カミルは昔からそんな感じでしたよ。幼いカミルは本当に天使でした。でも悪魔でもありましたけど」思い出すと笑えてきた。「どんな子だった?」カーティス公爵が聞いた。
「カミルはリーダー的存在でみんなを助けてくれていました。容姿が美しいので弱そうにみえますが、めちゃくちゃ強くて、誰も彼に勝てなかったのです。私はご存知の通り大人しく、虐められる容姿でしたが、カミルがいつも守ってくれました。本当にカッコよかったですよ」リネットは笑顔で語った。
「うむ、カミルはちゃんとわかっていたんじゃな。自分の存在意義を」「はい、カミルは特別な子でしたから。」「でもな、ワシはリネットも特別な人間だとわかっている」「いえ、私は生まれがそうであっても、なにももっていません。。」リネットはうつむいた。
「リネット、リネットの本当の魅力は今からなんじゃ、わしはそれがちゃんとわかっている。」「カーティス様、ありがとうございます」リネットは笑顔でお礼を言った。